テクマト Research Memo(7):情報基盤事業が好調持続、アプリケーション・サービス事業も収益性向上(2)
■テクマトリックス<3762>の業績動向
(3) 医療システム事業
医療システム事業の売上収益は前期比8.0%増の10,092百万円、営業利益は同21.8%減の1,559百万円※と増収減益となったが、会社計画(売上収益9,390百万円、営業利益1,380百万円)に対しては旧PSPのオンプレミス型PACS製品のクラウドシフトが想定を下回ったことから、それぞれ上振れて着地した。また、受注高は同6.3%増の11,719百万円、期末の受注残高は前期末比24.6%増の13,377百万円となり、それぞれ過去最高を更新した。
※2023年4月より、新生PSPにおいて旧PSPと旧NOBORIの人事制度を統一したため、有給休暇やリフレッシュ休暇の費用98百万円を第1四半期に計上した。同要因を除けば営業利益は前期比16.9%減の1,657百万円だった。
会社別の売上動向を見ると、PSPはクラウド型PACSの新規・更新契約が堅調に推移したほか、旧PSPや競合他社のオンプレミス製品からのリプレイスも進んだことから前期比1ケタ増収となり、計画を超過した。個人向けPHR(医療情報共有アプリ「NOBORI」)についても、利用できる医療機関の開拓が進んだ。医知悟の売上収益は、安定した読影実績を維持したことから同1ケタ増収となり計画を超過した。A-Lineは、PSPグループのネットワークを活用して販売に取り組んだ結果、医療機関への導入件数が拡大し同2ケタ増収となり、利益ベースでも収支均衡水準まで近づいた。
営業利益の減益要因としては、2023年3月期の夏季賞与引当不足を2022年3月期に計上したことにより、2023年3月期の営業利益が嵩上げされていたこと、またPSPの処遇制度統一に係る一時的費用98百万円の計上、開発人員を中心とした増員に伴う販管費の増加、ソフトウェア開発に伴う減価償却費の増加などがある。
なお、ストック売上比率は前期の49.1%から49.9%と若干の上昇となり、金額ベースでは同9.9%増の4,855百万円となった。一方、非ストック売上も同6.5%増の4,871百万円と伸びたが、旧PSPのオンプレミス製品で大口の更新案件を売上計上したことによる。大規模医療機関ほど利用環境の変化を好まない傾向にあるようで、旧PSPユーザのクラウドシフトが完了する時期は当初想定より遅れあと数年伸びることになりそうだ。ただ、2026年4月にシステム製品を統合するというスケジュールは変わりない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《AS》
提供:フィスコ