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3997 トレードワークス

東証S
1,276円
前日比
+77
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単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
3.49 1.57 1,907
時価総額 44.0億円
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トレードワークス Research Memo(8):2026年12月期の業績目標達成のカギの1つは収益力の向上


■今後の見通し

2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 中期経営計画の概要
トレードワークス<3997>は、2026年12月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画を2021年12月に発表した。同社が今まで培ってきたコア技術・資産である証券・FX・情報セキュリティ領域におけるソリューションをベースに、今後テクノロジーを基盤に創生される新たな市場へと展開することで、「次世代金融、新デジタル時代を見据えたテクノロジー・ファースト型の企業成長」を目指す。こうした「事業領域の拡大」に加えて「ビジネスモデル転換(利用型・ストック型ビジネスモデルの売上高比率の向上)」に取り組むことで、事業規模拡大と収益力向上を図るとともに持続的成長を可能とする収益構造を構築する考えだ。

(2) 業績目標
業績目標値は、最終年度となる2026年12月期に売上高6,000百万円、営業利益795百万円を掲げている。2023年12月期までの進捗状況は、M&Aにより2社を子会社化したことで成長の源泉となる人的リソースの増強が想定を上回るペースで進んだことで、売上高はおおむね計画どおりに拡大している。一方、利益面ではM&Aも含めた先行投資費用がかさんだことで一旦後退した格好となっている。業績目標を達成するためには、今後3年間で売上高を年率16.9%成長、営業利益を前期の0.8%から13.3%に引き上げる必要がある。目標達成に向けては、プロジェクトマネジメント強化やグループシナジーによる生産性向上に加えて、注力事業であるデジタルコマース事業で収益化を実現し、成長軌道に乗せられるかがカギを握ると弊社では見ている。

また、収益構造の転換については、ストック売上高を2022年12月期の1,606百万円から、2026年12月期に3,074百万円に拡大し、売上高比率で同様に51.2%から62.7%に引き上げることを目標としている。ストック売上高比率は新規開発案件の売上計上時期によって変動するものの、趨勢的には上昇傾向にあり収益の安定性向上につながるものと予想される。エンジニア数については2023年12月期末で201名と目標の210名にあと僅かと迫っているが、今後も増員を進めていく方針に変わりない。M&Aも条件に合致した案件があれば引き続き検討していく。今後の課題は、採用した人材の教育研修を強化し早期戦力化に取り組むことや、働く環境の改善、エンゲージメントの向上を図ることによって離職率を低減することである。エンジニアの在籍数が増加すれば外注費を抑制できるだけでなく、金融ソリューション事業分野や新規事業分野において従来よりも大規模な開発案件を受注できるといった効果もある。

(3) 事業別売上計画
a) 金融ソリューション事業
売上高を2023年12月期の2,805百万円から2026年12月期には1.6倍の4,500百万円、年平均成長率で17.1%を目指す。Web3.0※の本格到来を見据え、暗号資産・デジタル証券・DeFi・NFT等の新たなテクノロジーへ積極投資し、次世代金融領域のフロンティア・カンパニーを目指す。施策としては、既存顧客の深耕や新規顧客の開拓を着実に行い、インターネット証券取引システム領域でのシェア拡大を図るとともに、次世代金融領域(暗号資産・デジタル証券・DeFi・NFT等)でのビジネス開拓を進める。

※Web3.0とは、パブリック型のブロックチェーン技術を基盤とするインターネットの概念。


また収益性についても、既存顧客との取引深耕や次世代金融領域での新規顧客獲得によるストック売上高比率の維持向上とあわせて、データセンター設備や基盤ソフトウエアの最適化、プロジェクトマネジメントの強化に取り組むことで引き上げていく。そのほか、新仲介やAPIエコノミーの広がりを見据えて現在のASPサービス基盤を拡張し、より接続性の高いプラットフォームに進化させ、新たな金融サービスのビジネスモデル創出・発展につなげる考えだ。

なお、次世代金融領域への展開については、2022年1月に資本業務提携を行ったCXRエンジニアリングとの協業が進んでいる。具体的には、NFT・STO※1・DeFi等のシステムやFX及び暗号資産、CFD※2等の店頭取引システム、暗号資産取引所システムの共同開発に取り組んでいる。CXRエンジニアリングは、暗号資産取引システムの開発を手掛けるスタートアップ企業で、暗号資産取引所マッチングエンジンなど高いコア技術や次世代金融に特化したUX(User Experience)のノウハウを保有している。同社の基盤となる「Trade Agent」のマルチプロダクト型アーキテクチャとの親和性も高く、2022年11月にCXRエンジニアリング向けに提供を開始した「暗号資産取引スマートフォンソリューション」を皮切りに、次世代金融ソリューション分野において様々なサービスを開発・提供していく計画となっている。証券会社でも次世代金融ソリューションはいずれ取り組むべき領域であるため、既存顧客を中心に売上を拡大する好機になると弊社では見ている。

※1 STO(Security Token Offering)とは、デジタル証券(Security Token)を活用した資金調達手段を指す。
※2 CFD(Contract For Difference)とは、差金決済取引のことで株価指数や商品、為替、株式など投資対象は幅広い。


b) FXシステム事業
2026年12月期の売上高は320百万円と、2023年12月期の184百万円から1.7倍、年平均成長率で20.2%を目指す。モデルユーザーに提供したプロトタイプを製品化し他社に横展開することでライセンス・保守収入を獲得、高利益率を維持しながら売上成長を目指す戦略だ。また、モデルユーザーの対象企業数を増やし、様々なニーズを収集しブラッシュアップすることで、製品の高付加価値化を図り競争力を高める。営業方針としては、顧客満足度の向上を図るとともに、新規顧客の開拓にも注力していくこととしている。

c) セキュリティ診断事業
2026年12月期に売上高80百万円と、2023年12月期の25百万円から3.2倍、年平均成長率で46.6%を目指す。2024年1月に新たな脆弱性診断サービスをリリースする等、サービスラインアップの拡充を図るとともに、デジタルコマース事業でセキュリティ診断サービスも合わせて提案営業を行うことで契約件数の拡大を目指す。

d) 新規事業
新規事業については、計画3年目となる2024年12月期の黒字化と、2026年12月期の売上高1,100百万円を目標に掲げていた。新デジタル時代におけるECの多様化・仮想空間の実用化・AIや高度通信技術の発展による様々な変革に対応しながら、「次世代のデジタルコマースを創生する」をミッションとし、金融システム開発で培ったコア技術をベースとして、プラットフォーム/ソリューションの新たなビジネス展開を図る。

新規事業の核となるのは、クラウドECプラットフォーム「Emerald Blue」を基盤としたデジタルコマース事業で、前述のとおり同プラットフォームは「AZLM」や「Tax Free Online」などで使われているほか、現在事業化に向けて提携先と協議を進めているファンダムのプラットフォームにも活用される見通しだ。今後、これらプラットフォーム上の流通額が拡大すれば、利用料だけでなくレベニューシェアによる売上成長が見込まれる。また、メタバースソリューションなどと組み合わせて次世代デジタルコマースソリューションなどの開発も視野に入れている。対象市場の成長ポテンシャルは大きいだけに、今後の動向が注目される。また、長期的にはリーガルテック領域やロボット領域での展開も見据えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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