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桂畑誠治氏【強弱観対立の東京市場、中銀ウィークでどうなる】 <相場観特集>


―目先強調展開も不透明、7月に向けて相場の方向感出るか―

 週明け10日の東京株式市場は日経平均株価が大幅反発しフシ目の3万9000円大台を回復した。終値での3万9000円台乗せは5月23日以来となる。前週末の5月の米雇用統計は雇用者数の伸びが予想を大きく上回る内容だったが、米国株市場は長期金利上昇を横目に狼狽することもなく、底堅さを発揮した。東京市場では折からの円安も味方して主力株中心に幅広く買い戻され日経平均を押し上げた。今週は日米中銀の金融政策会合が予定されていることで、その内容にも耳目が集まる。ここからの相場展望について第一生命経済研究所の桂畑誠治氏に話を聞いた。

●「3万9700円上限のもみ合い継続」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京株式市場は足もと強含みながら強気に傾いているというわけではなく、強弱観が錯綜している。日経平均は向こう1ヵ月程度の期間で上下に明確なトレンドが発生することは想定しづらく、基本的にはもみ合い圏での推移を予想する。

 注目された前週末発表の5月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数の伸びが前月比27万2000人増で予想の19万人から大きく上振れたほか、平均時給も前月比0.4%増と事前予想を上回った。ただ、失業率は4.0%で前月の3.9%から上昇している。労働参加率が下がっている現状を考慮すると、実質的にはもっと失業率は高い状態にある。しかし、マーケットは雇用者数の伸びなどを受け米景気の減速懸念が薄まったという解釈で、FRBによる早期利下げ期待が後退した。今週11~12日の日程で行われるFOMC後に公表されるドットチャートでは、FRBによる年内の利下げ回数は、前回3月開催時の年内3回から年内2回もしくは1回以下に僅差で修正されるとみられ、タカ派的なスタンスが維持される可能性が高い。

 一方、今週は13~14日に行われる日銀の金融政策決定会合にマーケットの関心が集まっている。現在月6兆円程度とされている国債の買い入れ額の減額を明示する公算が大きい。更に、追加利上げがいきなり決定される可能性はほぼないといえるものの、植田日銀総裁に7月利上げを匂わせるようなニュアンスの発言があれば、東京市場にとっては波乱要因となるケースも考えられる。なお、東京市場では追加利上げ後、日銀がどういう金融政策の舵取りをするかを気にしているところがあり、今後拙速気味に段階的な利上げが行われることへの警戒感が投資家を慎重にさせている面もあるようだ。

 7月中旬にかけて、向こう1ヵ月の日経平均は比較的狭いゾーンでのもみ合いが予想され、レンジとしては下値3万7500円から上値3万9700円前後のボックス圏推移を見込む。一方、米国株市場の方は、今週のFOMCでのドットチャートやパウエルFRB議長の記者会見に大きく左右されそうだが、中期的には押し目を形成しつつも右肩上がりの相場に変化はないだろう。NYダウは戻り売り圧力で上値の重い展開が見込まれるものの、FOMC通過後は目先アク抜け感から、上値を慕う展開が予想される。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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