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成績は「2勝8敗」の負け越し、それでも億り人の座を掴んだ3つの技
すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 GGRさんの場合-最終回
■GGRさん(ハンドルネーム・60代・男性)のプロフィール:
2017年ごろから投資したレーザーテックで好リターンを得た勢いに乗り、23年から手掛けたTOWA株で大きく資産を拡大させ、最近億り人を達成したサラリーマン投資家。投資開始は1980年ごろのバブル経済前で、当時人気となった『ウォークマン』に着目して18万円を元手にソニー(現ソニーグループ)株を買い波に乗る。90年後半には北海道拓殖銀行の破綻で40万円が吹き飛ぶ憂き目に遭いながらも、止めずに続けて現在に至る。この間、投入した追加資金は1200万円ほど。今夏に延長雇用の会社を退職し専業投資家になる予定。「株探アンケート~24年の日本株戦略」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
第1回記事「実はレーザーテックよりすごい『あの半導体株』で資産1億円突破」を読む
「成績は2勝8敗がいいところ。損切りも、年間に数百万円とひどいものです」
半導体のスター銘柄であるレーザーテック<6920>では、上昇の波を乗りこなせずに終わったものの、次に注目したTOWA<6315>では5倍化の波に乗って億り人となったGGRさん(ハンドルネーム)は、自身の投資をこう評する。
勝ちよりも負けてしまうことが多いのに、なぜGGRさんの運用資産は億の大台に乗ったのか。シリーズの最終回は、個々の投資では負けが多くても、最終的には勝ちを手にしてきた技に迫っていく。
連続の下方修正に嫌気
GGRさんの最近の取引で、勝ち銘柄の代表格がTOWAならば、負け銘柄の代表がQDレーザ<6613>になる。
QDレーザは2021年にIPO(新規株式公開)した企業で、高度な半導体レーザー技術を用いたデバイスの開発から製造、販売を手掛け、弱視向けメガネや電子機器等を展開している。
GGRさんはIPOで割当を受け、IPO直後に利確したものの、22年後半に再び同社株を購入し、二匹目のドジョウを狙った。
だが、その期待は虚しいものとなった。購入から数カ月した23年2月に、同社が発表した23年3月期第3四半期(3Q)決算の内容を見て、「自分が持ちたい株とは違った」と損切りをした。
■『株探』プレミアムで確認できるQDレーザの週足チャートと決算日(21年2月~)
数カ月の保有で損切りを決断したのは、3Q単独ならびに1~3Q累計のどちらも、前年同期と比べて赤字が拡大したことがある。踏ん切りを付けたのは、通期の予想売上高を下方修正したことだ。
「この会社の業績見通しは信頼できない」。GGRさんは、QDレーザが下方修正を連発していることを重く見た。22年3月期の3Qと本決算、21年3月期の本決算で下方修正を行っており、21年のIPO後に2期連続で下方修正を行っている。
製造業で働くGGRさんは、自身の業務経験を生かしながら、受注高や売り上げ予想にこだわって銘柄選びを行ってきた。その点で、QDレーザは、先の業績が見通せない会社と判断せざるを得なかった。
期初の計画から多少の見込み違いが出るのは仕方がない面もあるが、さらなる下方修正で含み損も膨らんだことから、見切りをつける決断をした。
■『株探』プレミアムで確認できるQDレーザの修正履歴
「違う」と思えば、あっさり損切りへ
QDレーザ<6613>のケースのように、買い出動後に
――などのマイナス材料が出てくるのは、避けたくても完璧に避けるのは難しい。
上の①については、本来は投資する前に気づくべきことかもしれないが、GGRさんのような兼業投資家の場合は、投資に充てられる時間には限りがあり、分析に漏れがあっても仕方のない面もある。②や③についても、完全に排除することは難しい。
理想は、こうしたマイナス材料に見舞われないことだが、不確実性のゲームである投資においては、いくら完璧と思われる準備をしても、思わぬ事態から打撃を受けることは不可避といえる。
ならば、完璧さを追求するよりも、なんらかの間違いや見込み違いが具体化した際には、「自分の側に否があったのだと認めて損切りする方が得策」と割り切っているのがGGRさんだ。
だが、人間は感情の生き物である以上、失敗や見込み違いを認めるのは、言うは易く行うは難し――の面もある。特にGGRさんは、先に触れたようにIPO時にリターンを得ていた分、2度目の勝負では期待も大きかった。
QDレーザのIPOでは、公開価格340円に対して、初値はその2倍以上の797円となり、本人は短期で大きな値上がり益を獲得できた。
こうした成功体験があると、つい「また、手っ取り早く儲けさせてくれるかも」との期待を持ってしまうものだが、下方修正を繰り返してきた実態を、重く見ずに投資してしまったことを反省して撤退を決めた。
GGRさんは過去にも、下方修正を悪材料としてホンダ系の部品会社のエフテック<7212>を損切りした経験もあり、その教訓をQDレーザでも生かした。
GGRさんが2勝8敗でも億り人の地位を掴んだ1つ目の理由が、あっさり損切りの実践だ。繰り返すと、投資では、「自分が想定していなかったことは、起こり得るもの」と割り切り、マイナス材料がパフォーマンスに影響を与えたら潔く撤退することだ。
もちろん、これだけで、億り人になれたわけではない。それ以外の理由が、マーケティングなどで使われる法則の活用だ。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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取材・文/真弓重孝(株探編集部)、福島由恵(ライター)
イラスト:福島由恵
2017年ごろから投資したレーザーテックで好リターンを得た勢いに乗り、23年から手掛けたTOWA株で大きく資産を拡大させ、最近億り人を達成したサラリーマン投資家。投資開始は1980年ごろのバブル経済前で、当時人気となった『ウォークマン』に着目して18万円を元手にソニー(現ソニーグループ)株を買い波に乗る。90年後半には北海道拓殖銀行の破綻で40万円が吹き飛ぶ憂き目に遭いながらも、止めずに続けて現在に至る。この間、投入した追加資金は1200万円ほど。今夏に延長雇用の会社を退職し専業投資家になる予定。「株探アンケート~24年の日本株戦略」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
第1回記事「実はレーザーテックよりすごい『あの半導体株』で資産1億円突破」を読む
「成績は2勝8敗がいいところ。損切りも、年間に数百万円とひどいものです」
半導体のスター銘柄であるレーザーテック<6920>では、上昇の波を乗りこなせずに終わったものの、次に注目したTOWA<6315>では5倍化の波に乗って億り人となったGGRさん(ハンドルネーム)は、自身の投資をこう評する。
勝ちよりも負けてしまうことが多いのに、なぜGGRさんの運用資産は億の大台に乗ったのか。シリーズの最終回は、個々の投資では負けが多くても、最終的には勝ちを手にしてきた技に迫っていく。
連続の下方修正に嫌気
GGRさんの最近の取引で、勝ち銘柄の代表格がTOWAならば、負け銘柄の代表がQDレーザ<6613>になる。
QDレーザは2021年にIPO(新規株式公開)した企業で、高度な半導体レーザー技術を用いたデバイスの開発から製造、販売を手掛け、弱視向けメガネや電子機器等を展開している。
GGRさんはIPOで割当を受け、IPO直後に利確したものの、22年後半に再び同社株を購入し、二匹目のドジョウを狙った。
だが、その期待は虚しいものとなった。購入から数カ月した23年2月に、同社が発表した23年3月期第3四半期(3Q)決算の内容を見て、「自分が持ちたい株とは違った」と損切りをした。
■『株探』プレミアムで確認できるQDレーザの週足チャートと決算日(21年2月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
数カ月の保有で損切りを決断したのは、3Q単独ならびに1~3Q累計のどちらも、前年同期と比べて赤字が拡大したことがある。踏ん切りを付けたのは、通期の予想売上高を下方修正したことだ。
「この会社の業績見通しは信頼できない」。GGRさんは、QDレーザが下方修正を連発していることを重く見た。22年3月期の3Qと本決算、21年3月期の本決算で下方修正を行っており、21年のIPO後に2期連続で下方修正を行っている。
製造業で働くGGRさんは、自身の業務経験を生かしながら、受注高や売り上げ予想にこだわって銘柄選びを行ってきた。その点で、QDレーザは、先の業績が見通せない会社と判断せざるを得なかった。
期初の計画から多少の見込み違いが出るのは仕方がない面もあるが、さらなる下方修正で含み損も膨らんだことから、見切りをつける決断をした。
■『株探』プレミアムで確認できるQDレーザの修正履歴
「違う」と思えば、あっさり損切りへ
QDレーザ<6613>のケースのように、買い出動後に
① 受注や業績の動きが読みづらいことに気づく |
② 自分の描いた利益成長が見込めない |
③ 含み損が一定以上膨らむ |
――などのマイナス材料が出てくるのは、避けたくても完璧に避けるのは難しい。
上の①については、本来は投資する前に気づくべきことかもしれないが、GGRさんのような兼業投資家の場合は、投資に充てられる時間には限りがあり、分析に漏れがあっても仕方のない面もある。②や③についても、完全に排除することは難しい。
理想は、こうしたマイナス材料に見舞われないことだが、不確実性のゲームである投資においては、いくら完璧と思われる準備をしても、思わぬ事態から打撃を受けることは不可避といえる。
ならば、完璧さを追求するよりも、なんらかの間違いや見込み違いが具体化した際には、「自分の側に否があったのだと認めて損切りする方が得策」と割り切っているのがGGRさんだ。
だが、人間は感情の生き物である以上、失敗や見込み違いを認めるのは、言うは易く行うは難し――の面もある。特にGGRさんは、先に触れたようにIPO時にリターンを得ていた分、2度目の勝負では期待も大きかった。
QDレーザのIPOでは、公開価格340円に対して、初値はその2倍以上の797円となり、本人は短期で大きな値上がり益を獲得できた。
こうした成功体験があると、つい「また、手っ取り早く儲けさせてくれるかも」との期待を持ってしまうものだが、下方修正を繰り返してきた実態を、重く見ずに投資してしまったことを反省して撤退を決めた。
GGRさんは過去にも、下方修正を悪材料としてホンダ系の部品会社のエフテック<7212>を損切りした経験もあり、その教訓をQDレーザでも生かした。
GGRさんが2勝8敗でも億り人の地位を掴んだ1つ目の理由が、あっさり損切りの実践だ。繰り返すと、投資では、「自分が想定していなかったことは、起こり得るもの」と割り切り、マイナス材料がパフォーマンスに影響を与えたら潔く撤退することだ。
もちろん、これだけで、億り人になれたわけではない。それ以外の理由が、マーケティングなどで使われる法則の活用だ。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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