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窪田朋一郎氏【一時4万円大台回復、年末に向けての相場展望は】 <相場観特集>


―国内総選挙と米大統領選の先に見える株式市場の景色とは―

 3連休明けとなった15日の東京市場は日経平均株価が大幅高で4日続伸、フシ目として意識された4万円大台ラインを約3ヵ月ぶりに上回る場面があった。最近の欧米株高を受け東京市場も強気優勢の地合いが色濃くなっている。きょうは衆院選が公示され、12日間にわたる選挙戦が始まったが、米国では11月5日の米大統領選に向けてマーケットでも思惑が錯綜している。ここからの東京市場は首尾よく上値を目指すことができるのかどうか。マーケット分析で定評のある松井証券の窪田朋一郎氏に展望を聞いた。

●「年末まで強調、トランプ氏勝利なら最高値更新早まる」

窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)

 全体相場はリスク選好の地合いが継続し、日経平均はきょうで4連騰となり寄り付きに4万円大台ラインもあっさりとクリアした。目先急ピッチの上昇で反動を警戒する向きもいるようだが、基本的に上値指向は維持されそうだ。

 衆院の解散総選挙では、石破新政権の支持率が発足当初としては低迷しているが、野党も立憲民主党に共産党などの選挙協力がなされない状況で足並みが揃っておらず、与党大敗には至らない可能性がある。自民党の単独過半数確保は微妙といえるが、公明党との連立で過半数は維持されそうだ。株式市場は政局を嫌気して波乱展開に陥るようなことはないとみている。一方、米国でも11月5日の大統領選の投開票に向け大詰めを迎えている。一時期よりもハリス副大統領が勢いを失っており、トランプ前大統領との戦いは接戦を極める状況にある。ただ、どちらが勝っても、イベント通過で上値が軽くなることが予想される。これは日本株も同様で、11月中旬以降は年末高の様相を強める公算が大きい。

 例外としては大統領選が微差で決着に至らず、法廷闘争などに持ち込まれ長期化した場合で、11月下旬にかけても万が一不透明感が払拭されないケースでは株式市場も方向性が見えにくい局面を余儀なくされる。ただそれ以外は、ビッグイベントの通過が、相場にとってはプラス方向に働くと考えておいてよさそうだ。

 一つ言えるのはトランプ氏が勝利した方が株式市場には追い風になりやすいということ。日経平均は向こう1ヵ月のレンジで下値は3万9000円、上値は4万1000円台半ばを想定するが、年末までには7月11日につけた最高値4万2224円も更新する可能性が高いとみられる。しかし、トランプ氏が再選された場合、米株高とドル高・円安の流れが東京市場にも好影響を与え、年末を待たず11月中旬までに日経平均は前倒しで最高値圏に突入するパターンが予想される。

 物色対象としては半導体関連の主力どころは戻り余地が大きく、そのなかアドバンテスト <6857> [東証P]は引き続き注目。このほかデータセンター向け光ファイバー関連でフジクラ <5803> [東証P]の上値も期待できる。他方、中国で特別国債を3年間で6兆元発行し、財政出動を行うとの観測が浮上するなか、これが現実化した場合に、ファナック <6954> [東証P]などのFA関連や日立建機 <6305> [東証P]などの建機株も中国関連の切り口として注目されそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「グロース市場信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」など、これまでにない独自の投資指標を開発。また、投資メディア部長としてYouTubeチャンネルやオウンドメディア「マネーサテライト」を運営。

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