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3800 ユニリタ

東証S
1,999円
前日比
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単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
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時価総額 160億円
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ユニリタ Research Memo(6):グループ一体となった価値提供モデルの確立に取り組む


■中期経営計画の方向性

1. 中期経営計画の方向性
ユニリタ<3800>は、2024年5月に中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を公表した。「Re.Connect 2026」※という基本方針の下、1) サービス提供型事業の拡大、2) 新たな価値提供モデルの確立、3) 事業プロセスの変革の3つの事業戦略をさらに進化させていく方針である。また、グループ理念を軸とした持続的な経営と価値創造の実現に向け、人的資本投資の加速を含む、サステナビリティ基盤の強化にも取り組む考えだ。

※ 様々なステークホルダーとの接点やつながり方を抜本的に見直し「再度、より良い形でつながり直す」という意味が込められている。

(1) 3つの事業戦略のポイント
1) サービス提供型事業の拡大
引き続き、クラウド成長領域への投資の拡大や顧客の最適なモダナイゼーションの実現、製品・サービスの一部効率化と新規領域への参入検討などを進めていく。

2) 新たな価値提供モデルの確立
前中期経営計画でブラッシュアップした「サービスマネジメント」及び「データマネジメント」をコアコンピタンスに再定義したうえで、グループ横断、エコシステムによる顧客提供価値の高度化、社会課題事業への継続的投資とアライアンス強化などに取り組む。

3) 事業プロセスの変革
サービスシフトを支える品質マネジメントの強化や、プロセス標準化による実装、運用体制の構築、並びに顧客起点での全社的カスタマーサクセス推進体制の確立を目指していく。

(2) 財務目標
最終年度(2027年3月期)の目標として、売上高140億円(3年間の平均成長率5.3%)、営業利益14.5億円(同12.4%)、ROE 8.8%(2024年3月期比+1.7pp)を掲げるとともに、投資計画(研究開発費、設備投資等)は累計24億円を見込んでいる。また、利益成長に伴う増配にも意欲的であり、2027年3月期の年間配当は1株当たり75.0円(2024年3月期比+7.0円)を予想している。なお、計画には入っていないものの、M&Aも検討していく方針であり、データマネジメント人材の獲得やサービスラインの強化につながるような対象先を候補に考えているようだ。

事業別の売上高計画を見ると、「プロダクトサービス」はメインフレームの縮小と新規成長サービスによるストック売上の拡大がほぼ均衡し横ばいで推移する一方、成長エンジンと位置付けている「クラウドサービス」の各カテゴリは大きく伸びる想定である。また、「プロフェッショナルサービス」についても、引き続きコンサルティングを起点とした高収益モデルへのシフトを進めていく。損益面でも、クラウドへの投資を継続しながらも収益性を重視した計画となっており、特に「クラウドサービス」における利益成長と「プロフェッショナルサービス」の収益性向上が営業利益率やROEの改善に寄与する想定である。

2. 中長期的な注目点
中期経営計画で掲げた方向性は、これまでと大きな変わりはなく、弊社においても理にかなったものと評価している。すなわち、DXの動きが社会全体で本格化する一方、IT人材不足が顕在化するなかで、これまでのIT課題だけでなく、事業課題や社会課題にまで領域を拡げるとともに、コンサルティングを起点としたバリューチェーンの最適化により、需要の拡大を取り込んでいく戦略は、持続的な成長を実現していくうえでも説得力がある。この3年間はこれまでの取り組みや明らかになった課題を踏まえ、形になりつつある事業モデルをさらにブラッシュアップし、具体的な収穫に結び付ける期間になるだろう。最大の注目点は、1) クラウドサービスの事業拡大に向けた道筋、2) 新たな価値提供型モデルの確立の2点である。特に1) については、パートナー各社との協業の形が見えてきた事業推進クラウドのブレークスルーに期待したい。そのためには、サービス&データマネジメント基盤における強みを訴求し、各方面から有力パートナーを呼び込むとともに、販売チャネルの獲得までを含めた戦略がカギを握るであろう。成功事案が増えれば、さらに新たなパートナーの獲得にもつながるといった好循環も考えられる。一方、ソーシャルクラウドにおいては、データを集めるところにこそ将来の優位性や参入障壁が確立されるビジネスモデルであるため、本格的な収益化には時間を要するものの、足元では具体的な動きが出始めており、軌道に乗れば計画の上振れ要因となる可能性も秘めている。2) についても、サービス&データマネジメント領域でのコンサルティングを生かした一気通貫型の価値提供型モデルが形となってきたが、まだまだ事業間及びグループ間の連携によるバリューアップの余地はありそうだ。2024年4月に実施した組織体制の強化(サービスマネジメント本部及びグループ戦略推進室の設置等)がどのように機能していくのか、その効果をフォローしていきたい。さらには、潤沢な営業キャッシュフロー(年間約15億円)や現預金残高(約90億円)、そして強固な財務基盤(自己資本比率75%水準)を生かしたM&Aの動きにも注目したい。クラウドへの成長投資が計画されているものの、投資余力は十分にあると見ており、M&Aの実現によっては成長スピードや価値提供型モデルの確立が一気に加速する可能性もある。いずれにしても、安定した収益源であるメインフレーム事業がキャッシュカウとしての役割を担っている間に、次の収益の柱を育て上げ、強固な収益基盤の維持・向上を図っていくことが中長期の最大のテーマであることは明らかであり、そういった視点から、今後の動向に注目する必要があろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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