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2819 エバラ食品工業

東証S
2,863円
前日比
-54
-1.85%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.6 0.85 1.40 4.38
時価総額 300億円
比較される銘柄
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ハウス食G, 
中村屋
決算発表予定日

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エバラ食品工業 Research Memo(2):日本の食卓に新たなメニューを提案、おいしさと楽しさを広げてきた


■事業概要

1. 会社概要と沿革
エバラ食品工業<2819>は「黄金の味」や「すき焼のたれ」など調味料を製造販売する食品メーカーで、ほかに物流や広告など食品に関連する事業を行っている。同社は1958年に森村國夫(もりむらくにお)氏によって設立された。当初はソースやケチャップ、インスタントラーメンのスープなどを製造販売していた。高度経済成長期になり、日本人の食生活も豊かになって様々な肉料理が登場するようになると、同社は焼肉にターゲットを絞って研究を重ね、1968年に「焼肉のたれ」を発売した。女性の社会進出やホットプレートの登場が追い風となって「焼肉のたれ」は大ヒットし、家庭における焼肉市場を創出、焼肉料理の定番となった。

この結果、「焼肉のたれ」は圧倒的なシェアを持つようになったのだが、独自の食文化を持つ関西では苦戦していた。そこで、関西の食味・食感に合わせて開発したのが「黄金の味」である。フルーツをベースに関西の嗜好に合わせた甘さととろりとした高級な食感のあるたれで、ネーミングも受け、関西でも大ヒットすることとなった。その後も1980年代の「すき焼のたれ」、1990年代の「浅漬けの素」など、それまでの市場になかった商品を時代時代で生み出し、日本の食卓に新たなメニューを提案、おいしさと楽しさを広げてきた。そして現在、創立60周年を迎える2019年3月期に向けて策定した経営ビジョン「Evolution60」に沿って、国内の安定的収益と海外での成長基盤の確保を図るとともに、次なる食生活のニーズの変化にも応えていく考えである。


強いブランド力を背景に、トップシェアを誇る商品群が多い
2. 事業内容
同社の事業内容は、食品事業、物流事業、その他事業(広告宣伝・人材派遣)の3セグメントに分けられる。2018年3月期の売上高構成比は、食品事業が86%、物流事業が10%、その他事業が4%である。食品事業を2つに分けると家庭用と業務用になり、全売上高に対し家庭用が68%、業務用が18%という構成比になる。家庭用はさらに、肉まわり調味料群、鍋物調味料群、野菜まわり調味料群、その他群に分けられ、全売上高に対する構成比はそれぞれ31.1%、22.7%、8.5%、5.9%となっている。同社の最大の特徴が、このように細分化した家庭用調味料において、国内トップシェアの商品群を多数持っていることである。

(1) 家庭用商品
「黄金の味」、「焼肉のたれ」、「すき焼のたれ」、「浅漬けの素」に代表される同社の家庭用商品は、一般家庭において非常に認知度が高い。各商品とも、同社の開発理念である「ニッチ&トップポジション」という考えに従って生み出されている。これは、調味料市場を小分けした、焼肉やすき焼きといったニッチマーケットに狙いを定め、具体的で分かりやすい新たなメニュー提案や人を引き付けるTVCM、売場で目立つ派手な容器によって、シェアを確保していくという考え方である。もちろん、不断のマイナーチェンジにより味や容器、使用シーンの改良を積み重ねることも、シェアの維持に必要な要素である。つまり、市場を創り育てシェアを取るという同社のビジネスモデルそのものが、同社の強みであり、強いブランド力の源泉になっているのである。このため、売上高数1,000億円規模の大企業がひしめく各種ブランドランキングで、売上高数100億円の同社が上位に食い込むこともよくあることなのである。なかでも同社のTVCMはしばしば評判になり、故橘屋圓蔵(月の家円鏡)による「焼肉のたれ」のTVCMは名作と言われている。ただし、TVCMは多額の費用がかかるため、同社は広告効率を考え、売上比率をベースにしっかりコントロールしている。

こうしたブランド力を背景に、同社にはトップシェアを誇る商品群が多い。肉まわり調味料群は「黄金の味」や「焼肉のたれ」に代表される肉料理のための商品群で、焼肉のたれにおける市場シェアは48.1%と高い。鍋物調味料群は「すき焼のたれ」や「キムチ鍋の素」など鍋料理のための商品群で、「すき焼のたれ」は64.3%とさらに高い。野菜まわり調味料群では手軽に漬物ができる「浅漬けの素」が人気で、市場シェアは49.0%で、これも高くなっている。その他群においては、「横濱舶来亭カレーフレーク」「プチッとうどんの素」など、新たな市場創出~シェア獲得を狙う商品群が控えている。

(2) 業務用商品
業務用商品は、たれ・素・スープを中心に幅広く品ぞろえされており、主に外食企業向けに販売されている。商品は「黄金の味」や「焼肉のたれ」、「やきとりのたれ」などの肉まわり調味料群、「がらスープ」や「ラーメンスープ」などのスープ群、「丼のたれ」や「浅漬けの素」、「マドラスカレー湿潤」などのその他群である。また、海外売上高の大半が業務用商品で占められ、その多くが「焼肉のたれ」と「ラーメンスープ」と見られる。

(3) 物流事業・その他の事業(広告宣伝事業、人材派遣事業)
もともと食品事業を支えるための業務だったものが、ノウハウの蓄積とともに外部向けの商売を徐々に広げ、事業化された。現在では、物流事業の外部売上比率は6割を超え、物流の合理化・効率化ニーズを背景にさらに売上げを伸ばしている。また、広告宣伝事業、人材派遣事業にも勢いがついてきたようだ。物流事業には倉庫や貨物運送なども含まれ、(株)エバラ物流が行っており、広告宣伝事業と人材派遣事業は(株)横浜エージェンシー&コミュニケーションズが行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《TN》

 提供:フィスコ

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