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FJK Research Memo(9):バイオマス発電事業の安定運用と電力小売事業拡大による持続的成長を目指す


■成長戦略

フジコー<2405>の成長戦略は、森林資源を活用したバイオマス発電事業の安定運用と電力小売事業の拡大により持続的な成長を目指すものである。主力の建設系リサイクル事業は、建設業界の景気変動による影響を受けやすいことから、多様な廃棄物の取扱いや取引先の分散による売上高の安定確保を進めてきたが、今後は安定した電力供給が可能であるとともに、CO2の削減や循環型経済社会の構築にも貢献するバイオマス発電事業の拡大に注力する方針である。

(1)森林発電事業の今後の見通し

順調に立ち上がったバイオマス発電事業は、現在の発電施設(フル稼働)で年間約12億円の売上高(供給能力)が見込まれる。したがって、安定かつ効率的な運用を推進することが同社成長を後押しするとともに、少なくても固定買取制度が適用される20年間は業績の安定と収益力の向上をもたらす可能性が高い。一方、安定運用に向けて最大の課題は、燃料となる森林資源の確保ということになるだろう。同社の発電施設は、森林資源の豊富な岩手県北部に立地しているため、岩手県はもとより、秋田県北部や青森県南部からの森林資源の確保ができるほか、発電施設周辺で操業している製材工場も多い。同社が利用する木くずは年間9万トンを予定しているが、近隣における製材に使えない木くずは推定100万トン程度存在するものと見込んでいるようだ。いずれにせよ、地域との密接な関係構築が安定調達に向けたカギを握るだろう。

一方、地産地消型の事業モデルを推進する電力小売事業は、地元の大志田ダム発電所(小水力電力施設)から電力を購入することにより、バイオマス発電施設の稼働前(2015年12月)から、地元の公共施設等(一戸町役場、小中学校、一戸町関連施設並びに一戸町内の事業会社)への販売を進めてきた。今後は、自社のバイオマス発電施設からの購入を中心に据えながら、事業拡大に向けて、地元の他のバイオマス発電施設からの購入も進めていく考えだ。また、販売先については、一戸町内の公共施設や事業会社の開拓を推進するとともに、一般家庭への展開も予定している。また、隣接市町村への販売エリアの拡充も視野に入っているようだ。

また、地産地消型の事業モデルは、他の自治体からも要請が高いことから、中長期的な視点から事業モデルの横展開も検討している。

(2)既存事業の方向性

主力の建設系リサイクル事業については、各施設がフル稼働の状態が続いているが、廃棄物処理施設の事業用地取得から営業稼働運転を開始するまでに長期間を要することなどから、同業他社との事業提携やM&Aを中心とした事業拡大を図る方針である。

また、食品系リサイクル事業として展開している液状飼料についても注力する考えである。液状飼料は、従来の飼料よりも効率が高い(食品残渣を乾燥させる時間や燃料費がかからない)上、販売を外部委託に切り替えてからは徐々に養豚事業者に広がりつつある。また、ゴミの分別などが廃棄物を集めるうえでネックとなっていたが、それも環境問題に対する意識の高まりから解消されてきており、食品系リサイクル事業の拡大余地は大きい。加えて、飼料代の高騰などで事業継続の危機を迎えている中小規模の畜産農家を支援する事業としても社会的な意義が大きいと位置付けている。

弊社では、バイオマス発電による業績拡大が一巡する来期以降の業績の伸びをどのように維持していくのかに注目している。地産地消型の事業モデルを推進する電力小売事業が業績の伸びをけん引するものとみており、地元や隣接市町村での販売先の拡大等により高い水準で増収基調を継続していくことは可能であると判断している。また、中長期的には事業モデルの横展開の動きもフォローしていく必要があろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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