ブロードエンター Research Memo(4):2023年12月期は過去最高売上を更新。収益性も高まる
■業績動向
1. 2023年12月期の業績概要
ブロードエンタープライズ<4415>の2023年12月期の業績は、売上高が前期比32.2%増の3,957百万円、営業利益が同75.1%増の507百万円、経常利益が同188.9%増の363百万円、当期純利益が同321.7%増の327百万円となり、売上高は8期連続で過去最高を更新した。賃貸業界において、空室問題とそれによるキャッシュ・フローの悪化などを背景に、物件の付加価値向上を実現し、入居率向上に繋がるサービスへの需要が好調に推移するなか、新規サービス「B-CUBIC Next」「BRO-ROOM」の投入や、新規顧客と販売代理店の獲得に注力し、既存サービスの品質向上を継続してきたことなどが業績の拡大に寄与した。また同社は、社員一人ひとりの特性に合わせた最適な人材配置を実現するために、営業組織体制の再構築も実施しており、このことも業績の拡大に寄与した模様だ。
「B-CUBIC」に関しては、契約期間を撤廃した「B-CUBIC Next」に対する顧客からの引き合いが好調な中、新規顧客と販売パートナー企業の獲得及び連携強化の推進により受注件数が順調に増加し、2023年12月期末時点の累計導入棟数は、前期末比18.6%増の8,198棟にまで拡大した。受注が好調に推移し、導入棟数が順調に積み上がったことを受け、ストック売上高は前期比9.3%増の1,825百万円に拡大した。また、「B-CUBIC Next」は、全体の売上高増加にも大きく寄与した。全体の売上高増加額964百万円に対して、「B-CUBIC Next」がもたらしたフロー収益は952百万円だった。これにより、フロー売上高も前期比61.3%増の2,132百万円に急伸した。
「BRO-ROOM」の売上高は、前期比43.6%増の327百万円だった(前期実績はテストマーケティング期間の販売実績)。2022年12月期第4四半期からのテストマーケティング期間を経て、2023年12月期第3四半期からの本格稼働となったものの、2023年12月期の業績にしっかりと寄与した。初期導入費用0円で宅内IoTリノベーションを実現できることから、マンションオーナーからの引き合いは好調に推移し、2023年12月期第4四半期だけで新規導入室数は前四半期比約4.5倍の68室に急伸した。これにより、売上高実績も目標の250百万円を大きく上回って着地した。「BRO-ROOM」は利益の絶対額が相対的に大きく、全社ベースの利益積み上げへの貢献が期待できる。そのため、2024年12月期以降も「BRO-ROOM」にリソースを重点配分し、拡販に注力する。
「BRO-LOCK」の売上高は、前期比15.2%減の558百万円だった。オートロック・インターホンの新設やリニューアル工事を希望する新規顧客の獲得を推進したものの、「B-CUBIC Next」と「BRO-ROOM」に戦略的にリソースを重点配分したことを受け減収となった。
同社が推進するパートナー連携・販売代理店獲得に関しても順調な進捗が見られ、2023年12月期末時点の取引管理会社数は、前期比12.6%増の876社まで拡大している。また、パートナー連携に関しては、2023年1月の大和ハウス賃貸リフォーム(株)との業務提携から2023年10月の(株)タスキとの業務提携まで、順調にパートナー連携を拡充させた。
利益面に関しては、売上高が伸長する中で、販売代理店・パートナー施策の推進により販管費を抑制したことを受け、営業利益の伸びは前期比75.1%増と売上高の伸びを大きく上回った。これにより収益性も向上しており、営業利益率は同3.1ポイント増の12.8%まで上昇した。
業績予想との比較では、上方修正後の予想に対して売上高のみ若干の未達となったものの、各段階利益に関しては上方修正後の予想も上回って着地した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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提供:フィスコ