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【特集】清水洋介氏【10月相場、経済政策本格化で流れ変わるか】(2) <相場観特集>

清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)

― 一億総活躍社会実現、TPP早期発効への期待は?―

 26日の東京株式市場は、前週末の米国株安や外国為替市場での1ドル=100円台への円高進行を嫌気して幅広い銘柄に売りが出て、日経平均株価終値は、前週末比209円46銭安の1万6544円56銭となった。こうしたなか、きょうから臨時国会が招集され、安倍政権による「一億総活躍社会」の実現や、環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効と、それに備えた農業改革など喫緊の課題が前進する。こうした経済政策の本格出動を背景に、第一線の市場関係者に10月相場の見通しを聞いた。

●「米大統領選など不透明部分多く、一進一退も」

清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)

 今後1ヵ月程度となる10月相場を考慮した場合、全般動きづらく、方向感に欠ける状況を見込んでいる。

 米国では11月の大統領選挙が近づきテレビ討論会などが実施される。もし共和党候補のトランプ氏が米大統領に選ばれれば、状況はがらりと変わる可能性もあるだけに、手は出しにくいだろう。また、日銀は金融政策にイールド・カーブコントロールの手法を取り入れ、長期金利をターゲットに定めた。ただ、この政策がどれだけうまく機能するかを確かめたいという気持ちも強まりそうだ。さらに、海外のヘッジファンドは10月が利益確定で売り姿勢を強めやすい時期であることも様子見要因となる。全体相場は10月下旬から本格化する中間決算の結果を確かめてから、上下どちらかに動きだすとみている。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価の想定レンジは1万6000~1万7000円前後を予想する。日本では臨時国会が開催され、経済対策などが再度注目されそうだが、物色動向を大きく変えるには至らないだろう。

 個別では、金融セクターに注目。特に三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などメガバンク 、千葉銀行 <8331> や静岡銀行 <8355> など地銀株に投資妙味がありそうだ。メガバンクは日銀のマイナス金利政策がネガティブ視されたが、実際の決算への影響は限定的かもしれない。地銀は業界再編が一段と活発化している。

 村田製作所 <6981> やTDK <6762> 、アルプス電気 <6770> といった電子部品株にも投資妙味がありそうだ。また、10月には「プレイステーションVR」が発売されるだけに、VR(仮想現実)関連でソニー <6758> は見直されそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(しみず・ようすけ)
大手証券会社に入社後、外資系証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト、テクニカル分析の第一人者として、「チャートの先生」「ストラテジスト」の役割でテレビのレギュラー出演や・雑誌の連載などで活躍。現役ディーラーとしても日々相場と対峙している。10年以上続いているメールマガジン「日々是相場」や投資に関しての講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校、証券投資の本質、株式投資の楽しさを啓蒙している。

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