セグエ Research Memo(8):長期ビジョンの達成に向けて、新中期経営計画をスタート(2)
■中長期の成長戦略
2. 新中期経営計画と達成に向けた取り組み
セグエグループ<3968>では、2022年12月期?2024年12月期の中期目標を設定し、2024年12月期に売上高17,000百万円、営業利益1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益800百万円を目指してきた。しかし、2023年12月期には、売上高17,440百万円、営業利益1,080百万円、親会社株主に帰属する当期純利益660百万円と、売上高を1年前倒しで達成したことから、新たな中期経営計画「Segue300」(2024年12月期?2026年12月期)を策定した。
「Segue300」では、最終年度である2026年12月期の業績目標として売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,050百万円を目指す。売上高は2023年12月期実績比1.5倍(年平均成長率14.2%)、営業利益は同1.7倍(同18.3%)、経常利益は同1.8倍(同21.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.6倍(同16.7%)と大幅な増収増益を計画する。営業を中心とした人材投資の成果、「RevoWorksクラウド」などのセキュリティ系の伸長、セグエセキュリティの黒字化などにより、意欲的な目標の達成を目指す。
また、M&Aを実現した場合のチャレンジ目標として、売上高30,000百万円、営業利益2,000百万円、経常利益2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,178百万円を掲げる。「Segue300」のネーミングは、売上高300億円を目指すとの強い意思表示である。その実現に向けたビジネス別売上高としてVADビジネスで130億円、システムインテグレーションビジネスで90億円、自社開発ビジネスで18億円、海外ビジネスで22億円、M&Aチャレンジ目標で40億円を計画している。
新中期経営計画はスタートしたばかりであるが、早くもM&Aによって2社の子会社化を実現し、今後の業績寄与が期待される。IT業界は人材不足が続いているが、2社の子会社化もあり、付加価値の源泉である従業員数は計画を上回るペースで増加している。これからも技術者を多く抱える会社を買収し、同社グループの高度な技術者へと再教育することで、業績拡大を図る。
新中期経営計画では、(1) 基盤となる技術者の大幅増員、(2) 既存ビジネスの成長、(3) 変化、改革、(4) 企業価値の向上、といった取り組みを推進することで、業績目標の達成を目指す。
(1) 基盤となる技術者の大幅増員では、2024年12月期に技術者採用と育成のさらなる強化に取り組む。2025年12月期からは、IT技術者のセキュリティ技術者への転換を図り、セキュリティ技術者数100名以上を目標とする。また、(2) 既存ビジネスの成長、(3) 変化、改革では、2024年12月期にセグエセキュリティの事業拡大により、より高度なセキュリティサービスの提供とセキュリティ技術者の育成加速を図るとともに、タイ王国の2社(ISS Resolution、First One Systems)を中心に海外ビジネスを推進する。2025年12月期からは、トータルセキュリティソリューション展開を目指して、セキュリティプラットフォーム展開、中央省庁サイバーセキュリティ対策、Wi-Fi製品需要(Wi-Fi6E/7)、GIGAスクール構想「NEXT GIGA」、RevoWorks新製品リリース、自社サービスの提供拡大などに取り組む計画だ。さらに、(4) 企業価値の向上では、中期経営計画の期間を通じて、配当性向50%の継続(増配)、株主優待、株主・投資家とのコミュニケーションの充実などに取り組む。
以上の計画を実現するためのポイントとして、第1に、サイバーセキュリティニーズの拡大がある。サイバー攻撃が急増しており、各省庁ではセキュリティガイドラインに準拠するための予算が増大、中小企業もセキュリティ対策投資の実施を迫られていることは、同社が新中期経営計画を実現するための大きな追い風になる。
第2に、海外ビジネスの確立がある。主力ビジネスに従来の3ビジネスに加えて、新たに「海外ビジネス」を追加し、まずはタイ王国での事業拡大を図る。ISS Resolutionは保守などサービス中心の会社で、2024年5月に加わったFirst One Systemsはサービスも提供するが、政府系や学校などに物を納めるプロダクト中心の会社である。両社が協力することで、タイ国内の顧客に満足してもらえるプロダクトとサービスを提供でき、シナジー創出により大きく成長する。そして、将来は海外ビジネスをASEAN全域に拡大することを目指す。
2024年12月期中間期における、目標達成に向けた取り組み状況は以下のとおりである。
(1) 基盤となる技術者の大幅増員
同社グループの人員は約7割が技術者であり、取り扱い商材の新規検討や品質確保、自社製品の開発、各種サービスの提供など、事業の基盤として欠かせない存在である。営業系役員及び営業部長クラスの大幅増員を行っている。技術者の採用も順調かつ、テクノクリエイションの技術者141名が加わり、グループ全体の技術者は557名となっている(グループ全体の従業員数は776名)。
(2) 既存ビジネスの成長
VADビジネスでは、サイバーセキュリティやDX需要により、受注高が好調に推移している。また、営業、プリセールス強化、製品ポートフォリオの拡充を行っている。システムインテグレーションビジネスでは、DXインフラ、クラウドソリューション大型案件獲得を推進した。また、Kaetecも伸長している。自社開発ビジネスでは、セグエセキュリティは、セキュリティサービスのストック収益の成長を図り、早期の月次収益の黒字化を目指している。
(3) 変化、改革
自社開発の開発部門、品質管理部門の強化を図った。部長クラス2名の採用により強化し、開発スピード及び品質を向上させる計画だ。また、RevoWorksクラウド、RevoWorksゼロトラストブラウザ開発を推進している。海外では、タイのFirst One Systemsをグループに加え、ISS Resolutionとのシナジー創出を進めるため営業社員を増員、海外ビジネスでは2024年12月期の売上高11億円を見込んでいる。
新中期経営計画はスタートしたばかりであるが、以上で見たとおり、既に着実に実績を積み上げている。引き続き、今後の進捗状況に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
《HN》
提供:フィスコ