シャノン:今期営業黒字転換見通し、企業のマーケティング支援を実施
シャノン<3976>は、企業のマーケティング活動の自動化支援(MA)とマーケティング活動に付随するサービス提供を行っている。マーケティングオートメーション領域だけでなく、広告運用代行(+自社DSPも保有)やHP作成(CMS)、イベントやセミナーの管理、メタバースイベントの開催、商談管理(SFA)まで同社1社で提供可能。サブスクリプション事業が主力事業で23年10月期売上全体の74%を占めているが、内訳はサブスクリプション売上(年間契約)が48%、プロフェッショナル売上が26%となる。サブスクリプション売上はシステム利用料に関するMRR(月額契約金額)・従量課金・有償保守サービス、年間契約のBPOサービスなどが含まれており、プロフェッショナル売上は初期費用・設定費用・BPOサービス、導入などのスポット売上となる。そのほか、23年10月期売上高に対してイベントクラウド事業が17%、メタバース事業が1%、広告事業が8%を占める。
24年10月期上期累計の売上高は前年同期比2.2%増の14.8億円、営業損益は9300万円の赤字(同1.34億円の赤字)で赤字幅を縮小した。サブスクリプション売上が同14.8%増と過去最高を記録して従来の計画を超過したほか、費用は計画に対して削減できたようだ。サブスクリプション事業を中心に安定的な利益創出体制が整いつつあり、通期の黒字達成に向けて進行中。月次の解約率は12か月平均で1%を下回って推移している。そのほか、イベントクラウド事業は、売上高自体が下期に偏重する予定のため上半期時点ではコストがやや重く見えるが、人員異動・組織再編、生産性向上への投資により下半期の繁忙期に向けて生産性は改善傾向にあるという。通期の売上高は前期比11.6%増の32.7億円、営業損益は3200万円の黒字を見込んでいる。
同社は今後、長期的に収益に貢献していくサブスクリプション事業を重視していく。サブスクリプション事業では主に従業員が1000人以上の「エンタープライズ」(4,042社)、100人~1,000人の「ミドル」(46,535社)をメインターゲットにしているが、中期的には10人~100人の「ローエンド」(392,040社)にもターゲットを広げていくようだ。幅広いソリューション領域を生かした統合型のサービスとして提案することで、新規顧客への付加価値・他社サービスに対する競争力を一層高めて新規獲得件数を増加させ、クロスセルを仕掛けることで顧客単価の向上も図る。また、OpenAIの人工知能「ChatGPT」とシャノンサービスを連携させたサービス提供を開始する予定で、生成AIの活用も進める。さらに、イベントクラウド事業の収益性向上も掲げており、大規模案件中心に案件獲得に努めていくようだ。トップラインの2桁成長が続く中、今期は営業黒字転換を想定。安定収益となるサブスクリプション事業の成長とともに今後の動向を注目しておきたい。
《NH》
提供:フィスコ