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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3940 ノムラシス

東証S
116円
前日比
+1
+0.87%
PTS
115円
19:37 11/15
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
24.3 1.70 2.80 34.08
時価総額 54.0億円
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ノムラシステム Research Memo(1):2024年12月期予想は当初見込みから上振れの可能性


■業績動向

ノムラシステムコーポレーション<3940>は1986年2月に設立以来、企業のオープン化コンサルティング業務、それに関連するソリューション提供業務などを展開し、発展を遂げてきた。ITが急速に進化する時代の流れに乗り、ソフトウェア設計・制作請負中心の事業構造から、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹系統合システム)パッケージ導入におけるコンサルティング業務に経営資源をシフトしている。同社が注力している次世代戦略事業部では、ライセンス販売を積み重ねており、それをベースにシステム更新需要等で安定的に収益を上げるビジネスのストック化を目指す。ストックビジネスが増えれば、業績が着実に向上するシナリオが描けるためだ。同社は国内ERP市場について年平均成長率8%と堅調に推移すると見ており、クラウド市場やビッグデータ市場の拡大も見込んでいる。コンサルティング企業として同社の成長余地は大きいと弊社は考えている。

同社は、SAP導入コンサルティング、SAP保守サポートセンター運営、Webシステム開発コンサルティング、情報サイトコンサルティングなどを展開している。2001年にドイツのソフトウェア開発企業SAP<SAP>とサービスパートナー契約を結んだことが、同社が飛躍するきっかけとなった。2009年にはSAPのチャネル・パートナーとなり、SAP ERPのスペシャリスト集団として収益を伸ばした。2016年9月に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ市場への上場を果たし、2018年3月には同2部市場に上場した。同年6月には1部市場に指定替えとなり、2022年4月の東証市場再編では最上位のプライム市場に上場した。その後は国内ユーザーに寄り添ったビジネスを行うために2023年10月20日付でスタンダード市場に移行した。企業プレゼンスを上げたことにより、信頼度が高まり受注が拡大している。

2024年12月期第2四半期累計決算は、売上高が1,578百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益が250百万円(同28.2%増)、経常利益が251百万円(同28.8%増)、中間純利益が172百万円(同13.3%増)となった。期初予想は売上高1,385百万円(同1.0%減)、営業利益65百万円(同66.7%減)、経常利益65百万円(同66.6%減)、四半期純利益44百万円(同70.8%減)としていたが、一転して大幅増益での着地となった。この主な要因は、元請け案件であるプライム※において、既存取引先の追加発注があったことによる。また、プライム案件は利益率が高いため、受注増大により利益率向上に寄与したようだ。

※ クライアントから直接受注し、全工程を同社のコンサルタントが担当する案件のこと。

個別案件では、大手テレビ局グループから受注したSAP S/4HANA導入プロジェクトが、引き続き好業績に貢献した。2020年11月から開始したこのプロジェクトは、納入期限までに完了し、同社の強みであるプロジェクト成功率100%を具現したことで、グループ企業から追加受注を受けている状況だ。業界ではプロジェクトが納期どおりに完了するケースは稀で、通常は1~2年の遅れが生じることが多い。納入期限どおり完了させるスキルがある同社の信頼度は極めて高い。

このところ同社では、プライム案件にシフトする一方、既存のFIS(Function Implement Service)が減少する傾向が続いている。FIS案件は外注コストがかかるため売上高全体は伸びが鈍化したものの、近年では利益率が改善傾向にある。全体の売上高に占めるプライム比率は従来35%前後だったが、直近では40%前後まで上昇している。こうした直接的な受注の増加が顕著となったことで利益率が上昇し、想定数値から上振れる大きな要因になった。

一方、次世代戦略事業部のDX事業への先行投資にも注力しており、DX事業への投資によるコスト上昇が懸念要因ではあるが、今後の成長につながるため不安材料とはならない。とりわけ、この業界では人材育成及び確保が重要な課題であり、事業を拡充するための人材投資の活発化が目先の利益を圧迫する要因になるものの、これは中期的に成長する効果をもたらすことになると考えられる。

今後も利益率向上を図るために、プライム案件・準プライム案件の比重をさらに高める方針だ。従来型のFIS案件のように、プライムベンダーから依頼を受け、支援するという部分的な対応と比べて、売上総利益率で10ポイントほどの差が生じることから、当面はプライム案件の受注確保が業績向上のカギを握る。

2024年12月期の業績予想は、売上高が3,203百万円(前期比8.7%増)と引き続き増収を見込むが、営業利益が324百万円(同30.4%減)、経常利益が324百万円(同30.4%減)、当期純利益が221百万円(同38.5%減)と、期初に公表した減益見通しを修正していない。

利益について、人材育成と確保に重点を置いていることで、人的資本投資としての給与引き上げによる影響を375百万円見込んでいるが、受注が好調なことから上振れする可能性が極めて高い。また、通期見通しに対する上期までの進捗率は、売上高は49.3%となったが、営業利益と経常利益はいずれも77.3%と高く、下期に大きなアクシデントが発生しない限り、上方修正が十分ありうる数値である。なお、同社は業績予想を保守的に開示する傾向があることを付け加えておきたい。

2024年12月期下期においても、収益向上のカギとなるプライム案件は着実に積み上がりそうだ。今後も「高付加価値ソリューションの提供」を目指し、1) 「SAP S/4HANA」のリプレイス需要を取り込むため、SAP認定コンサルタントの資格取得を推進し技術力を強化、2) 「SAP SuccessFactors」拡販のためのクラウドソリューション強化を重点施策とする。さらに、既存のシステムについてクラウドを導入していない企業が多いため、クラウドへの置き換えを進めるといったビジネスチャンスが広がりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

《HN》

 提供:フィスコ

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