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明日の株式相場に向けて=9月は小泉新総裁を織り込む相場

 週明け2日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比53円高の3万8700円と続伸。名実ともに9月相場が始まった。「2日新甫(しんぽ)は荒れる」というアノマリーは古い人間の言うことかもしれないが、8月の最初の3営業日が激流に呑み込まれるような展開だっただけに、カレンダーをめくった直後の9月2日、スタート地点で思わず身構えてしまうのは市場関係者の性(さが)ともいえる。3万8000円台の滞留出来高の分厚いゾーンを突き抜けて、寄り付きで3万9000円台を回復したものの、そこから気迷いムードに転じた。日本時間今晩の米株市場は休場となることで全体商いも薄かった。

 今週は米国で重要経済指標の発表が相次ぎ、週末には8月の米雇用統計の発表を控える。前週末に発表された7月の米PCEデフレーターはほぼ事前コンセンサス通りで無風通過といってよい。黙っていても9月17~18日に行われるFOMCで利下げが開始される状況にあり、今は米経済指標が強い数字、つまりグッドニュースは株式市場にもグッドニュースとなる。8月は雇用者数の伸び、失業率、平均時給ともに強めにみる向きが多い。ネガティブサプライズさえなければ、9月第1週は波乱なく通過できそうな気配はある。

 9月は8月と同様に外国人投資家が日本株を売り越すケースが多いことで知られる。過去10年間を振り返って日経平均の月足で9月は6勝4敗(6回陽線を形成)だが、外国人投資家は実に9回売り越しで、2015年以降は昨年まで9月に一度も買い越したことがない。セルインメイならぬセルインセプテンバーなのである。ただし、これは米国株の下落(9月は陰線が多い)に伴うリスク許容度の低下が背景にあるようだ。現在、米株市場はFRBの利下げ期待で最高値圏を走っており、ひと頃のリセッション懸念も後退しているなか、かつてのゴルディロックス相場の環境に近い状態にある。米国株が強ければ日本株を合わせ切りする必要はなく、今回はこのアノマリーが10年ぶりに覆される可能性がある。

 今年は国内では自民党総裁選、米国では大統領選挙があり、この行方が混沌としていることは株式市場にとっても不透明要因には違いないが、政治的なお祭りは株式市場に浮揚力を与えるというのが過去の例で、そういう意味では9月相場は強くなる可能性がある。米大統領選は民主党ハリス副大統領がトランプ前大統領よりも優勢にあるとの見方が強いが、「これは米メディアに情報操作されている印象もあり、実際のところは分からない」(国内投資顧問系エコノミスト)という声も聞かれる。

 来週10日に予定される大統領候補者テレビ討論会が最大の要衝となることは間違いない。いずれにしても、初の女性大統領を目指すハリス氏には悪いが、バイデン路線を継承する民主党側の候補は誰でもあまり変わりはなく、今回の大統領選はトランプ前大統領VS“反トランプ前大統領”のような意味合いが濃い。株式市場にとっては大統領がどちらになるかで、銘柄選別段階で大きな影響はあるが、相場全体にとってはどっちでも株価は上昇するという見方が根強いようだ。

 国内に目を向ければ今月27日に自民党総裁選が予定されている。候補者が非常に多く決選投票は間違いなさそうだが、決選投票になってからの戦いも考慮して、最終的に小泉進次郎元環境相が次期首相の座を射止める可能性が高そうだ。株式市場側からみれば、アベノミクスの流れを汲む高市早苗経済安全保障担当相がベストと思われるが、今の永田町の力学では難しい面がある。バックの日本会議が高市氏から小林鷹之前経済安全保障担当相の支援に移ったというような観測もあるが、そのコバホークを支持する若手議員にしても、ここにきて、待てよと立ち止まるところ。“次の選挙に勝つ”ことが第一義なので、小泉氏を担いだ方がその目的を成就しやすいという打算も働く。国会答弁がどうなるかという現実的な課題はあるが、かつて数々の語録を残した巨人軍の長嶋監督的なキャラクターから、国民的な支持を得やすいという一点で、小泉ジュニアの総理大臣就任が現実味を帯びている。

 あすのスケジュールでは、8月のマネタリーベースが朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に10年物国債の入札が予定される。午後取引終了後に8月の財政資金対民間収支が発表される。海外ではポーランド中銀の金融政策委員会(~4日)、ロシアで東方経済フォーラム(~6日)が開催される。米国では7月の建設支出のほか、8月の米サプライマネジメント(ISM)製造業景況感指数が注目される。なお、ベトナム市場は休場。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2024年09月02日 17時07分

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