スター・マイカ:24年11月期3Qは増収増益、各事業好調で収益性も向上
スター・マイカ・ホールディングス<2975>は、持株会社である同社及び連結子会社5社から構成されており、3つの事業セグメントで事業を展開している。主として賃貸中の中古分譲マンションなどに対して投資を行い賃貸運用しながら、借主の退去後、リノベーション等により不動産の価値を向上させた上で売却するリノベマンション事業、主として投資リターン獲得を目的に、不動産・事業会社・ファンド等への投融資を行うインベストメント事業、主として不動産の売買・賃貸仲介、賃貸・建物管理及び金融・不動産分野におけるコンサルティングを行うアドバイザリー事業を手掛ける。2024年11月期第3四半期のセグメント別売上高構成比はリノベマンション事業が約95.6%を占め、主力事業となっている。創業以来、オーナーチェンジ物件(借主が入居中のまま売買される収益物件のこと)の流通市場を創造してきた同社は、仲介会社とのネットワーク、高いオペレーション能力、高度なファイナンス能力などの強みを有している。
2024年11月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比9.5%増の40,626百万円、営業利益が同11.2%増の4,518百万円だった。中期経営計画「Find the Value 2026」で掲げる各種戦略を着実に実行するなか、リノベマンション事業、インベストメント事業、アドバイザリー事業がそろって好調だった。特に、「オーナーチェンジ物件への回帰」、「都市部シェア拡大」などの戦略が奏功し、リノベマンション事業の売上高総利益率が上昇。全体の収益性を押し上げた。その他、一棟収益物件への投資を再開したインベストメント事業においてもしっかりと利益を計上したことも寄与した。
2024年11月期の連結業績は、売上高で前期比10.8%増の54,157百万円、営業利益で同3.8%増の5,028百万円を見込んでいる。足元で売上、利益ともに順調に増加し、第3四半期終了時点の進捗率は、売上高が75.0%、営業利益が89.9%となっている。期末に向けても中期経営計画でさだめる事業戦略を推進し、売上の拡大と利益の積み上げに注力していく方針だ。通期業績予想に関して変更はないものの、足元で利益が順調に積み上がっていることを受け、期末配当予想を修正し、1株当たり12.5円に増配している(前回予想は同10.5円)。これにより、年間配当金は前期比3.0円増の23.0円、配当利回りは3.23%となる予定である。同社は株主還元の方針として、成長投資を優先しながらも安定的かつ増配にて配当を実施するとともに、機動的に行う自己株式の取得と合わせて、総還元性向40%を指標とする方針を掲げている。この方針のもと、配当においては上場以来減配がない。自己株式の取得なども機動的に実施しており、同社の株主への還元重視の姿勢がうかがえる。
中期経営計画に関しては、「Find the Value 2026」のもとで事業戦略、財務戦略、IR戦略を推進することにより、企業価値の最大化を目指していく。事業戦略では、「オーナーチェンジ物件への回帰」、「都市部シェア拡大」、「リフォーム構造改革」、「販売事業期間短縮」、「ファンド化の推進」を重点施策として掲げており、収益性と効率性を向上させながら業績を拡大させていく構えだ。これらの戦略をさらに強力に推し進めるために同社は、2024年12月1日付で組織変更及び人事異動することを発表した。組織変革によって都市部でのシェア拡大を目指したエリア戦略の強化や、経営資源の再配分を通じた業務効率化をさらに促進していく。今回の組織改革によって、今後の同社の業績拡大スピードがさらに加速していくことが期待される状況である。
《NH》
提供:フィスコ