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2588 プレミアムW

東証S
3,055円
前日比
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PTS
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単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.2 4.43 2.29
時価総額 911億円
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決算発表予定日

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Pウォーター Research Memo(1):「投資回収型ストックビジネスモデル」が特徴


■要約

プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して生まれた企業グループである。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切った。強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長し、顧客保有数を767千人(2018年11月末時点)まで増やし、宅配水業界で売上高トップを走る。

1. ビジネスの特長
同社の強みは、「製販一体型経営」、「水源分散化、高い水質基準」、「圧倒的な顧客獲得力」の3点である。「水源分散化」に関しては、これまで、富士吉田(山梨県)、南阿蘇(熊本県)、金城(島根県)の3ヶ所の水源(工場)から全国の消費者に配送していたが、2018年10月からは朝来(兵庫県)の工場が稼働し4ヶ所となった。4つの自社専用の水源を持つことは業界では多いほうだが、同社ではさらに水源開拓を増やす努力を続けている。水源を増やすのは、顧客の増加に対応する安定供給能力の確保はもちろん、配送費の抑制の狙いもある。製造地と消費地が近ければ、配送費も抑制できる。一方で、水源開拓には難しさもある。一定以上の顧客が確保できなければ、工場の稼働率は上がらず製造コストが高くなってしまう。その点で同社は保有顧客を増加させることができるため、水源の開拓にも弾みが付いている。

事業特性は「投資回収型ストックビジネスモデル」であり、ウォーターサーバーの原価やデモンストレーション販売の費用(1顧客当たり約3万円、後述にてフィスコ試算)を会社側が最初に負担し、天然水の売上で徐々に回収していく。定期配送契約を結ぶため、ストック利益(毎月の水代などから得られる収入から顧客維持コストや提供サービスの原価などを除いた利益分のこと)は安定して継続する。新規顧客を一気に増やす時期は損失を計上するが、その後回収が進んでくると大きく黒字に転換するという事業特性である。

2. 業績動向
2019年3月期第2四半期の売上高は18,176百万円(前年同期比42.3%増)、営業利益396百万円(同813百万円の損失)、経常利益269百万円(同970百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益114百万円(同983百万円の損失)となり、大幅な増収とともに黒字転換を達成した。売上高に関しては、新規顧客獲得が前期同様堅調に推移し、それに伴い保有顧客数が順調に積み上がった。また、1契約当たりの売上高が上昇したことも売上高が上振れた要因の1つだ。結果として、期初の第2四半期売上高計画15,000百万円に対しても21.2%増の着地となった。利益に関しては、2019年3月期第2四半期までは先行投資が上回り損失が発生すると見られていたが、想定よりも前倒しでの黒字化となった。黒字化の要因としては、1)想定を上回る増収を達成したこと、2)宅配水ボトルの内製化を始めとする製造体制の強化により一定のコスト削減効果、3)物流費の上昇が当初の予想を下回ったことなどが主な要因である。四半期ごとの推移で確認すると、2019年3月期第1四半期に損益分岐点を超えたと考えられ、第2四半期(単体)はさらに利益水準が上がった。

3. 業績見通し
2019年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比37.1%増の38,000百万円、営業利益は400百万円(前期は1,179百万円の損失)、経常利益で120百万円(同1,559百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は200百万円(同1,493百万円の損失)と、黒字幅が拡大する予想に上方修正された。売上高に関しては、第2四半期の売上高進捗率は47.8%(前期は46.1%)に達しており順調な進捗だ。ストック型のビジネスのため、期末に向けて保有顧客数が積み上がるため、売上高は下期偏重となる。利益面では、通期での黒字転換にチャレンジする年となる。期初の通期営業利益予想は10百万円だったが、第2四半期の実績(396百万円)を受けて通期400百万円に上方修正された。下期が収支均衡の予想の背景としては、依然として配送費の値上がりリスクが存在することがある。同社の事業特性上、売上高計画は確実にクリアしてくる可能性が高く、損益分岐点を超えた現在、物流費の上昇を抑えられれば、下期も第2四半期同様の収益性が期待できる。

4. 成長戦略、トピック
同社は、2019年3月期に始まり、2023年3月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画を発表している。2023年3月期の売上高は54,000百万円であり、5年間の年平均成長率は14.3%と安定成長を予想する。2023年3月期の営業利益は3,000百万円、売上高営業利益率は5.6%まで上がっていく予想だ。同社のビジネスモデルである「投資回収型ストックビジネスモデル」において、2019年3月期からは黒字転換し、それ以降は黒字が漸増するステージに入る。2018年5月に発表された修正計画からの変更点としては、2019年3月期の売上高と営業利益が上方修正された。足元の増収ペースが想定を超えたこと、及びストックビジネスの事業特性もあり、同時に発表された2020年3月期以降の業績目標は現時点ではやや保守的と考えられる。昨今の物流費の値上げがどこまでいくのかという不確定要素も依然として存在するが、今後さらに上を目指すことになるだろう。

■Key Points
・3つの強み。「製販一体型経営」「水源分散化、高い水質基準」「圧倒的な顧客獲得力」
・「投資回収型ストックビジネスモデル」が特徴。2019年3月期から黒字化フェーズ
・2019年3月期第2四半期は想定を超える増収。損益分岐点を超え前倒しで黒字化達成
・2019年3月期通期は売上高380億円に上方修正。配送費値上がりリスクを反映し営業利益4億円と保守的な予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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