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国土強靱化の裏カード、「廃棄物処理」で騰勢前夜の“掘り出し株” <株探トップ特集>


―大型経済対策で浮上する、大量廃棄物の収集・運搬・リサイクルで要注目の銘柄群とは―

 5日に閣議決定された政府の経済対策では、取り組むべき施策として「災害からの復旧・復興と安全・安心の確保」「経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援」「未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上」が打ち出された。特に「災害からの復旧・復興と安全・安心の確保」では、昨今の天災被害、とりわけ今年発生した台風被害などを考慮し、5兆8000億円の財政支出により、水害対策の強化を中心に防災・減災、国土強靱化を強力に進めるとしている。

 これを受けて、株式市場でも建設関連株などが人気化したが、忘れてはならないのが、廃棄物処理 に関連する銘柄だ。経済対策には、「被災家屋の解体や着実な災害廃棄物処理及び土砂撤去の支援」「大規模災害に備えた廃棄物処理体制整備に関する緊急対策」なども盛り込まれており、これら廃棄物処理に関連したビジネスへの追い風となろう。

●天災ごみの処理でも活躍

 台風などの自然災害で発生した天災ごみ(災害廃棄物)は基本的に一般廃棄物として処理され、各自治体が処理にあたることが定められている。しかし、一般廃棄物を運搬するための車両は、本来は家庭から出るゴミの回収を想定して作られており、例えば水を吸った畳やタンス、落下した屋根瓦などを扱い切れない場合が多くある。また、通常の家庭ゴミ回収だけでも処理施設がフル稼働しているところに、膨大な量の災害廃棄物が発生することになり、一般廃棄物処理事業者だけでは、処理が追いつかないというのが現状だ。今年、相次いで関東地方に上陸した台風により発生した災害廃棄物処理に関しても、産業廃棄物処理事業者が自治体からの要請を受け出動し、重機や大型車両、処理施設で、特に重く、大きな災害廃棄物の収集運搬や処理を行っている。

●東京五輪、都市部再開発で大量の廃棄物発生

 もちろん、廃棄物処理事業者が活躍するのは、災害廃棄物の処理ばかりではない。現在わが国は、東京五輪や大阪・関西万博などの国際的なビッグイベントを控えているほか、都心部で進む再開発などにより、都市部を中心に各地で大量の廃棄物が発生している。

 こうした分野では、再利用(リサイクル)の必要性が高いが、鉄や紙のようなリサイクルシステムが整備されている分野は少ないのが現状だ。そのため、廃棄物の処理ノウハウや施設・設備などを多く有する企業に引き合いが集中する傾向がある。ここに前述の災害廃棄物が加わり、「廃棄物処理の需要は想定を大きく上回って推移している」(中堅証券)ようだ。

 環境省が今年6月にまとめた「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」では、国内の廃棄物処理・資源有効利用の市場規模は2017年の49兆6150億円から30年には53兆707億円へ、50年には56兆1838億円へそれぞれ拡大するとみられており、市場拡大による恩恵も享受しよう。

●タケエイ、ミダックなど関連銘柄に上方修正相次ぐ

 廃棄物処理業界の需要拡大は、建設系廃棄物ばかりではない。17年12月ころから、日本から海外に輸出されていた廃プラスチック類について、輸入国が大幅な輸入規制を実施したため、国内に多くの廃プラスチック類が滞留するようになった。これらを処理する廃棄物処理事業者への関心は今後、更に高まることになろう。

 関連銘柄の代表格とされるのはタケエイ <2151> だ。同社は首都圏を地盤とする産業廃棄物処理事業者。足もとで再開発やインフラ整備に伴う受注が好調に推移しているほか、各中間処理工場が安定稼働していることを要因として、10月30日の上期決算発表と同時に、20年3月期業績予想を営業利益で26億円から31億円(前期比45.8%増)へ上方修正した。ただ、自治体からの災害廃棄物処理依頼や被災した同業他社からの代替受け入れ分などは全てが織り込まれておらず、業績上振れの可能性は大きいとみられる。

 ミダック <6564> [東証2]は、東海地方を中心に産業廃棄物や一般廃棄物の収集運搬・処分を展開。災害廃棄物の大量発生などを受けて廃棄物の搬入制限を一部緩和したことなどを要因に、11月13日に上期決算発表とあわせて20年3月期連結営業利益予想を11億6700万円から14億1200万円(前期比28.6%増)に上方修正した。また同社では、関東方面で焼却施設及び最終処分場の展開を計画しており、中期成長への貢献が期待されている。

 ダイセキ <9793> は、工場廃液の処理・リサイクルを中心とした産業廃棄物処理の大手で、土壌汚染処理業のダイセキ環境ソリューション <1712> を子会社に持つ。足もとは工場廃液処理の増加やダイセキSの好調などが寄与し、上期営業利益は54億7100万円(前年同期比16.3%増)と2ケタ増益で着地。20年2月期通期では同101億円(前期比10.9%増)を見込んでいる。

●要興業、タクマなどにも注目

 このほか、要興業 <6566> [東証2]は、一般・産業廃棄物の収集運搬、処理、リサイクルの大手。リサイクル事業で資源相場が軟調に推移したことを受けて、11月14日には20年3月期の連結業績予想を営業利益で9億9000万円から8億2000万円(前期比19.8%減)に下方修正した。ただ、顧客数の拡大や東京23区における競争優位性などを背景に収集運搬・処分事業及び行政受託事業は好調に推移しており、資源相場次第では上振れの可能性もある。

 また、関西を地盤に解体事業や廃棄物処理事業などを手掛けるイボキン <5699> [JQ]の第3四半期累計(1-9月)連結営業利益は2億5100万円(前年同期比9.9%増)だったが、産業廃棄物の収集運搬や中間処理、再生資源販売を行う環境事業が牽引。19年12月期通期では同4億500万円(前期比44.4%増)を見込む。更に、今後の廃棄物処理の需要拡大をにらみ、一般廃棄物プラントや産業廃棄物プラント、バイオマス発電などを幅広く展開するタクマ <6013> などにも注目したい。

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