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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 株価は円高の試練に耐えるか

株式評論家 植木靖男

「株価は円高の試練に耐えるか」

●上昇基調維持するか、正念場

 世界中の金融市場が注目した2大イベントが終わった。時間軸でいえばまずは日銀の金融政策。株式市場からみれば、単純に今回の政策が投資家に金融引き締めの印象を与えるのか、金融緩和の印象を与えるかである。

 長期金利を引き上げるという点では多少引き締めのニュアンスがあるが、総じて緩和が維持されるとの評価になった。

 マイナス金利、国債買い入れ額の現状維持という従来通りの内容に変わりはないものの、黒田日銀総裁の物価2%上昇に向けての熱い意気込みが、投資家により緩和的と映ったことだ。

 株価が金融株中心に大幅高となったのは当然の成り行きといえよう。

 欧州株、米国株もこれを好感した。そして遅れて米国のFOMC。ほぼ予想通りの利上げ見送りとなった。米国株は、予想通りということで利喰いが先行したが、引けにかけて切り返し大幅高となった。

 では、今後、わが国の株価はどう展開するのであろうか。

 このまま上昇に転じて6月24日を安値とした上昇基調が維持されるのか。だとしたら、4月の戻り高値1万7572円を早期に突破して昨年末の調整局面から離脱することになるのだが。

 しかし、上昇が続かず、今後も引き続き安値もみ合いが続くのかどうか。

 そもそも株価上昇の原点は、(1)流動性が潤沢にあること、(2)景気の先行きが明るい見通しにあること。この(1)、(2)の条件が揃うことにある。

 米国株が、この8月まで高値にあったのは、(1)、(2)いずれもほどほど、いわゆる適温であったことによる。

 しかし、このバランストイ、つまり弥次郎兵衛型は存外脆いものである。いつ崩れるかわからない。とはいえ米国株価堅調は結構長続きしている。

 翻って、わが国の株価は、(1)では潤沢すぎるほど流動性がある。だが、(2)については、残念ながら景気の見通しはあまりに不透明である。企業収益をとっても昨年10-12月期以降、3四半期連続の減益である。

 これでは株価は騰がらない。もっとも逆にいえば、景気の先行きに確信が持てれば、一気呵成に株価は修正高を見せるはず。ここが米国株とは違う点である。

 この景気の先行きを不透明にしているのは円高である。

 長期金利上昇は円高を誘発する。実際、米国利上げ見送りで1ドル=100円に接近するほどの円高局面を迎えている。

 正念場である。さらなる円高にならないことを願うばかりだ。

2016年9月23日 記

株探ニュース

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