ケンコーマヨ Research Memo(5):コロナ禍以降、投資を抑制してきたことで財務体質は大幅に改善
■業績動向
3. 財務状況と経営指標
ケンコーマヨネーズ<2915>の2024年3月期末の財務状況は、資産合計は前期末比5,141百万円増加の67,370百万円となった。流動資産では現金及び預金が3,440百万円増加したほか、売掛金が2,984百万円増加した。固定資産では、大型の設備投資がなかったことや減価償却が進んだことにより有形固定資産が2,237百万円減少した一方で、新基幹システムの開発進展に伴い無形固定資産が500百万円増加した。新基幹システムについては総額約1,800百万円の投資となる(5年定額償却)。
負債合計は前期末比2,956百万円増加の28,391百万円となった。有利子負債が1,221百万円減少した一方で、買掛金が1,775百万円、未払金が1,024百万円及び未払法人税等が692百万円増加したことによる。また、純資産は前期末比2,184百万円増加の38,978百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより利益剰余金が2,429百万円増加した一方、減少要因として自己株式取得により自己株式の増加が278百万円あった。
経営指標は、自己資本比率は57.9%と引き続き高い水準を維持している。有利子負債については、設備投資などの大きな資金需要は近年発生しなかったことから減少傾向が続いており、有利子負債比率は2020年3月期末の45.8%から17.7%まで低下した。同様にネットキャッシュ(現預金-有利子負債)は、4,886百万円の損失から8,848百万円と5年間で13,734百万円の改善となり、財務体質の改善が大きく進んだ。
収益性に関しては、コロナ禍以降は原材料費上昇などもあって厳しい状況を強いられる局面もあったが、2024年3月期は価格改定効果により営業利益率で3.3%とコロナ禍前である2020年3月期の3.9%に近い水準まで回復し、ROAは4.8%、ROEは7.2%とそれぞれコロナ禍前の水準(4.5%、6.1%)を上回った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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提供:フィスコ