【杉村富生の短期相場観測】 ─狙い目はアクティビスト、AI関連など!
「狙い目はアクティビスト、AI関連など!」
●総選挙の“結果”次第では大荒れに!
この局面(10月27日の衆議院選挙の投開票直前)において、11~12月の年末相場を語るのは困難を極める。なにしろ、“結果”が不明である。各メディアの情勢分析によると、与党(自民党、公明党)が苦戦し、立憲民主党が躍進している。与党の過半数(233議席)割れは確実という。
いや~、総選挙後は自民党幹部(石破首相、森山幹事長)の責任問題に発展、抗争劇が展開されることになろう。政治は経済を越える。こういった事態が株式市場にとって、ネガティブなのは間違いない。特に、外国人は政治の混乱を嫌う。だからこそ、ここは総論を語らず、個別物色の投資戦術が有効と主張している。
悪材料は総選挙だけではない。IMF(国際通貨基金)は2024年の日本の経済成長率を0.7→0.3%に引き下げた。データ不正による自動車減産が響いている。外国人(欧州系)投資家はIMFの経済成長率に基づいてカントリーアロケーション(国別の資金シェア)を決める傾向がある。このため、1カ月程度は売りが出るだろう。
さらに、パッシブ運用のベンチマークになっているMSCI指数構成銘柄の定期見直しが11月に行われる。大和証券の予想では日本株は採用が1社、除外が8社(7社の純減)という。日本株のウェイトは近年、低下する一方だ。ちなみに、採用される有力候補はフジクラ <5803> [東証P]である。
11月5日にはアメリカ大統領選挙を控えている。共和党のトランプ氏が「優勢」と伝えられている。彼の政策が全て実行できるとは限らないが、通商(高関税の適用)、移民排除、財政出動、エネルギー政策を考えると、インフレ→金利上昇→ドル高を誘発するのは避けられない。最近の円安はそれを織り込み始めている。
●円安メリット、好決算銘柄を狙う!
いずれにせよ、政治が揺れているだけに、短期的には財政出動を伴う防衛力増強、子育て支援、地方創生、国土強靱化などの政策テーマを攻めるのは難しい。なにしろ、財源は? 恐らく連立の組み合わせによっては再び法人税率の引き上げ、金融所得課税強化、タバコ増税、個人所得税の見直しなどを言い出すのではないか。
筆者は当面、好需給のアクティビスト(物言う株主)が介入している銘柄、7-9月期(第2四半期)が市場コンセンサスを上振れしそうな銘柄、円安メリットを享受できる銘柄、本格普及期を迎えたAI(人工知能)関連銘柄に妙味あり、と判断している。政局など外部環境に影響を受けづらい銘柄である。
アクティビストが買っているのは東京建物 <8804> [東証P]、三和ホールディングス <5929> [東証P]、セーレン <3569> [東証P]、フジテック <6406> [東証P]など。東京建物の株式取得を明らかにしたのは、京成電鉄 <9009> [東証P]に株主提案を行った英系のパリサー・キャピタルだ。彼らは執拗に買う。
7-9月期の業績が上振れしそうな銘柄は日本ハム <2282> [東証P]、TDK <6762> [東証P]、JR東海 <9022> [東証P]など。今週は決算発表が本格化する。決算プレイが繰り広げられる。そのターゲットになり得る。
円安メリット関連では期初の想定為替レートが1ドル=140円が前提のアドバンテスト <6857> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、日立製作所 <6501> [東証P]、住友商事 <8053> [東証P]などに注目できる。
AI関連ではやはり、エヌビディア<NVDA>、マーベル・テクノロジー<MRVL>、ブロードコム<AVGO>、コヒレント<COHR>、クアルコム<QCOM>などアメリカ勢が強い。日本企業ではユーザーローカル <3984> [東証P]、オルツ <260A> [東証G]、pluszero <5132> [東証G]などが面白い展開となろう。
このほか、マーケットエンタープライズ <3135> [東証P]、エクサウィザーズ <4259> [東証G]、PKSHA Technology <3993> [東証P]、ABEJA <5574> [東証G]などがAI分野に注力している。
2024年10月25日 記
株探ニュース