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【特集】「SIXPAD」のMTG上場追い風、“フィットネス関連”の注目高まる <株探トップ特集>

健康志向、サッカーW杯、東京五輪をつなぐ投資テーマ“フィットネス関連”。7月10日には「SIXPAD」を手がけるMTGのIPOも控えており、同テーマには追い風が吹いている。

―サッカーW杯クリロナ大活躍も後押し? 健康志向の本命株は―

 高齢化社会が急速に進展する日本。医療費抑制が国家の命題になるなか「健康長寿社会」の構築は喫緊の課題と言える。こうした社会的背景もあり、健康志向は高まる一方だ。近年では健康増進に加え、スポーツジムでの“肉体改造”も注目を浴びており、株式市場においても「 フィットネス関連株」への関心度は高い。そうしたなか、7月10日には電気刺激で腹筋を鍛える「SIXPAD(シックスパッド)」を手がけるMTG <7806> [東証M]が上場する予定にあり、投資家の視線も熱い。2020年開催の東京五輪も追い風に、すそ野が広がるフィットネス関連株の動向を追った。

●メルカリに次ぐ大型IPO

 MTGはサッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手を起用したシックスパッドのテレビCMで認知度が一気に急上昇、口にくわえてゆらゆらと揺らすことで口回りの筋肉を鍛える「PAO(パオ)」などでも知られる企業だ。同社は、「ブランド開発カンパニー」を標榜し、「BEAUTY」「WELLNESS」をテーマに、美容機器やフィットネス機器、化粧品などの企画・開発を行ってきた。時価総額は2000億円強となる公算で、今年のIPOとしては19日に上場したメルカリ <4385> [東証M]に次ぐ大型案件となり、上場接近で注目度もヒートアップしている。

 近年、腹筋ベルトともいわれる「EMS(Electrical Muscle Stimulation)」マシンへの注目度は高い。電気刺激を筋肉に送ることで、過酷な運動をすることなく効果的に腹筋を鍛えることができると言われている。ひと言で表現すれば“楽して美しい腹筋をつくる”マシンといえる。働き方改革を進める政府の大号令が発せられる日本だが、トレーニングジムに通う時間が取れないという人々も多く、まさに現代社会にマッチしたマシンともいえそうだ。

●ヤーマンは「エクサボーテ」

 美容家電の雄として株式市場でも注目を集めるヤーマン <6630> も、短時間でストレスフリーな運動が叶うフィットネスブランド「エクサボーテ」を扱っている。“巻くだけ”でインナーマッスルまで届くEMSでしっかり鍛える「クワトロビート」をはじめ、手や脚などを“乗せるだけ”で超高速振動の筋トレ効果があげれられる「スイングビート」などを展開。自発運動に劣らない高い運動効果を発揮するとしている。

 同社は13日の取引終了後、19年4月期の連結業績予想で、経常利益を前期比7%減となる49億9900万円と発表。株価は、5月31日に2788円まで買われ上場来高値をつけたあとは、軟調展開が続き現在は2000円割れの状況だ。高成長のイメージが強かっただけに、これを嫌気した投資家のムードが株価に反映された格好だ。ただ、さらなる業績拡大に向けた優秀な人材の確保に加え、ブランディング強化のための広告宣伝活動の活発化が見込まれることを減益の要因としており、積極攻勢への前向きな姿勢とも捉えることもできそうだ。ここにきて調整一巡感も台頭しており、注目は怠れない。

●ランニングマシンのアルインコ

 EMS流行りの昨今だが、“伝統の健康機器”ともいえるランニングマシンやトレーニングマシンを手がけるアルインコ <5933> にも目を配っておきたい。同社は建設仮設機材の開発・製造・販売、仮設足場の総合レンタルサービスを主力事業とするが、ホームフィットネス事業にも注力している。5月2日に発表した18年3月期の連結経常利益は前の期比25.6%増の30億8900万円になり、19年3月期も前期比3.6%増の32億円に伸び9期連続増収になる見通し。株価は、20日には1046円まで売られ年初来安値を更新しているが、東京五輪が迫るなか建設仮設機材の事業環境も良好で、切り口多彩な点も魅力だ。

 多忙な生活をおくる現代社会にとってEMSマシンの持つ利便性は重要だが、スポーツジムなどで実際に体を動かすことは、やはり欠かすことはできない。また、最近では“なりたい体になる”ボティ―メークという観点からも注目度が高まっている。

●「ボディスタイリング」で攻勢かけるRIZAP

 「ボディスタイリング」で攻勢に出ているのがRIZAPグループ <2928> [札証A]だ。タレントのダレノガレ明美さんを起用したコマーシャルを22日から放映、やせることを目的にするのではなく、「今よりイイカラダ・もっと理想の身体」に近づくために、専属のパーソナルトレーナーとボディスタイリングを二人三脚で行うプログラムだ。同社では「反応は上々だ。若い女性からの問い合わせが増えている」(ブランド統括部)という。また21日には、3月から発売したEMSパッド「3D Shaper」の販売数量が1万台を突破、自社オンラインショップおよび一部家電量販店で追加販売をおこなうことが決定したと発表している。

 同社は、5月15日引け後に19年3月期の連結業績予想を発表。売上高が前期比83.6%増の2500億円と急増、本業のもうけを示す営業利益も同69.2%増となる230億円と高い伸びを予想した。なお、18年3月期連結決算についても売上高が前の期比42.9%増の1362億100万円、営業利益は同33.1%増となる135億9000万円と好調だった。5月30日に直近高値2000円をつけてからは売りに押され、現在は1600円近辺で挟みもみ合う展開となっている。同社はパーソナルトレーニングジムを中心とする美容・健康関連事業を中核に、M&A戦略に積極的で業容を急速に拡大させており、今後の展開から目が離せない。

●東祥、コシダカは魅力満載

 このRIZAPグループをはじめとして、スポーツジムを展開する銘柄は、材料が豊富でさまざまな視点から投資対象として捉えることができる点も魅力を高めるひとつだ。

 東祥 <8920> は愛知県が地盤で「ホリデイスポーツクラブ」を運営し、傘下のABホテル <6565> [JQ]ではホテル事業を展開、インバウンド関連の一角としても注目度が高い。さらに、名古屋周辺での展開力が高いことから、27年に品川―名古屋で先行開業するリニア中央新幹線関連の一角としても折に触れ物色の矛先が向かいそうだ。東祥の株価は、4200円近辺でもみ合うも、ジワリ上値を慕う。

 また、コシダカホールディングス <2157> も切り口が多彩だ。同社は「カラオケ本舗まねきねこ」を展開しているが、フィットネスクラブの「カーブス」事業にも注力している。同事業では今年3月に「カーブス」の世界総本部である米国カーブスグループを買収し子会社化している。多くのフィットネスジムと大きく違う点が、「女性だけの30分健康体操教室」、「ご近所感覚の手軽な体操教室」であり、他社との差別化を図る。株価は、4月11日に上ヒゲで上場来高値1950円をつけ、現在は1600円台半ばにある。

●忘れちゃならない、大御所コナミHD

 こうしたフィットネス関連市場が拡大するなか、忘れてはならないのがコナミホールディングス <9766> だろう。 ゲームでも知名度の高い同社だが、「コナミスポーツクラブ」などスポーツ施設の展開でもトップクラスだ。同社は、5月10日に発表した18年3月期の連結税引き前利益は前の期比25.9%増の447億900万円になり、19年3月期も前期比9.6%増の490億円の伸びを見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。「健康サービス事業」では顧客にマッチした料金プランやニーズに適したプログラムの開発などで攻勢をかける。株価は、5月30日に年初来安値4965円をつけて以降、上値を追う展開で現在は5700円近辺で推移している。また、ここにきて社会的な認知度が急速にアップしている「eスポーツ(格闘ゲームやシューティングゲームで対戦するイベント)だが、この関連銘柄の一角としても今後物色の矛先が向かう可能性もありそうだ。

●上昇波動に乗るルネサンス

 そのほかフィットネス事業を展開する銘柄では、ルネサンス <2378> に注目。株価は一貫して上昇波動にあり、18日につけた年初来高値2615円を射程に捉えている。19年3月期の経常利益予想は前期比5.2%増の40億円と5期連続で過去最高益を更新する見通しだ。また、セントラルスポーツ <4801> の株価は4100円水準にあり、直近高値4310円が視界に入っている。

 揺れる東京株式市場、トランプ政権の打ち出す保護主義政策が貿易摩擦への懸念を背景に、波乱手含みの展開が続く。為替動向を横にらみに、輸出関連株を中心とした主力株には買い手控え感が広がるなか、食料品などディフェンシブ色の強い内需株へ食指が動く状況にあり、こうしたなかフィットネスなど健康関連株にも買いの手が伸びる可能性もある。

 切り口多彩、材料豊富な点も大きな魅力で、今後さまざまな場面で投資家の食指を動かすことになりそうだ。

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