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6810 マクセル

東証P
1,772円
前日比
+11
+0.62%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.7 0.80 2.82 0.91
時価総額 881億円
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マクセル Research Memo(4):前中期経営計画MEX23は未達となるも、定性的には大きな成果あり


■中期経営計画

1. 前中期経営計画MEX23の振り返り
マクセル<6810>は、2021年3月期に断行した構造改革をターニングポイントとして、2030年に向けて「独自のアナログコア技術で、社員・顧客・社会にとってのMaximum Excellence(最高の価値)を創造する」長期ビジョンを策定し、3つのフェーズに分けて成長戦略を推進している。第1フェーズとなった前中期経営計画MEX23では「価値にこだわる」を基本方針として、2024年3月期に売上高1,250億円、営業利益125億円などを目指すこととなった。このため、アナログコア技術を軸とした既存事業のメリハリ付け、新事業の集約と仕込み、営業体制の見直し、経営基盤の横串化などの成長戦略を実行し、既存事業ではプロジェクター事業の縮小や国内BtoC販売事業の移管により収益性と資本効率を改善、新事業ではリソースの効率的運用により重要テーマである全固体電池の開発を前倒し、営業では事業部・営業製品別から顧客別営業へのシフトにより提案力を強化、経営基盤ではバックオフィス機能の全社横串化と基幹システムの共通化推進など、定性面で大きな成果があった。しかし定量的には、コロナ禍の長期化や原材料高といった外部環境変化に加え、顧客の技術課題を十分に捉えきれなかったことを要因に、十分な結果を得られなかった。


MEX26で2027年3月期に営業利益12,000百万円を目指す
2. 新中期経営計画MEX26
同社は長期ビジョン実現に向けた第2フェーズとして、2025年3月期に始まる3ヶ年の中期経営計画MEX26を策定した。MEX26では、MEX23の反省に立つとともに、モビリティ革命やICT/AI革命、人/社会インフラの高度化といったメガトレンドを捉え、既存事業の成長分野となる「モビリティ」「ICT/AI」「人/社会インフラ」の3分野に注力することとした。このため既存事業のメリハリ付けを継続しつつ、成長戦略の柱として、先行開発の推進や新市場開拓の強化、積極的な設備投資など経営資源を注力3分野に重点的に配分する方針とした。加えて、新事業では、全固体電池にフォーカスして用途開発や顧客開拓を加速することで事業化を促進し、継続して販売できる事業ステージを目指す一方、全固体電池に続く新たなテーマの開発も検討する。営業では、技術営業体制を強化して顧客の技術的課題やグローバルの対応力を引き上げ、経営基盤では、横串化したシステムの運用を通じて業務改善や人財強化を継続するとともに、サステナビリティ経営を進めていく。これにより、MEX26の最終年度となる2027年3月期に、売上高150,000百万円、営業利益12,000百万円、ROIC7.5%、ROE10.0%を目指す。なお、MEX26では引き続き「価値(企業価値・利益成長)にこだわる」を基本方針とし、PBR1.0倍超の実現を念頭に、総還元性向を重視した株主還元強化策を講じていく。

セグメント別では、セグメントの中身を注力3分野の高収益・高成長事業へ入れ替えていく計画だ。エネルギーでは、民生用リチウムイオンが厳しくなる二次電池※を一次電池でカバーし、売上高385億円(2024年3月期比10.1%増)、営業利益25億円(同5倍)を計画している。また、半導体工程用テープや建築・建材用テープのけん引が見込まれる機能性部材料は、売上高376億円(同24.7%増)、営業利益27億円(同100%増)、前期に実行した改革の効果を刈り取る予定のライフソリューションは、売上高287億円(同26.7%増)、営業利益20億円(同3.2倍)を予定している。3セグメントで大幅な増収増益を目指す一方、光学・システムについては、前期まで車載カメラ用レンズユニットが大きく伸長した反動と、コロナ禍で顧客の技術開発が進まなかったことによる端境期により、売上高452億円(同9.3%増)、営業利益48億円(同14.4%減)という予想だ。

※二次電池:一次電池は使い切りタイプ、二次電池は充電して繰り返し使うことができる電池。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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