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明日の株式相場に向けて=「円安・株安」は日本売りの序奏か

 きょう(23日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比307円安の3万8104円と3日続落。きょうも朝方は売り買い拮抗の様相をみせるのだが、その後は次第に売り圧力に押され、重力に抗えず株価水準を切り下げるお馴染みのシーンが繰り返された。前引け時点では日経平均は軟調ながらTOPIXがわずかにプラス圏を維持するなど粘り腰をみせたのだが、後場に入ると耐えきれず下値模索局面へと移行している。

 日経平均は一時400円超の下げをみせ、3万8000円台を割り込む場面もあった。大引けも300円あまりの下落。これで遂に11日連続陰線となり、今から12年半前の2012年4~5月、民主党の野田政権時に記録した13日連続陰線に迫る状況となっている。海外マネーの東京市場からの退避の動きが一部で観測されているが、日本株が政局不安で売られるというのは経験値の低いケースともいえる。アベノミクスと対極の立場をとった石破首相が安倍語録である「悪夢のような民主党政権」のフレーズを持ち出すところに、なりふり構わぬ切迫感が漂う。候補者陣営には「緊急通達」と題した石破茂総裁名の「檄(げき)文」が配布されたというが、ここで風向きを変えられるのはトランプVSハリスの大統領選のように敵失しかなく、既にその僥倖(ぎょうこう)を期待する時間も残っていない。

 言うに及ばず派閥の政治資金問題が強烈な逆風を生じさせているわけで、その意味では石破首相には気の毒な面もあるのだが、ここまで支持率が低いのは、ブレない政治家と目されていた石破氏が、総裁選勝利と共に人格が変わったかのように片っ端から“ブレまくってしまった”ことに対する失望もある。自民党・公明党いずれも内部分裂の危機で、「今回の政局は一朝一夕に修復が利かないという状況に陥っているという見立てが、海外投資家の投資行動にも反映されている」(中堅証券ストラテジスト)という。

 日経平均の記録的な連続陰線の背景に、海外投資家が東京市場から後ずさりを始めた気配が感じられる。12年半前の13日連続陰線にスポットを当てると、結果的に当時はアベノミクス相場突入を翌年に控えた夜明け前の暗闇と言えなくもなかったが、今回は少々状況が違うようだ。何と言っても「円安・株安」という組み合わせに薄ら寒さを覚える。

 もっとも、こういうムードの悪い時は目ざとく空売りも入っているのが常であり、過度に悲観に傾くと間違えるケースも多い。例えば、自公連立で過半数を確保できれば目先的にはアンワインドの動きを誘発し、日経平均は今月下旬以降の下げ分を一気に取り返す展開となっても不思議はない。したがって個別株の決算プレーと一緒で、“総選挙プレー”に参戦するかどうかは個々の判断に委ねられるが、結果をみてからおもむろに動いてもチャンスを逸するということはない。「待つのも相場」を決め込んでおくのが得策と思われる。

 こうした低迷環境にあって輝きを放ったのが東京地下鉄<9023>(=東京メトロ)であった。この日、鳴り物入りで東証プライム市場に新規上場した東京メトロだが、3000億円近い断トツの売買代金をこなし、野中の一本杉という形容がふさわしいパフォーマンスをみせた。初値は1630円で、公開価格1200円に対し36%高と好調なスタートを切り、初値形成後も上値指向を継続。終値は初値から更に6.7%高の1739円と上々の着地をみせた。時価総額は初日早々に1兆円を超えた。ネット証券大手によると「個人投資家の人気は高く、ネット証券経由では当たっても1人当たり100株というパターンが相次いだ。200株から株主優待を受けられるので、新規公開株を手にしてもセカンダリーで即座に売らず、逆に100株買い増すという人が多い」という。いわゆる中期投資を前提に「売り惜しみ」の動きが好調な株価形成につながったとみることができる。今月末にはFTSEのグローバル株式指数(オールキャップ・インデックス)に組み入れられる見込みで、来月末にはTOPIX組み入れも控えており、全体相場との兼ね合いはあるものの、ここで売るのは早計という思惑も働きやすい。

 あすのスケジュールでは週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に20年物国債の入札が行われる。海外では韓国の7~9月期GDP、10月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI・速報値)、10月の仏PMI、10月の独PMI、10月の英PMI、週間の米新規失業保険申請件数、9月の米新築住宅販売件数、10月の米PMIなどが注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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