【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ ヒット製品を擁する"強者企業"で正面突破!
株式アドバイザー 北浜流一郎
「ヒット製品を擁する“強者企業”で正面突破!」
●市場の声が教えてくれるもの
米国の5月雇用統計は、皆さんがこの記事がご覧になっている時にはすでに発表されているはずだ。予想は非農業部門の雇用者数が19万人前後増加するだろう、だった。4月は17.5万人増だったので、19万人増程度ならマイナス材料にはならず、米国、そして東京市場も上昇しておかしくはない。もちろん、驚くほどの増加、たとえば25万人増もなくはない。その場合は当然のごとく株式市場は売られてしまうだろうが、いまは統計の内容と市場の反応を待ちたい。
それにしても毎回のことながら、米国の雇用統計には困惑させられる。経済の専門家やアナリストたちの予想は外れることが多いからだ。そのため、市場予想にとらわれずに、結果を待つほかはなく、私は今回もそうしている。現在の米国市場の関心事はただ一つ。金利がいつ頃下がり始めるのか。これであり、雇用統計もそれに関わる要因となるため気にせざるを得ないのだが、ここで改めて記憶を蘇らせたいのは、「市場のことは市場に聞け」という投資格言だ。前述したように、確かに雇用統計は無視できないが、株式市場は足もとで米国、東京市場ともに堅調そのものの動きになっている。
特にそれが際立つのは、 S&P500だ。NYダウよりもリアルに米国市場の動向を教えてくれるこの指標は、史上最高値を更新中だ。これを市場の声とするなら、「米国市場は強い。だから上昇している。もっと上がるよ」と聞こえる。
では、東京市場はどうか。日経平均株価よりTOPIXがよりリアルに東京市場の現状を教えてくれるので同指標を見ると、ここ4営業日は失速中ながら、4月19日に安値を付けたあと回復に転じ、いまも上向きのトレンドをキープしている。S&P500の圧倒的な上昇力に比べると見劣りがするどころではないものの、東京市場なりの回復力は保っていることになる。
しかも、幸いなことに自動車の認証不正問題が発覚したにもかかわらず、立ち入り検査を受けたり、今後受ける可能性があるトヨタ自動車 <7203> [東証P]、マツダ <7261> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、スズキ <7269> [東証P]、ヤマハ発動機 <7272> [東証P]などの株価が大きく下げずに済んでいる。スズキとヤマハ発動機は先週末、ごく小幅ながら反発した。
日本を代表する自動車メーカーの不正なのだから、株価はもっと下げてもおかしくなかった。しかし、そうはならなかったのだ。メーカー各社に対する信頼性は揺らがなかった。こう解釈することができ、まだ株価が上がるところまではいっていないものの、今後見直し買いによる上昇とともに、市場全体も力強さを取り戻すことだろう。このような状況での投資先は、やはりヒット製品を持つ企業にしたい。
●インドの高成長期待は不変、NEXT インド株式も復活へ
そこで、まずは富士フイルムホールディングス <4901> [東証P]だ。富士のヒット製品とはなにか。ちょっとすぐには思いつかない。こんな人が多いのではないか。しかし、実はこの会社は国内ではなく、海外で強力なヒット製品を持っている。インスタントカメラの「チェキ」だ。国内で使っている人を見かけることは多くはないが、海外では爆発的な人気製品なのだ。外国人たちは「チェキ」で撮影した写真をその場で見せ合って、皆でワイワイと愉しんでいるようなのだ。そのほか、富士はコピー機や印刷機などにも強く、株価はすでにかなり高くはなっているが、さらなる高値が見込める。
広告や看板、そして布地、衣料、小物などあらゆるものにプリントできる産業用印刷機のメーカーであるミマキエンジニアリング <6638> [東証P]も、海外での活躍が際立つ企業だ。米国でTシャツ印刷機の需要が伸び、当然収益も好調であり、株価は続伸する確率が高い。
国内で圧倒的強みを持つ製品で市場をほぼ独占しているのが、アネスト岩田 <6381> [東証P]だ。ハンドスプレーガンで実に70%のシェアを持っているのだ。そのため、「塗装機といえば岩田。岩田といえば塗装機」といわれるほど。今後はインドでの拡販も見込めるため、株も有望度は高い。
ダンプなどの特装車で国内首位の新明和工業 <7224> [東証P]は、同時に防衛省向け救難飛行艇に強い。日本を取り巻く厳しい軍事情勢を考えると、救難飛行艇は何機あっても足りないといえるほど。そのため、今後防衛省から発注は途切れることがないばかりか、次第に増加すると見るのが自然。株価は現在調整中なので魅力的だ。
最後にヒット製品を持つ企業から離れて、NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信 <1678> [東証E]を。インド総選挙でモディ首相が率いる与党が議席を減らしたことで、NEXT インド株式は大きく売られてしまった。正直こんなことで売られるとは信じられない。モディ政権が議席を減らしたぐらいのことで、インド経済の発展が止まることはないからだ。昨年度のGDPは実に8.2%も成長したのだ。今年も同様のペースで成長し、株価は戻ると見てよいだろう。
2024年6月7日 記
株探ニュース