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【特集】「ピークから半値でも半導体ディスコは手放さない」戦略で、億り人昇格の技
すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 だいすけさんの場合
■だいすけさん(ハンドルネーム・60代・男性)のプロフィール:
1995年に将来不安から株式投資を始め、独学で投資スキルを高め、2024年に億り人を達成する。最近は半導体製造装置関連株を中心にバイ&ホールドのスタイルで、累積元本約6000万円を、2024年のピーク時には約1億6000万円にまで拡大させるも、8月の日銀ショックで約1億円にまで凹ませてしまう。現在は、保有する電機メーカー株の好調を支えに、約1億2000万円にまで修復できている。2年ほど前に定年退職し、現在は株式投資に専念中だ。
「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
日経平均株価が前日比▲12%の大幅安に見舞われた8月5日の午後、編集部に1本の電話が入った。
電話の主は、億り人のだいすけさん(ハンドルネーム)。電話に出ると、「こんなことが起きた日の翌日に外出すると、大事故に遭ってしまいそうです。明日の取材を延期していただけないでしょうか」と、電話口から遠慮気味なトーンが聞こえる。
この「日銀ショック」とも言うべきマーケットの異変に巻き込まれ、だいすけさんの運用資産も約1億6000万円から、一気に 1億円までに凹んでしまったという。今年の主力株と思っていた半導体製造装置メーカーのディスコ<6146>などや電機株が、軒並み大幅下落してしまったのが原因だ。
だいすけさんは、投資を始めてから四半世紀以上になるベテラン投資家。経験が浅い頃は、今夏のようなショックの際に、狼狽売りして後悔したこともある。
そこから学んだのが、「こうした異常時の際には、じっとしているのが最善の策」ということだ。信用取引をしていないのだから、相場に異変が生じても、「これだ」と思う保有株は、暴落時もガチホを貫く。
この達観がだいすけさんを億り人に昇格させた原動力となり、今年の8月ショック後も順調にリカバリーする効果を発揮させている。
この「異変が起きたときは、何もしないのが一番戦略」は、ある時から投資スタイルを転換したことが奏功するようになった。その詳細について見ていこう。
■日経平均株価の日足チャート(24年5月28日~)
大ヤラレ修復の先導役は6000番台
だいすけさんの足元の運用資産は1億2000万円と、8月ショック時点の1億円から順調に回復している。そのリバウンドに貢献した代表格が、日本を代表する電機メーカーだ。具体的には、
日立製作所<6501>、
三菱電機<6503>、
NEC<6701>、
富士通<6702>、
ソニー<6758>
――の証券コード6000番台のグループだ。
中でも、日立<6501>とNEC<6701>、富士通<6702>は、8月の暴落前の水準を奪回し、足元では年初来高値圏にある。日立は年初から約2倍に上昇という好調ぶりだ。
■日立の週足チャート(23年3月10日~)
1つに絞れないなら、「まとめ買い」
これら電機メーカー群に買いを入れたのは、今年の4月~5月ごろだ。きっかけとなったのは、地域の町内会にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きが浸透してきたのを目の当たりにしたことだ。
例えば、紙の回覧板から電子回覧板に変更するというもの。一見大したことのないように見えるが、同様の取り組みを全国の町内会が一斉に行ったとしたら、決して侮れない経済効果になる。
電子回覧板以外にも、庶民の生活の場面で、さまざまなDX化が広がれば、その恩恵を受けるのは、なにも超大型の米ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」だけとは限らない。「日本を代表する電機メーカーにも、さまざまな収益機会が広がるはずだ」と、期待を膨らました。
だいすけさんが国内の有力電機メーカーに期待するのは、2年ほど前まで勤めた会社員時代の経験もある。ある業務の中で日本の電機メーカーの技術力の高さを実感する場面に出くわした。複数の電機メーカーの技術に触れる中で、どの会社も秀でたものがあり、甲乙をつけ難かった。
この経験が印象深かったこともあり、今回の銘柄選びでも、「どこかの1つの銘柄に絞るよりも有力銘柄をバルク買いすれば、トータルでプラスになるはず」と割り切り、複数の有力銘柄を保有することにした。
事件から閃いたレジャー施設銘柄
ボウリングなど、複合レジャー大手のラウンドワン<4680>も、今夏の大ヤラレからの回復に寄与した。同銘柄は、今年6月ごろに買い出動をした。
関心を寄せたのは、海外のニュースから、同社が米国でも展開するラウンドワンの業績が伸びているという情報を得たからだ。
海外では児童の誘拐事件がひんぱんに起こり、公園などで子供を遊ばせることに不安を抱く親が増えている。そのため、目が届きやすい施設の中での遊びが好まれる傾向にあり、これがプラス要因になっているというのだ。
だいすけさんの2人の子供はすでに大きくなっているが、児童の誘拐事件報道をスルーすることはできなかった。幼い子供を持つ親御さんの気持ちになって考えると、屋内施設に関心が向かうというのは納得できた。加えて、今夏も酷暑という天気予報からも、屋内施設の需要が高まるだろうと判断した。
ラウンドワンは10月半ばに高値圏からの利益確定売りに押される場面があったが、長期の上昇トレンドは継続中と見る。だいすけさんは、今後も、中長期視野で保有継続の方針だ。
■ラウンドワンの週足チャート(24年3月10日~)
2つの工夫で成績アップ
見てきたようにだいすけさんの銘柄選びでは、普段の生活での気づきや報道などから「ビビビ」と刺激を受けた銘柄を選んでバイ・アンド・ホールド(買い持ち)するのが基本だ。
兼業投資家だったこともあり、投資に割り当てられる時間は限られていたので、細部を徹底的に調べ尽くすことはせず、なにかしらの潮流が来そうな銘柄に注目する。
こうした銘柄を長期保有する戦略では、今夏のような異変が起きると、きついドローダウンを食らいやすい。それまで潮流に乗って上昇していた銘柄は、「山高ければ谷深し」のごとく反動も大きくなる。
それでも、元本を2倍以上に膨らますことができたのは、成績が伸びない時期にその原因を振り返り、2つの改良を施したことがある。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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登場する銘柄
編集・構成/真弓重孝(株探編集部)、文・イラスト/福島由恵(ライター)
イラスト:福島由恵
1995年に将来不安から株式投資を始め、独学で投資スキルを高め、2024年に億り人を達成する。最近は半導体製造装置関連株を中心にバイ&ホールドのスタイルで、累積元本約6000万円を、2024年のピーク時には約1億6000万円にまで拡大させるも、8月の日銀ショックで約1億円にまで凹ませてしまう。現在は、保有する電機メーカー株の好調を支えに、約1億2000万円にまで修復できている。2年ほど前に定年退職し、現在は株式投資に専念中だ。
「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
日経平均株価が前日比▲12%の大幅安に見舞われた8月5日の午後、編集部に1本の電話が入った。
電話の主は、億り人のだいすけさん(ハンドルネーム)。電話に出ると、「こんなことが起きた日の翌日に外出すると、大事故に遭ってしまいそうです。明日の取材を延期していただけないでしょうか」と、電話口から遠慮気味なトーンが聞こえる。
この「日銀ショック」とも言うべきマーケットの異変に巻き込まれ、だいすけさんの運用資産も約1億6000万円から、一気に 1億円までに凹んでしまったという。今年の主力株と思っていた半導体製造装置メーカーのディスコ<6146>などや電機株が、軒並み大幅下落してしまったのが原因だ。
だいすけさんは、投資を始めてから四半世紀以上になるベテラン投資家。経験が浅い頃は、今夏のようなショックの際に、狼狽売りして後悔したこともある。
そこから学んだのが、「こうした異常時の際には、じっとしているのが最善の策」ということだ。信用取引をしていないのだから、相場に異変が生じても、「これだ」と思う保有株は、暴落時もガチホを貫く。
この達観がだいすけさんを億り人に昇格させた原動力となり、今年の8月ショック後も順調にリカバリーする効果を発揮させている。
この「異変が起きたときは、何もしないのが一番戦略」は、ある時から投資スタイルを転換したことが奏功するようになった。その詳細について見ていこう。
■日経平均株価の日足チャート(24年5月28日~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
大ヤラレ修復の先導役は6000番台
だいすけさんの足元の運用資産は1億2000万円と、8月ショック時点の1億円から順調に回復している。そのリバウンドに貢献した代表格が、日本を代表する電機メーカーだ。具体的には、
日立製作所<6501>、
三菱電機<6503>、
NEC<6701>、
富士通<6702>、
ソニー<6758>
――の証券コード6000番台のグループだ。
中でも、日立<6501>とNEC<6701>、富士通<6702>は、8月の暴落前の水準を奪回し、足元では年初来高値圏にある。日立は年初から約2倍に上昇という好調ぶりだ。
■日立の週足チャート(23年3月10日~)
1つに絞れないなら、「まとめ買い」
これら電機メーカー群に買いを入れたのは、今年の4月~5月ごろだ。きっかけとなったのは、地域の町内会にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きが浸透してきたのを目の当たりにしたことだ。
例えば、紙の回覧板から電子回覧板に変更するというもの。一見大したことのないように見えるが、同様の取り組みを全国の町内会が一斉に行ったとしたら、決して侮れない経済効果になる。
電子回覧板以外にも、庶民の生活の場面で、さまざまなDX化が広がれば、その恩恵を受けるのは、なにも超大型の米ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」だけとは限らない。「日本を代表する電機メーカーにも、さまざまな収益機会が広がるはずだ」と、期待を膨らました。
だいすけさんが国内の有力電機メーカーに期待するのは、2年ほど前まで勤めた会社員時代の経験もある。ある業務の中で日本の電機メーカーの技術力の高さを実感する場面に出くわした。複数の電機メーカーの技術に触れる中で、どの会社も秀でたものがあり、甲乙をつけ難かった。
この経験が印象深かったこともあり、今回の銘柄選びでも、「どこかの1つの銘柄に絞るよりも有力銘柄をバルク買いすれば、トータルでプラスになるはず」と割り切り、複数の有力銘柄を保有することにした。
事件から閃いたレジャー施設銘柄
ボウリングなど、複合レジャー大手のラウンドワン<4680>も、今夏の大ヤラレからの回復に寄与した。同銘柄は、今年6月ごろに買い出動をした。
関心を寄せたのは、海外のニュースから、同社が米国でも展開するラウンドワンの業績が伸びているという情報を得たからだ。
海外では児童の誘拐事件がひんぱんに起こり、公園などで子供を遊ばせることに不安を抱く親が増えている。そのため、目が届きやすい施設の中での遊びが好まれる傾向にあり、これがプラス要因になっているというのだ。
だいすけさんの2人の子供はすでに大きくなっているが、児童の誘拐事件報道をスルーすることはできなかった。幼い子供を持つ親御さんの気持ちになって考えると、屋内施設に関心が向かうというのは納得できた。加えて、今夏も酷暑という天気予報からも、屋内施設の需要が高まるだろうと判断した。
ラウンドワンは10月半ばに高値圏からの利益確定売りに押される場面があったが、長期の上昇トレンドは継続中と見る。だいすけさんは、今後も、中長期視野で保有継続の方針だ。
■ラウンドワンの週足チャート(24年3月10日~)
2つの工夫で成績アップ
見てきたようにだいすけさんの銘柄選びでは、普段の生活での気づきや報道などから「ビビビ」と刺激を受けた銘柄を選んでバイ・アンド・ホールド(買い持ち)するのが基本だ。
兼業投資家だったこともあり、投資に割り当てられる時間は限られていたので、細部を徹底的に調べ尽くすことはせず、なにかしらの潮流が来そうな銘柄に注目する。
こうした銘柄を長期保有する戦略では、今夏のような異変が起きると、きついドローダウンを食らいやすい。それまで潮流に乗って上昇していた銘柄は、「山高ければ谷深し」のごとく反動も大きくなる。
それでも、元本を2倍以上に膨らますことができたのは、成績が伸びない時期にその原因を振り返り、2つの改良を施したことがある。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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