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4707 キタック

東証S
394円
前日比
+2
+0.51%
PTS
363.3円
23:58 12/04
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.2 0.67 1.27 201
時価総額 23.5億円
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「巨大地震」への警戒強める日本列島、国土強靱化で獅子奮迅の有望株 <株探トップ特集>


―防災は1日にして成らず、自然災害の頻発化で改めて求められる日頃からの備え―

 「防災関連 株」が、にわかに注目を集めている。「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されて以降、防災への意識が一段と高まった格好だ。注意の呼びかけは15日に終了したが、日頃からの巨大地震や大規模自然災害への備えは怠れない。更に16日には、非常に強い勢力の台風7号が、関東や東北の太平洋側に接近し警戒を強めたことも「国土強靱化 」の重要性を改めて感じさせるものとなった。防災・減災は1日にして成らず、関連銘柄を点検した。

●呼びかけ終了も「可能性がなくなったわけではない」

 「巨大地震注意」に伴う、政府としての特別な注意の呼びかけが15日に終了した。ただ、気象庁は「大規模地震の発生の可能性がなくなったわけではない」とし、「日頃からの地震への備え」については、引き続き実施するよう求めている。

 8日午後4時43分ごろ、宮崎県沖の日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生。これを受けて、南海トラフ地震との関連性について検討した結果、想定震源域では「大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっている」として、気象庁は「巨大地震注意」を発表していた。ことさら不安をあおる訳ではないが、南海トラフ地震は、平常時でも今後30年以内に発生する確率が70~80%あることに変わりはない。気象庁では「昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約80年が経過していることで切迫性の高い状態」であると、改めて注意を促している。

●地盤HD、デンヨーなどに思惑買い

 この巨大地震注意を受けて、翌9日の株式市場では敏感に反応する銘柄が相次いだ。地盤ネットホールディングス <6072> [東証G]をはじめとする地質調査 や防災関連株に思惑的資金が入り急伸。地盤HDは一時、前日比で28%近く上昇するなど、一気に投資家の関心が高まった格好だ。同社は巨大地震注意が出たことで、大規模地震への対策に向けた同社のサービス活用と、その後の具体的な対策方法について相談できる「JIBAN相談センター」を13日に開設した。会社側では「当面は続けていく」(広報)と話す。株価は急伸後も崩れることなく、きょうも堅調推移となっている。

 また、可搬形発電機を手掛けるデンヨー <6517> [東証P]にも物色の矛先が向かい、一時ストップ高まで買われる場面があった。非常時における、電源確保の重要性が意識されたようだ。同社は、8日後場取引時間中に25年3月期第1四半期(4-6月)決算を発表。連結営業利益は前年同期比72.2%増の17億1600万円で着地し、上期(4-9月)計画23億円に対する進捗率は75%に達した。日本においては、国内レンタル市場向けを中心にして可搬形発電機の出荷が堅調に推移した。また、非常用発電機においても、より収益性の高い中・大型の防災用発電機の出荷が増加したという。

●広い裾野の防災関連

 国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(2021~25年度)は、5年間の事業規模が約15兆円と巨額だ。対策数は123としており、重点的・集中的に対策を行っている。こうした巨費を投じ、国土の強靱化を目指した取り組みが進むが、激甚化する気象災害に加え、南海トラフ地震などの大規模地震が切迫するなか、国の施策に頼るだけではなく、個人レベルでの防災・減災対策も待ったなしの状況にある。防災対策の裾野は非常に広い。長期間にわたる治水対策や港湾における津波対策、災害に強い街づくり、そして近年では予防保全によるインフラの老朽化対策も大きな課題となっており、株式市場でも折に触れテーマ性を発揮している。

 災害への備えはたやすくない。まさに、“ローマは1日にして成らず”の名言に相通じるものがある。防災も長期にわたる活動の積み重ねがあってこそのものだ。ただし、巨大地震発生の可能性が高まるなか、スピード感を持った対策が重要になることは言うまでもない。

●応用地質、ITbookにも関心

 巨大地震注意の発表で、前出の地盤HDのほかにも応用地質 <9755> [東証P]やITbookホールディングス <1447> [東証G]といった地質調査や改良に絡む銘柄に投資家の関心が向かった。

 応用地質は、国や自治体の防災計画に係る地震・津波・火災などによる被害予測や防災計画の策定支援なども手掛けており、公共投資の比率が高い。今月7日、地盤表層の変位を傾斜センサーを用いて計測する表層傾斜計「クリノポール」が国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録されたと発表した。4月には土砂災害の予防保全を目的に、従来製品の特長を生かし進化した「クリノポール NEO」を発売している。9日に発表した24年12月期上期(1-6月)決算では、連結営業利益が前年同期比2.3倍の23億4000万円となり、通期計画の35億円に対する進捗率は66%と好調に推移している。また、ITbookは今年3月、グループ企業が国交省関東地方整備局・京浜河川事務所と「災害時等応急対策業務(地質調査)に関する協定」を締結したと発表。ちなみに、同社は9月1日に商号を「SAAFホールディングス」に変更する。

●日基技は高値奪回視野、通期計画超過のキタック

 日本基礎技術 <1914> [東証S]は、基礎工事の大手で地盤改良や地すべり対策工事に強みを持ち、社会基盤維持強靱化、防災・減災対策、環境・汚染対策を基軸に事業を展開している。13日取引終了後、25年3月期第1四半期(4-6月)決算を発表。連結営業利益が前年同期比2.6倍の7億2500万円と急拡大し、既に上期(4-9月)予想の6億7000万円を超過した。5日に直近安値467円をつけたが、この決算がポジティブサプライズとなり、14日には急伸しストップ高に。6月18日につけた年初来高値735円奪還も視野に入っている。

 新潟を地盤とする建設コンサル中堅のキタック <4707> [東証S]にも注目したい。5月に発表した24年10月期上期(23年11月~24年4月)の連結営業利益は前年同期比81.6%増の2億3600万円に拡大し、通期計画の2億1200万円を既に超過した。同社は、自然災害が頻発化・激甚化するなか、復旧工事や災害防止のための需要、災害発生の予兆把握のための需要が継続すると予想。また、同社グループは1月1日に発生した能登半島地震で、官公庁や業界団体からの要請に応じて被災地の復旧に携わっている。8月30日に決算発表を控えており、その内容が注目される。

●矢作建「ピタコラム」、住友理工は「TRCダンパー」

 矢作建設工業 <1870> [東証P]は中部地区の大手建設で、巨大地震の被害が懸念されるなか、独自の完全外付耐震補強工法「ピタコラム」や耐震・制振・免震技術など、さまざまな技術の開発、実用化を進めニーズを捉えている。同社の耐震補強は、学校や庁舎など公共施設を中心に日本全国で4400件以上採用(24年4月時点)されており、信頼感は群を抜く。また、急斜面地の補強などで豊富な経験と実績を持ち、シェア拡大にも余念がない。8日に発表した25年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比5.3倍の7億2600万円に急拡大し、上期(4-9月)計画の9億円に対する進捗率は80%に達している。

 住友理工 <5191> [東証P]は自動車用防振ゴム大手だが、制震システム「TRCダンパー」で需要を獲得している。6月には、同社のビル用制震システムTRCダンパーが、同月に開業した名古屋駅徒歩7分の第2名古屋三交ビルに採用されたと発表。同システムは、特殊粘弾性ゴムを使用した、オフィスビルやマンションなど中高層ビルの地震対策に有効なシステム。これまでに、国内外で150棟以上のオフィスビル・マンションに設置されているという。木造住宅用もあり、既存住宅のリフォームにも適し余震などの繰り返しの地震にも高い効果が期待できる。7月31日に発表した25年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比36.6%増の89億9800万円で着地。同時に通期の営業利益見通しを、従来の295億円から315億円(前期比7.3%減)に引き上げている。

●ニーズ捉えるヤマックス

 コンクリート2次製品メーカーで九州最大手のヤマックス <5285> [東証S]は、大型コンクリート構造物のプレキャスト化の普及拡大を推進し、国や各地方自治体の防災・減災、国土強靱化の動きにも対応しニーズを捉えている。同社株は、巨大地震注意の発表を受け、9日には株価が急動意し一時22%高まで買われる場面があり、防災関連の一角として注目度の高さをうかがわせるものとなった。8日の取引時間中に発表した25年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は、前年同期比3.2倍の6億3800万円となり、上期(4-9月)計画8億5000万円に対する進捗率は75%に達した。また、通期計画では前期比9.6%増の20億円と過去最高益更新を予想している。

●やまびこ、発電機で活躍期待

 屋外作業機械で国内トップクラスのやまびこ <6250> [東証P]は、新ダイワブランドで可搬形ディーゼル発電機、防災設備用ディーゼルエンジン発電装置や、数多くの小型発電機を手掛けており、防災分野でも関心を集めている。同社が9日の取引終了後に発表した24年12月期上期(1-6月)の連結営業利益は、前年同期比11.4%増の113億8600万円に伸び、従来の2.2%減益予想から一転して増益で着地した。通期ベースでは、連続の最高益更新を計画している。国内外ともに、旺盛な建設工事需要などを受けてディーゼル発電機の販売が好調だが、防災意識の高まりからニーズを捉えそうだ。

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