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【特集】地味な中小型株の配当狙いで、億り人になった技

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 ゆきさんの場合-第1回

登場する銘柄
ヤマダ<6392>、レスターHD<3156>、中央自<8117>、塩見HD<2414>(上場廃止)

編集・構成/真弓重孝、取材/高山英聖(株探編集部)

■ゆきさん(ハンドルネーム・50代・男性)のプロフィール:
配当収入で暮らしている専業投資家。足元で1億7800万円の株資産を抱え、直近の年間の配当収入は540万円になる。主な投資スタイルは、配当狙いの割安成長株の長期保有。20年前に知り合ったベテラン投資家の教えが原点になっている。元々、サラリーマンとして経理職に就いていたが、2020年のコロナ禍で失業したのをきっかけに専業投資家に転身する。「また気が向いたら再就職しよう」と肩の力を抜きながら、日々、株式市場に向き合っている。「株探アンケート~24年の日本株戦略」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。

今回紹介するゆきさん(ハンドルネーム)は、配当狙いの長期投資で億り人になった専業投資家だ。その特徴は、機関投資家が注目しない「地味な中小型株」を投資対象にすることだ。

配当狙いというと、安定性を重視して時価総額の大きな大型株狙いとのイメージを浮かべがちだ。だが、ゆきさんは、プロの注目を集めやすい銘柄は、分析力の差などから自分が買うときには高値づかみをしてしまう懸念があると考える。一方で、中小型株はそのリスクは小さいとの信念を持つ。

知名度の高い大型株も狙うこともあるが、あくまでもサテライト投資の位置づけで、その際には「誰が見ても安くなったタイミング」で買い出動するように意識している。

30年以上前に50万円から投資を始めたゆきさんは、当時の勤め先の給料や株の配当から元本を足しながら、足元で株資産を1億7800万円に膨らませている。

その投資手法をコアとサテライトの2回に分けて見ていく。1回目は、コアの中小型狙いに焦点を当てる。

主力の3銘柄は、ヤマダ、レスターHD、中央自

ゆきさんの資産拡大に貢献している銘柄は、

自動車整備機器や圧送用ポンプなどを扱うヤマダコーポレーション<6392>、
エレクトロニクス総合商社のレスターホールディングス<3156>、
自動車用品などの開発・販売を手掛ける中央自動車工業<8117>、

――の3銘柄になる。時価総額は100億~1000億円前後の企業だ。

いずれも2012年頃に取得を開始し、足元の時価評価額はあわせて7200万円と株資産の全体の40%ほどを占めている。内訳はヤマダが16.6%、レスターHDが12.1%、中央自が11.7%となっている(下のグラフ)。

■ゆきさんの日本株資産のポートフォリオ
【タイトル】

全体の含み益は1億円強のうち、主力3銘柄の含み益は5600万円と時価の半分以上になる。具体的には、ヤマダが2200万円、レスターHDが1500万円、中央自が1900万円となっている。

配当狙いの3銘柄の含み益がこれだけ膨らんでいるのは、ゆきさんが「地味な中小型株」の中で割安成長株を重視して選んできたためだ。事業成長を期待できる銘柄を割安水準で保有しておけば、株価の下落リスクを少しでも抑えられると考えており、それが結果として含み益の増大に寄与している。

取得開始から現在までの約12年間の株価パフォーマンスを見ると、ほぼ右肩上がりだ(下のチャート)。2011年末を起点に中央自の株価は約14倍、ヤマダは8倍超に膨らんでおり、日経平均株価の4.5倍を上回る。レスターHDは日経平均にやや見劣りするが、4倍程度の水準になっている。

■3銘柄と日経平均株価の株価パフォーマンスの推移
【タイトル】
注:2011年末=0%、月足ベース

12年前に3社に注目したのは、配当利回りの高さと株価の割安さだ。取得開始の時期に近い12年3月末の配当利回りは、2~5%台となっている。株価は、当時のPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)のバリュエーション(企業価値評価)から割安水準にあると判断した。

ゆきさんの銘柄探しは、原則スクリーニングから入る。足元の基準は、配当利回り4%以上、PER12倍以下、PBR0.8倍以下としている。PERやPBRで割安かどうかを一括りに判断することはできないが、あくまでも割安水準の銘柄を効率的に抽出する手段として用いている。

買い増しの基準は、業績も配当も増加基調であること

主力3銘柄を買い増してきたのは、まずは業績拡大と増配が続いてきたことがある。直近の2024年3月期は、売上高、営業利益、そして1株当たり配当金は、いずれの企業も過去最高の水準となる推計だ。

取得開始の時期に近い2012年3月期から24年3月期推計までの年平均成長率を見ると、3社の売上高は4~11%台、営業利益は10~20%台のペースで伸びている(下の表)。1株当たり配当金も、ほぼ右肩で上がっている(下のグラフ)。

もう1つは定性面。配当の原資を生み出す事業の安定性や成長性に期待を持てそうだと判断したこともある。事業に注目するのは減配リスクの大小を見極めるためだ。

■2024年3月期の業績推計と年平均成長率
銘柄名<コード>売上高年平均
成長率
営業利益年平均
成長率
売上高
営業利益率
ROE
ヤマダ<6392>140億円4.4%21億円8.4%14.6%10.8%
レスターHD<3156>5000億円5.7%140億円8.3%2.8%8.3%
中央自<8117>380億円9.1%100億円16.7%26.3%16.0%
注:年平均成長率は、2012年3月期から24年3月期推計で計算

■1株当たり配当金の推移
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注:3月期決算。2024年は会社推計

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※アンケートのご回答はこちらからお願いします。

https://forms.gle/Zw5zuKkSSuEbgcio6

注1: 回答内容は個人が特定されない形で「株探」など、
ミンカブ・ジ・インフォノイド<4436>のグループ会社が提供する
各種情報サイトで公開を予定しています。

注2: 調査は2024年4月15日(月)午後6時までの予定ですが、
回答数の状況で、予定より前に終了することもあります。



※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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