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3479 ティーケーピー

東証G
1,217円
前日比
-28
-2.25%
PTS
1,218.6円
13:47 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.3 1.18 13.93
時価総額 516億円
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TKP Research Memo(5):2024年2月期は貸会議室需要の回復等による大幅増益で、最終利益は過去最高更新


■決算概要

2. 2024年2月期の連結業績
ティーケーピー<3479>の2024年2月期の連結業績は、売上高が前期比27.6%減の36,545百万円、営業利益が同28.9%増の4,607百万円、経常利益が同47.5%増の4,517百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)が6,975百万円(前期は4,936百万円の損失)と、リージャス事業売却により減収となるも、需要回復に伴い大幅増益を実現した。経常利益はコロナ禍前(2020年2月期)比で95%の水準に回復し、最終利益は税効果の持越し分(約32億円)※も加わって過去最高を更新した。

※リージャス事業売却により発生した子会社(特別目的会社)における繰越欠損金を同社が承継したことにより、当該繰越欠損金に係る繰延税金資産を第1四半期に計上したことに伴うもの。


リージャス事業売却による影響を除く売上高は、行動制限の緩和や人材育成需要の高まりを受け、主力の貸会議室・懇親会需要が本格回復したほか、インバウンド及び国内旅行の回復・急増を背景とする宿泊売上高の伸び※1により増収(前期比17.7%増)を確保した。重視するKPIである「坪当たり売上高」※2は、稼働率の向上や懇親会再開に伴う料飲売上高の伸びにより大きく伸長し、業績の底上げに寄与した。主なサービス別売上構成比を見ると、「会議室料」が39.8%、「オプション料」が13.4%、「料飲」が12.6%、「宿泊」が22.5%となっているが、「料飲」※3及び「宿泊」の伸びが著しく、今後の伸びしろとしても期待できる。

※1 宿泊売上高は前期比16.3%増の8,206百万円に伸び、初めて年間売上高が80億円を突破した。
※2 大型出店など床面積の拡大を図りながらも、第4四半期の「坪当たり売上高(月平均)」は33,286円(前年同四半期比4,259円増)に伸長し、コロナ前同四半期(2020年2月期第4四半期)比で87%の水準まで回復した。
※3 特に第4四半期の「料飲」については前年同四半期比で約2.3倍に伸長し、コロナ禍前同四半期(2020年2月期第4四半期)比で80%の水準まで回復している。


一方、損益面では、今後の事業拡大に向けた先行費用(新規出店や採用強化※1、システム開発費など)を積極投下しながらも、リージャス事業売却に伴う減価償却費(及びのれん償却費)の減少や、「坪当たり売上高」の伸びにより大幅な増益を実現した。また、料飲売上高(弁当・ケータリング等)の回復は原価増(外注費増)の要因になったものの、再度内製化※2に向けた体制を整えており、今後のさらなる損益改善が期待できる。

※1 料飲の内製化に向けた調理スタッフの確保に加え、事業拡大に向けた採用活動も積極化しており、2024年春には新卒者が72名入社した。また、インバウンドMICEへの展開を見据え、外国人の採用も強化しており、インドから30名、ネパールから9名が今夏に入社予定である。
※2 コロナ禍の影響を受けて苦戦した料飲部門(ケータリング)については一旦縮小(外注化)したが、懇親会需要の回復を踏まえ、再度内製化に向けた体制づくり(調理スタッフの確保等)を急ピッチで進めている。前期においては需要の拡大に体制づくりが追いつかず、外注費と先行費用が重なる状況となったものの、4月には本格稼働を開始しており、第2四半期には内製化率60%に達する見込みである。


財政状態については、政策投資※による「投資有価証券」や新規出店に伴う「敷金及び保証金」の増加のほか、「繰延税金資産」の増加などにより総資産は前期末比10.0%増の79,327百万円に拡大した。一方、自己資本については、内部留保の積み増しにより同21.3%増の39,809百万円に拡大したことから、自己資本比率は50.2%(前期末は45.5%)に上昇。また、有利子負債は前期末比2.0%増の32,987百万円(ネット有利子負債は918百万円)となり、財務基盤の健全性は確保している。なお、リージャス事業売却により積み上がった「現金及び預金」については、2024年2月末においても32,069百万円が留保されており、今後の成長に向けた活用が注目される。

※リリカラの持分法適用関連会社化を目的とした株式取得(約16億円)や、業務提携を視野に入れたAPAMANの株式取得(推定10数億円、議決権ベースで約14%)など。


3. 2024年2月期の総括
2024年2月期を総括すると、大幅な増益を実現した業績面はもちろんのこと、1) コロナ禍の収束とともに貸会議室・懇親会需要が以前のように戻ってきたこと、2) そしてその需要をしっかりと取り込めていること、3) 仕入れ面も順調に進んでいることが確認できたところに最大の収穫があり、アフターコロナにおいても、同社のビジネスモデルの優位性が失われていないことが実証されたと言える。また、前期実施したリージャス事業売却が損益や財務、今後の方向性にどのような変化を及ぼすのかも注目点の1つであったが、想定どおりに期間損益や財務のスリム化(健全性の強化)が図られたほか、今後の業績の伸びをけん引する仕入れ面に向けても、ターミナル駅を中心に積極的な姿勢や方向性を示すことができた。今後の事業拡大に向けて先行費用(新規出店や採用活動、システム開発等)を増やしたところも自信の表れと言える。また、付加価値の向上をはじめ、多面的な空間利用・再生に向けても様々なところに布石を打っており、スペースとコンテンツの両面で成果を示すことができたと評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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