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3167 TOKAI

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TOKAI Research Memo(4):中期経営計画最終年度の2021年3月期に、連結営業利益225億円を目指す


■TOKAIホールディングス<3167>の今後の見通し

2. 中期経営計画について
(1) 基本方針
2018年3月期よりスタートした新中期経営計画 (IP20)では、基本戦略としてトップラインの成長を最優先に「守りの経営」から「攻めの経営」に転じることを打ち出した。今後4年間で顧客基盤の拡大につながるM&Aやアライアンスを積極的に推進し、総額1,000億円の戦略的投資を実行していく方針だ。ただ、市場環境の変化によってM&A案件は今後増えてくる見通しで、M&Aやアライアンスの実行により1,000億円の投資枠は使い切ることが可能と会社側では考えている。

M&Aの対象としては、中核事業であるガス、CATV、情報通信サービス等で顧客基盤を持つ企業、また、新中期計画ではクロスセルの強化も重点施策として挙げており、既存の生活関連サービスの周辺領域についてもM&Aあるいはアライアンスを組むことによって進出していく戦略となっている。

(2) 経営数値目標
具体的な経営数値目標としては、2021年3月期に連結売上高で2017年3月期実績比1.9倍となる3,393億円、営業利益で同1.8倍となる225億円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.6倍となる115億円を目指す。また、グループ顧客件数は同1.7倍の432万件以上を目指す。M&Aやアライアンス等により1,000億円の投資を実行していくため、有利子負債残高については拡大することになるが、転換社債型新株予約権付社債などのゼロクーポン債も組み合わせるなど効果的に資金調達を進めていくことを検討している。また、資本効率を重視した経営を継続していく方針で、有利子負債/EBITDA倍率で2.8倍、自己資本比率で31.6%、ROEで13.0%の水準を計画している。

なお、今回の投資1,000億円を実行するに当たって、ROI(のれん償却前営業利益÷投資額)は約8%の水準を目標にM&Aを検討していくことにしている。

3. 主力事業の取り組みについて
(1) LPガス事業
家庭・業務用のLPガス市場は、人口の減少や機器の省エネ性能向上等により、今後4年間で約7%の市場縮小が予想されており、競争激化により中小零細事業者が淘汰され、大手資本への集約化が進むとみられている。業界第3位の同社にとっては市場シェアを拡大する好機と言える。

同社は既存営業エリアの開拓だけでなく、2016年3月期以降に進出した新規エリアで顧客開拓を進めていくことで、今後4年間に顧客件数を3割増の76万件に拡大していく計画となっている。このうち、新規エリアの顧客件数は、2017年3月期末の8千件から9倍増となる7万件を目標としている。なお、2018年3月期の下期以降に進出を予定しているエリアとしては三重県、愛知県(愛西市)のほか、CATV事業を展開している岡山県、長野県、リセプション事業を展開している北九州エリアなどが挙げられる。進出に当たっては、自前で営業拠点を設立するかM&Aを実施していくことになる。物流は進出エリア内で一定の顧客基盤を獲得するまで、現地パートナー企業に委託する。

(2) 都市ガス事業
都市ガスの小売自由化が2017年4月に解禁された。現状は新規参入事業者との競争も大都市圏のみに限定されており、電力自由化の際よりも動きは静かではあるが、市場全体が緩やかに縮小に向かうなかで、大手4社を除く199社の都市ガス事業者については生き残りが厳しくなり、大手資本によるグループ化が進むものと予想される。

こうしたなかで、同社は積極的にM&Aあるいは同業他社とのアライアンスを推進していく戦略となっている。導管延長投資や、新たな産業用の需要等も取り込みながら、契約件数を2017年3月期末比2倍の10万件を目指していく。新規進出エリアについては全国すべてを対象にしているが、グループ内で他のサービスを展開しているエリアが望ましいことに変わりない。また、同社は水回りを中心としたリフォーム事業(セグメントは建築及び不動産事業に含む)を同時に展開しており、1顧客当たりの売上高は約3万円と業界の中でも屈指の販売力を持っている。都市ガスの顧客件数の増加によってリフォーム事業の収益も拡大していく方針だ。中小零細の都市ガス事業者は、他のサービス・商材を扱っていないところがほとんどだが、同社が資本を投入することによってこうしたサービス・商材を扱えるようになり、買収先企業にとっても経営面で大きなメリットになると考えられ、M&Aも比較的スムーズに進むことが予想される。

(3) ブロードバンド事業
国内のブロードバンド市場は成熟化しているとはいえ、今後も年率2%程度の伸びが続くと予想されている。一方で、格安スマートフォンの普及によりMVNO市場は今後大きな成長が見込まれている(契約数880万件→4年後に1,950万件)こうした市場環境下において、同社では引き続きFTTH契約の光コラボへの転用を進め、1顧客当たり売上高、利益の拡大を図っていくほか、新規事業として2017年2月より開始した格安SIMサービス「LIBMO」も強化していく方針だ。

光コラボ率(光コラボ契約÷FTTH契約)に関しては2017年3月期実績の50%から4年後に85%まで引き上げていく。これにより、1顧客当たり月額収入は3,048円と2017年3月期比21%上昇する見込みとなっている。ブロードバンドサービスの顧客件数に関しては、4年後に1.7倍増の134万件を見込んでいる。

一方、LIBMOに関しては4年後に顧客件数14万件を目標としている。LIBMOはデータ通信+音声プランで月額利用料が1,180円~2,980円と低価格のサービスだが、これにセキュリティサービスや保険サービスなど自社サービスを加えることで顧客売上単価をアップし、収益化を図っていく戦略だ。

(4) CATV事業
国内のCATV業界では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて高精細な4K/8K放送の試験・実用化放送が開始されている。ただ、こうした高精細な放送を流すには光ファイバーや関連機器の投資が必須となる。競争環境が厳しくなるなかで、設備投資余力のない中小事業者は大手資本の傘下に入り、投資資金を得てサービスを継続していくものと予想される。同社ではこうした市場環境の変化をチャンスと捉え、今後もM&Aを積極的に推進していく方針となっている。

サービス面では、4K放送とインターネットを組み合わせた価格優位性のあるサービスの投入や、行政と連携し地域に特化した防災情報等の配信サービス、自治体と連携して高速通信網が未整備な地域へのFTTH、地域BWA(ブロードバンド無線アクセスシステム)のインフラ構築などを進めながら事業を拡大していく。

CATVの顧客件数は、2017年3月期末の73.3万件(放送サービス50.8万件、通信サービス22.5万件)から4年後には118.8万件(放送サービス83.3万件、通信サービス28.5万件)を目指していたが、東京ベイネットワークの子会社化により直近では98万件に達しており、今後のM&Aの動向次第では100万件を超える可能性もある。同社ではM&Aの方針として、買収先企業のブランド名の維持や、番組制作といった経営の自主性を重んじている。最大手がJ:COMブランドで統一しているのとは対照的だ。また、そのほかにもガスや通信、宅配水など多くのサービス・商材を持ち、これらを取り扱えることも買収先企業にとっては魅力的であり、今後もM&Aによる顧客件数の拡大が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MW》

 提供:フィスコ

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