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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─NYダウは4万ドルの大台乗せ!

経済評論家 杉村富生

「NYダウは4万ドルの大台乗せ!」

●ドラッケンミラー氏が注目を集める!

 海外市場は絶好調である。STOXX欧州600種指数、DAX指数、NYダウナスダック指数は揃って史上最高値圏だ。NYダウは5月16日、瞬間4万0051ドルまで上昇、初の4万ドル台乗せとなった。その後、利食い売りに押されたが、抜群に強い。欧米中央銀行の金融緩和姿勢(利下げ)を先取りする動きだろう。

 アメリカ市場ではゲームストップ<GME>、AMCエンターテインメント・ホールディングス<AMC>、ブラックベリー<BB>などミーム株がフィーバーを演じた。金余り相場の象徴的な現象だが、売り方の踏み上げを巻き込んだ2021年の再現とはならなかったようだ。そもそも、今回はカラ売りがそんなに入っていない。投機筋の学習効果がある。

 ミーム株は経営難の“ボロ株”だが、投資家のキース・ギル氏(ハンドルネーム「ほえるキティ(Roaring Kitty)」がラリーの立役者といわれている。神通力は消えた? 現状はそうなっている。急落だ。半面、プライベートファンドを運営するドラッケンミラー氏のポートフォリオ(3カ月ごとに公開)は内外投資家の注目を集めている。

 直近のポートフォリオでは、エヌビディア<NVDA>を売却、ズームインフォ・テクノロジーズ<ZI>、マーベル・テクノロジー・グループ<MRVL>、コヒレント<COHR>を買い増した。エヌビディアは大幅利食いだったらしい。ただ、彼は「この銘柄の将来性を“良”」と語るとともに、「私はウォーレン・バフェット氏のように気が長くない」とコメントしている。

 ドラッケンミラー氏のファンは日本の個人投資家にも多い。キース・ギル氏と違って、銘柄選別に際しては業績面を重視する。安値ゾーンをコツコツと仕込む手法はウォーレン・バフェット氏に通じる。まあ、株式投資は「良くなる銘柄」の「安いとき、安いところ」をいかに丁寧に拾えるか、これが成否のカギを握っている、と思う。

●ペプチドリーム、巴川コーポレーションなどを!

 一方、日本市場の値動きはインデックス的にはいまひとつさえない。根底には欧米の中央銀行と日銀の金融政策の違いがある。ECB(欧州中央銀行)は年内3回、FRB(米連邦準備制度理事会)は年内2回の利下げに進む見通しだ。日銀は複数回の利上げを準備している。国債の買い入れ額は縮小、長期金利の上昇を招いている。円安阻止の思惑もある。

 とはいえ、個別物色機運は旺盛だ。ここは引き続いて、各論(銘柄)勝負である。それに、長期上昇トレンドは崩れていない。マーケットは円高リスクを気にしているが、これは必ずしも悪い話ばかりではないだろう。外国人は買いやすくなる。物価は抑制される。日銀の利上げペースは一段と緩慢になろう。

 物色面はどうか。まず、ペプチドリーム <4587> [東証P]だ。東大発のバイオベンチャーだが、黒字を継続している。2024年12月期の1株利益は108円(前期は23.4円)を見込む。6月にはノバルティス<NVS>との提携に伴う契約一時金1億8000万ドル(約280億円)を受領する。

 年商287億円(2023年12月期実績)の企業にとって、1.8億ドルは大きい。会社側によると、特定の開発、承認、販売マイルストーンフィーの総額は27.1億ドル(約4220億円)に膨らむ可能性がある、という。株価はここ数日、あまりの金額の膨大さに「信じられない」とし、無反応に近い(ジリ貧)が、いずれ評価されるのではないか。

 広済堂ホールディングス <7868> [東証P]、ナルネットコミュニケーションズ <5870> [東証G]、巴川コーポレーション <3878> [東証S]の2025年3月期予想は増収増益だったが、株価は売られている。決算プレイでは事前に買っていただけに、「材料出尽くし」になりやすい。しかし、徐々に見直しの対象になろう。

2024年5月17日 記

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