澁澤倉庫 Research Memo(9):企業価値向上に向け400億円規模の成長投資を検討
■中期経営計画
4. 資本コストや株価を意識した経営
澁澤倉庫<9304>は、成長戦略を支える経営基盤を構築するため、資本コストや株価を意識した経営も推進している。具体的には、1倍割れしているPBRの改善に向け、ROEとPERを向上する取組みを進めている。ROEの向上では、トップラインの成長、利益率の改善、適切な資本政策の推進により、マイルストーンとして「中期経営計画2026」の期間にROE7%以上を実現し、「Shibusawa 2030 ビジョン」では資本コストを十分に上回るROE10%の長期安定的達成を目指す。PERの向上では、リスクプレミアムを引き下げて株主資本コストを低減するとともに成長戦略を着実に実行することで、期待利益成長率を高める方針である。また、IR活動を通じて、こうした取組みを発信していく。
また、企業価値の向上に向け、成長投資も着実に実行する計画である。「中期経営計画2026」期間中、営業キャッシュフロー250億円のほか、財務健全性維持を前提とした外部負債の活用や資産処分により最大600億円規模のキャッシュインを見込んでいる。これに対して、必須である更新投資100億円とは別に、400億円規模の成長投資と100億円の株主還元を検討している。なお、成長投資は、M&Aや資本提携も含め、国内事業の基盤強化、海外事業の強化・拡大、不動産ポートフォリオの拡充、事業領域の拡大・新規事業開発、DX/IT、ESG経営の強化などに充てる考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《AS》
提供:フィスコ