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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9310 日本トランスシティ

東証P
990円
前日比
-7
-0.70%
PTS
992円
12:47 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.6 0.71 3.48 22.33
時価総額 665億円
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明日の株式相場に向けて=「低PBR・バリュー」のビッグウェーブ

 週明け10日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比354円高の3万9038円と反発。ようやく3万9000円台にたどり着いた。しかし、岸といえるのは4万円大台でまだまだ距離がある。上陸するにはもうひと泳ぎしなければならない。

 前週末7日の日本時間夜9時半、つまり米国株式市場の朝方取引開始前に発表された5月の米雇用統計は、相場の波乱要因となっても不思議のない内容だった。ここ米国の経済指標は一様に景気減速を指し示す内容であったことから、おそらく今回の雇用統計もそれを裏付けるような数字が並ぶかと思いきや、非農業部門の雇用者数の伸びは事前コンセンサスを大幅に上回る27万2000人となった。更に平均時給も予想を上回り伸びが加速する結果に。冷静にみれば失業率の方は上昇しており、労働需給がタイト化しているともいえないのだが、カナダ中銀、ECBに続き、FRBも利下げのカードを切るタイミングが近づいているという思惑に水を差す形となったことは確かだ。ところが、米株市場は雇用統計の結果を至ってクールに受け止め、米長期金利の上昇などどこ吹く風で取引時間中はダウナスダック指数ともにプラス圏で推移する場面もあった。両指数ともマイナス圏で引けたとはいえ少なくとも弱気優勢の地合いではなかった。

 週明けの東京市場では外国為替市場でドル高・円安方向に振れたこともあって半導体関連株が買い戻され日経平均の上昇を後押ししたが、値上がり上位業種を見ると保険、銀行、倉庫、非鉄、自動車、鉄鋼などのバリュー株が目立ち、グロース系銘柄からの資金シフトが静かに進んでいることをうかがわせる。東証が毎月15日をメドに発表している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業リストが注目を集めるなか、低PBR株の資金誘引力が増している。もちろん、成長投資や株主還元など低PBR脱却に向けた経営努力を見込んでの流れであり、東証号令に歩調を合わせるアクティビスト(物言う株主)の存在も株高に向けた思惑に一役買っている。

 8日にアップされた株探トップ特集「低PBR特選10銘柄」でも紹介された安田倉庫<9324>の上げ足は、突然変異型のミーム株といえば大げさだが、小型成長株と見まがうほどの軽い上げ足で上場来高値圏を突き進んでいる。しかし、PBRはわずかに0.55倍に過ぎない。また、三菱製紙<3864>も持ち前の材料株素地を開花させ、商い急増のなか9%高と値を飛ばした。こちらはPERが4倍台で、PBRはきょうの急騰を反映してようやく0.4倍ちょうどまで水準を切り上げた。仮に会社の解散価値と同等まで買われるとしたら、時価からダブルバガー以上のパフォーマンス(一株純資産は前期実績ベースで2076円)となる。こうなると、2匹目のドジョウを狙おうという思惑にも駆られるが、2匹目どころではなく、今の東京市場にはその候補が何百匹とうごめいている。

 もちろん、そのすべてが株高パフォーマンスを演じられるわけではないが、これまではエキストラに徹していたものの、実は成長株顔負けの役者がかなり含まれているということがマーケットにも伝わり始めた。にわかにスポットライトを浴びた安田倉と同じ倉庫株では日本トランスシティ<9310>も目を見張る俊足ぶりを発揮。きょうはザラ場4ケタ大台乗せでいったん利食われたが、同社株のチャートは低PBR株=万年割安のイメージを払拭するに十分過ぎるインパクトがある。

 このほか、鉄道向け信号大手の京三製作所<6742>、コーティング材主力の化学メーカー藤倉化成<4620>、地盤改良工事の専業である日本基礎技術<1914>などは上値指向が鮮明でマークしておきたい。更に半導体関連の実力株で真空シールでは過半の世界シェアを持つニッチトップ、フェローテックホールディングス<6890>が0.6倍台の低PBR株であることに驚かされる。

 あすのスケジュールでは、5月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から開示される。後場取引終了後には5月の工作機械受注額(速報値)が発表される。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にD&Mカンパニー<189A>が新規上場する。海外では米連邦公開市場委員会(FOMC)が12日までの日程で開催される。また、5月の全米自営業者連盟(NFIB)中小企業楽観度指数が開示。このほか、5月の英失業率も発表される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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