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【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 春嵐を跳ね返す "強靱銘柄"に乗る!


「春嵐を跳ね返す “強靱銘柄”に乗る!」

●配当権利落ち後の調整は押し目買いの好機に

 28日は3月末決算の配当などの権利落ち日だった。日経平均株価の下げ幅は、計算上は260円前後で済むはずだったが、実際は594円安となった。想定の倍以上の下落であり少々困惑させられたが、週末29日は201円高と反発し続落は回避された。昨年9月末の中間配当時点での権利落ちの際は、10月4日まで連日で大きく下げてしまった。その時の大崩れを思い起こすと、今回は落ち着いた動きになりそうだ。

 もちろん、この原稿を書いているのは権利落ち日の翌日であり、まだ日数が少なく、今後を正確に予想するにはデータ不足だ。しかし、昨年9月末は日米ともに市場は下降局面だった。米国市場はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を巡って利上げ継続の観測が広がり、下落に歯止めがかからなかった。

 しかし、今回はまったく状況が異なっている。日米ともに強すぎるほどの上昇トレンドをキープ。今後についても米国は利下げ方向、日本はマイナス金利を解除したものの、引き続き緩和的な政策を続ける方針を明らかにしている。株価にとっては日米ともに押し上げ要因となる政策を遂行中であり、配当権利落ちによる影響は軽微で済むと見るのが自然だ。いや、むしろプラスに働く点が多いといえる。

 それは、なかなか押し目が入らず新規投資をしにくかった銘柄が、押し目を入れてくれたことになるからだ。たとえば、トヨタ自動車 <7203> [東証P]。3月12日安値の3398円から27日の3891円まで着実に上がり続けたため、どこで投資してよいか分からず、買いを見送った投資家も多かったに違いない。しかし、ここにきてごく僅かではあるものの、押している。それは他の主力株、三菱商事 <8058> [東証P]やソフトバンクグループ <9984> [東証P]、コマツ <6301> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、日本製鉄 <5401> [東証P]などにも見られたことで、それぞれ近々、買い場が来そうだ。

●全般下落の闇の中で「光」を放つ銘柄に注目

 ただ、効率を考えると、権利落ち日が来たのに株価が下がらなかった。こんな銘柄への投資が私にいわせると望ましい。下げて当然の日に下げない。それはごくシンプルに考えて、それだけ強靱な銘柄――こう見てよいからだ。

そこで、まず注目したいのがIHI <7013> [東証P]になる。政府は3月26日の閣議などで、日英伊3カ国 が共同開発・生産する次期戦闘機の第三国への輸出を解禁するため、防衛装備移転三原則の運用指針を改めた。すぐに輸出できるものではないが、将来可能になるだろう。

 関連株は三菱重工業 <7011> [東証P]を筆頭に、川崎重工業 <7012> [東証P]が続くことになるが、いずれも株価は相当上がっていて手掛けにくい。そこでまだ手掛けやすい水準にあるIHIとなる。3社の株価はほぼ連動して動くので、投資対象として狙うのはIHIでよい。なお、政府が国産旅客機開発の促進に前向きになっていることも、今後3社の株価にはプラスに働こう。

 国土交通省がまとめた1月1日時点の公示地価は、全用途の全国平均が前年から2.3%値上がりし、3年連続の上昇となった。このニュースを受けて、権利落ちなど無縁の動きとなったのが不動産株。オーソドックスに狙うのは住友不動産 <8830> [東証P]でよいが、値動きの軽さ重視ならばロードスターキャピタル <3482> [東証P]だ。都内を中心にオフィスビルの売却が順調で収益を伸ばしている上に、クラウドファンディングも展開。今後も収益増が見込めるため株も期待が持てる。

 これから身体を動かしやすい季節を迎えることを考えると、アシックス <7936> [東証P]も魅力的だ。この会社の別ブランド「オニツカタイガー」はアジアを中心に外国人たちに大変な人気。インバウンドによる需要拡大が見込めるため、株価はほとんど休みなく上昇中ながら、さらに弾む余地ありと見ている。

 旧ソニーケミカルが社名変更、再上場しているデクセリアルズ <4980> [東証P]も、主力とするニッチ製品(異方性導電膜、蛍光体フィルムなど)の需要が好調で、株価は2月以降、騰勢を取り戻している。当面、失速はなさそうだ。

 最後に、3月配当権利落ちとは無縁の銘柄を挙げたい。それは半導体企業の集積地となる菊陽町に隣接する熊本市に拠点を置く、ヤマックス <5285> [東証S]になる。コンクリートの二次製品に強く、しかも地元は半導体関連の工事で活況を呈する。同社も大忙しの日々が続いていると見てよく、株価が現状程度で止まるとは思えない。

2024年3月29日 記


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