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明日の株式相場に向けて=米景気後退懸念と円高警戒モード

 きょう(5日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比390円安の3万6657円と続落。にわかにリセッション懸念に揺れた米国株市場だったが、前日は比較的底堅い地合いとなり、NYダウが小高く引け、ナスダック総合株価指数は終盤に軟化したが下げ幅は小さかった。きょうの東京市場でも不安心理の後退が期待されるところだったが、前日からのドル売り・円買いの流れが止まらなかった。円高とリンクさせた先物売りが炸裂、日経平均は寄り後早々700円近い下げに見舞われた。その後は押し目買いが活発化し、一時上昇に転じるなど立ち直ったかに見えたものの、後場に入ると再び売り直された。

 8月2日に2216円安、週を跨いだ8月5日に4451円安という2営業日連続でメガトン級の波乱相場を経験して目が慣れてしまったきらいはあるが、前日の1638円安も「8月2日以前」の目線では事件といってよい暴落である。二番底に怯えながらの戻り相場では、約1カ月にわたり拍子抜けするくらい順調な戻り足で急落前の水準を回復したのだが、細かい陽線を積み重ねて75日移動平均線とのカイ離をようやく埋めたところで、いきなりの激震が襲った。賽の河原の石積みのように積み上げた陽線をいともたやすく崩されると、買う側としては手を出しにくくなるのが人情である。

 米経済の動向にマーケットの関心が集中している。少し前までは景気に関する弱めの数字が出れば、FRBによる利下げ期待を増幅させるものとして株価にポジティブに作用するのが常だった。しかし、最近はインフレに対する警戒感が消失したことで、堅調な米景気の下でなおかつ利下げも期待する、という欲張りな状況にあった。米景気が弱ければ、今のゴルディロックス相場のシナリオを狂わせるネガティブ材料となる。

 そして、きょうあすの米経済指標が大きなカギを握ることになる。日本時間今晩21時15分にADP雇用リポート、15分後の21時30分に週間の新規失業保険申請件数、そして23時にISM非製造業景況感指数と矢継ぎ早に開示され、本丸は明晩21時30分に発表される8月の米雇用統計だ。今は米国の雇用環境に視線が集中している。そのなか最も重視すべきは、タイムラグの小さい週間の失業保険で、これが万が一事前予想を大幅に上回るような申請件数となれば今晩の米株市場は荒波に揉まれることになる。あすの雇用統計についても非農業部門の雇用者数が大きく伸びて、なおかつ失業率が低下するという事前コンセンサスに沿うものかどうか、固唾を呑んで見守るよりない。

 東京市場では、足もと中小型株が優位な流れにあるが、半導体セクターなどハイテク系の製造業はドル安・円高が足かせとなっている。米国ではFRBが段階的に利下げに向かうことが確実な情勢で、差し当たって今月17~18日の日程で行われるFOMCでの利下げ開始はほぼ確実。しかも、きょうあすの経済指標次第で出足から0.5%の利下げ決定といきなりアクセルを踏み込んでくる可能性もある。かたや日銀は、追加利上げについての機をうかがっている状況で、ひと頃よりはタカ派姿勢を緩めてはいるものの、早ければ年内12月中旬開催の金融政策決定会合で決めるケースが想定される。

 ある程度ドル・円相場は織り込んでいるはずだが、実勢の1ドル=140円台ではこの日米金利差縮小の流れを反映済みとは到底言えない。円高メリット株を探した場合、国内消費に絡むセクターに優位性がある。物価上昇の流れの中で生活防衛のテーマでも注目されるのが100円ショップだ。円高による輸入採算の改善が追い風となる。そのなか、ワッツ<2735>はきょうザラ場に820円の高値をつけ、約1カ月ぶりに年初来高値を更新した。また300円ショップ「3COINS」を展開するパルグループホールディングス<2726>も同様の観点でマーク。このほか、生活防衛とは路線が異なるが、高品質商品で顧客ニーズをとらえ業績堅調なエービーシー・マート<2670>が好チャートを形成している。

 あすのスケジュールでは、7月の家計調査、8月上中旬の貿易統計が朝方取引開始前に発表されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券入札が予定されている。午後取引時間中には7月の景気動向指数(速報値)、消費活動指数などが開示される。海外ではユーロ圏の4~6月期GDP確報値、7月の独鉱工業生産指数のほか、8月の米雇用統計に対するマーケットの関心が高い。この日はウィリアムズNY連銀総裁の講演やウォラーFRB理事の講演も行われる予定で、その内容が注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2024年09月05日 17時02分

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