貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7011 三菱重工業

東証P
2,329.0円
前日比
+73.0
+3.24%
PTS
2,305円
23:58 11/08
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
34.0 3.47 0.94 7.24
時価総額 78,572億円
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【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─企業価値の源泉 「フリーキャッシュフロー」で銘柄選別!


「企業価値の源泉『フリーキャッシュフロー』で銘柄選別!」

●米国の9月利下げを先取る動きが日本にも波及

 7月半ば以降、心配材料のラッシュに見舞われてきた株式市場に、最近はポジティブ材料が出現するようになっている。なかには以前ならネガティブ材料視された内容であるにもかかわらず、好評価されているものさえある。投資家マインドがプラス方向に振れつつあると見てよいだろう。特に、先週は歓迎すべき発表が相次いだ。

(1)8月13日発表の7月の米国生産者物価指数(PPI)。結果は前年比で2.2%上昇と前回の2.7%上昇や市場予想の2.3%上昇を下回った。

(2)米労働省が14日に発表した米国7月の消費者物価指数(CPI)。こちらは前月比0.2%と6月の0.1%低下から上昇した。前年比では2.9%上昇となり、伸びは前月の3.0%から鈍化。2021年3月以来、前年比上昇率が初めて3%を下回った。

(3)15日発表の米国7月小売売上高。前月比1.0%増加し、事前の市場予想(0.3%増)を上回った。個人消費が底堅く推移していることが明らかになった。

(4)15日発表の米新規失業保険申請件数。8月10日までの1週間の数値は前週比7000件減の22万7000件と2週連続の減少だった。雇用の過熱は沈静化しつつあるとみられる。

 これらが指し示すのは、米国経済は引き続き好調なものの勢いは衰えており、FRB(米連邦準備制度理事会)に9月利下げを促す形になっている。そのため、米国市場はそれを先取る形で上昇しており、東京市場にもそれが波及していることになる。しかも嬉しいことに、東京市場には企業の成長発展に不可欠なフリーキャッシュフローが向上をみせている銘柄が多い。

●フリーCFの趨勢が拡大たどる企業に着目

 フリーキャッシュフローとは、企業が事業活動で得たキャッシュから出費を差し引いた残りのキャッシュのこと。それを知るには、企業が発表しているキャッシュフロー計算書を見ればよい。それには以下の3種類のキャッシュフローが掲載されている。

(1)営業キャッシュフロー
(2)投資キャッシュフロー
(3)財務キャッシュフロー

 フリーキャッシュフローは簡易的に(1)の営業キャッシュフローと(2)の投資キャッシュフローの値を足すこと(「営業キャッシュフロー」+「投資キャッシュフロー」=「フリーキャッシュフロー」)で求めることができる。ソニーグループ <6758> [東証P]を例に取ると、2024年3月期の営業キャッシュフローは1兆3732億円、投資キャッシュフローは-8188億円なので、フリーキャッシュフローは「1兆3732億円」+「-8188億円」=5543億円となる。計算が面倒という方は、「株探」に各企業のフリーキャッシュフローのデータが掲載されているので、是非そちらをご覧いただきたい。

 では、このフリーキャッシュフローがどうなればよいのか。前々期に比べて前期が増加、そして今期も増える――こうなればよい。

 フリーキャッシュフロー(以下、フリーCF)はその名称のとおり、企業が自由に使えるキャッシュで、増えれば新規事業のための投資や借入金の返済を行ったり、配当を増やす、自社株買いを実施するといったことができる。だが、逆にフリーCFが減れば、それらを実行しにくくなる。

 つまり、投資対象としてふさわしいのは、フリーCFがこれまで増加してきており、今後もそれが見込める銘柄となる。

 こんな観点から注目したいのは、まずはZOZO <3092> [東証P]だ。同社の前々期のフリーCFは260億円、前期は327億円、そして今期は売上高、営業利益ともに増収増益予想なので、フリーCFの増加が予想され、株価は続伸が見込めることになる。

 中外製薬 <4519> [東証P]も、こんな条件を満たす銘柄になる。前々期のフリーCFは981億円、前期は3726億円と増加している。そして今期は増益予想であり、フリーCFも……となるため、株価は目先調整があっても、再起力は強いと見てよい。

 三菱重工業 <7011> [東証P]もフリーCFを重視する経営を行っているとみられ、前々期のフリーCFは353億円だったが、前期は2001億円と急増している。今期についても問題なく増加が予想されるため、株価は引き続き期待が持てることになる。

 伊藤忠商事 <8001> [東証P]はどうか。前々期フリーCFは4842億円。前期は7721億円となっている。そして、今期もさらに増加が見込めるため、これまた魅力度が高い。

 地味な値動きながらキヤノン <7751> [東証P]が自社株買いを継続的に実行できるのも、フリーCFが増え続けているから。同社のそれは前々期817億円、前期は1758億円だった。今期も収益予想から見て増加が見込めるため、株価は目先調整があっても回復は早いだろう。

 この企業がこれほどフリーCFが潤沢なのか、という銘柄があるが、リクルートホールディングス <6098> [東証P]もそんな企業の代表銘柄だ。前々期は4055億円、前期は4665億円。今期はさらに増える見込みであり、しかも1兆9641億円もの利益剰余金を有している。それでいて今期の配当は1円増やして24円の予定だ。私がアクティビストなら、「もっと増やしていいのでは? 4倍の100円にしても……」と提言を行いたい。

2024年8月16日 記

株探ニュース

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