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3150 グリムス

東証P
2,146円
前日比
+10
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.2 3.96 2.14 11.85
時価総額 511億円
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グリムス Research Memo(8):事業用太陽光発電システムの拡大を軸とした成長戦略を推進(2)


■今後の見通し

(2) 小売電気事業の戦略
小売電気事業は、グリムス<3150>が卸電力取引所や一般電気事業者から調達した電気を割安な価格で顧客に販売し、顧客から受け取る電気料金を収益源とする事業である。同事業では、負荷率(最大電力に対する年平均消費電力の比率)が低い低圧電力需要家の顧客を主な販売対象とすることから、調達価格変動リスクが相対的に低く、売上に占める基本料金の割合が高いため収益性が高い。ただ、電力取引所からの電力調達において電力市場価格といった外部要因の影響を受けることから、収益性を考慮した相対電源の確保、独自燃調の運用、市場価格連動型契約の推進、デリバティブ取引の活用など、電力市場価格の高騰に対する十分なリスクヘッジを図り原価を下げることで、安定的なストック収益源の確立を目指す計画だ。

同社の営業戦略を見ると、従量電灯(100V)の顧客に対しては、営業効率を高めるため低圧電力とのセット販売(法人向け)に注力しているが、一般家庭と異なり単価が比較的高い3段目従量料金(300kWh~)を多用するため、販売単価が高いという優位性を有する。低圧電力(200V)の顧客に対しては、同社の強みである電子ブレーカーを中心とした顧客基盤をターゲット層としており負荷率の低い顧客に注力しているが、契約電力に比べて使用量が少ないため、市場価格が高騰しても原価が上がりにくいという優位性がある。高圧・特別高圧の顧客に対しては、前期に固定単価販売を停止し、市場連動型に特化する方針に切り換えており、同社はリスクを抱えないという優位性がある。小売電気事業の2024年3月期の業績予想については、売上高19,087百万円(前期比12.6%減)、売上総利益1,552百万円(同33.6%減)、営業利益953百万円(同47.1%減)で、売上総利益率は8.1%(同2.6ポイント低下)、営業利益率も5.0%(同3.2ポイント低下)を計画する。ただ、同事業は外部要因に左右されるため、売上高と調達原価を保守的に計画している。売上はエネルギー価格が安定したことにより減少する見通しだが、原価も同様に減少するため、安定したストック収益の獲得を見込んでいる。2024年3月期第2四半期累計では、売上高は通期計画比47.3%にとどまったが、売上総利益は同88.5%、営業利益も同118.9%と、利益は計画を上回るペースで順調に推移している。高圧電力向け固定価格販売を止めて市場価格連動型契約へ切り替えたことで売上高は減少した一方、電力調達価格が安定したことから営業利益は大幅に増加している。

(3) スマートハウスプロジェクト事業の戦略
スマートハウスプロジェクト事業については、再生可能エネルギーへの需要、卒FIT案件の増加に伴う需要が見込まれることから、引き続き蓄電池の販売を推進する。効率的な営業を行うことで営業利益率の改善を目指す。

FITの期間満了により、ユーザーは太陽光発電により発電した電力をこれまでのような高い価格で売電できなくなり、自家消費のメリットが高まることから、蓄電池の需要が増加する見通しである。政府が掲げる2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)の実現に向けて、蓄電池は重要機器と位置付けられており、2022年度から長期にわたる安定した成長が予測されるなか、同社でも安定した成長を目指す計画だ。

スマートハウスプロジェクト事業の2024年3月期業績予想では、蓄電池を安定的に販売することで、売上高4,691百万円(前期比16.9%増)、売上総利益1,983百万円(同16.9%増)、営業利益711百万円(同43.1%増)と増収増益を計画し、売上総利益率は42.3%(同±0.0ポイント)、営業利益率は15.2%(同+2.8ポイント)を見込む。前期には小売電気事業の好調から同事業の売上を抑えた反動もあり、2024年3月期からは巡航速度に戻る見通しだ。実際、2024年3月期第2四半期累計では、売上高は通期計画比53.8%、売上総利益は同54.4%、営業利益も同62.5%と、蓄電池販売が好調で計画を上回るペースで推移している。ただ、競合他社が多いことから、エネルギーコストソリューション事業に比べて利益率は低い。

以上のとおり、同社グループでは、小売電気事業とスマートハウスプロジェクト事業で安定収益を確保し、エネルギーコストソリューション事業の業績を大きく伸ばすことで、今後も増収増益を続ける計画である。現状に満足せず、新たな成長機会を求めて、次々に新事業に着手する積極的な経営姿勢は評価すべきであろう。

同社では2020年3月期までは毎年、中期経営計画の見直しを行い、新中期経営計画を発表してきたが、2021年3月期からはコロナ禍に伴う先行き不透明感もあって未発表である。一方で、コロナ禍において業績予想を開示しない会社も多数あったなかで、引き続き業績予想を発表し続けたことは評価できよう。ただ、会社としての経営方針を明確化し、同社の投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は有意義であると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《SO》

 提供:フィスコ

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