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【市況】高岡隆一の【今日のポイントとヒント】 「日銀ETF買いは日経平均を3000円押し上げるのか?」

高岡隆一 (株式評論家)

◆日銀金融政策決定会合・FOMCと注目イベントを通過したが、日本株はもみ合いを脱し切れない。上に行きそうでいけない展開は、まだまだ続く可能性もある。

◆例えば日経平均株価の一株益は9月23日現在で1179円、本年2月時点から増えていない。2月の月中平均が1万6346円で、現状は1万6500円辺りにある。一株益が伸びないのだから、1万9000円とか2万円になる根拠はまず無い。

◆しかも、2月当時と比較して為替は15円前後も円高だ。加えて、まだ円高は止まっていないのだから、日本企業の収益については上方修正ではなく下方修正のベクトルが勝っている。買い方には残念だが、日経平均が大幅に上昇する材料は今のところ見当たらないのである。

◆よく日銀が6兆円ETFを買うと、日経平均を2000~3000円押し上げる効果があり、今の水準(1万6500円前後)に上乗せした計算値は1万8500円~2万円になるとの見方を聞く。

◆筆者は為替が110円とか115円になれば別だが、今のように100円前後をウロウロしているようでは年内は無理だと思う。なぜか?

◆アベノミクス相場では、1ドル=1円の変動で日経平均を250円前後上下させるという(1円の円安なら約+250円、1円の円高なら約-250円)。ドル円は今年2月より15円も円高水準に振れており、日経平均を3000円以上、押し下げる要因として働くはずだ。

◆だが、現状の日経平均は、2月の月中平均とほぼ同じ水準にある。日銀のETF買いで、15円分の円高によるマイナス幅は既に打ち消されているのではないのか。

◆もし、そう考えるなら、日銀のETF買いにより今の水準から日経平均が+2000円、+3000円かさ上げされるのではなく、既にかさ上げされた値段が今の日経平均である、――こう考えるのが素直ではないだろうか。

◆10月後半から第2四半期決算発表が始まる。ここで上方修正や高進捗率銘柄を仕込めば、日経平均が横ばい・もみ合いでも勝てる。それまで待つ、あるいはデイトレで凌ぐ、こうしたスタンスが堅実だと思う。繰り返すが、日本株の上値目標について欲張りは禁物である。

2016年9月26日 記

情報提供:高岡隆一の株価天気予報

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