RSテクノ Research Memo(4):ウェーハ再生事業は12インチで業界シェア約33%とトップ
■会社概要
3. 事業内容
RS Technologies<3445>は事業セグメントを再生ウェーハ事業、プライムウェーハ事業、半導体関連装置・部材等事業の3つのセグメントとその他に分けて開示している。2023年12月期の事業別構成比(調整額除く)を見ると、ウェーハ再生事業が売上高の39.5%、営業利益の63.5%、プライムウェーハ事業が売上高の33.3%、営業利益の29.3%を占め、この2事業が収益柱となっている。
(1) ウェーハ再生事業
ウェーハ再生事業は、同社及び台湾子会社で展開しているほか、2022年12月期第2四半期から持分法適用関連会社であるSGRSで12インチの再生ウェーハの量産ラインを整備した。日台中の3拠点で展開している企業は同社のみである。主力となる12インチの月産能力は2023年12月期末時点で国内が31万枚(8インチは15万枚の能力を保有)、台湾が23万枚の合計54万枚で、そのほか中国で5万枚の能力を有している。
売上構成比では12インチウェーハが約85%と大半を占め、同社推計によれば再生ウェーハの世界シェアは数量ベースで約33%と業界トップの地位を確立している。再生加工技術の高さに加えて、直販体制によるコストダウンの徹底と顧客との緊密なコミュニケーションによって顧客満足度の高いサービスを提供できていることが高シェアにつながっている。競合は国内でハマダレックテック(株)、三益半導体工業<8155>の2社、海外では台湾に3社ある。6社で全体の約9割を占める寡占市場であり、価格競争が生じにくい業界構造が特徴である。
地域別出荷数構成比(2023年12月期)を見ると、12インチ再生ウェーハは台湾が53.2%、日本が26.4%と両国で全体の約8割を占めているのに対して、8インチ再生ウェーハは日本が36.0%、欧州が32.2%、米国が21.5%と日欧米で大半を占めている。主要顧客は台湾のTSMC<TSM>のほか、国内ではソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(株)やキオクシア(株)、米国ではIntel<INTC>、Micron Technology<MU>、欧州ではST Microelectronics<STM>やInfineon Technologiesなど大手半導体メーカーが並ぶ。
(2) プライムウェーハ事業
中国子会社GRITEKの事業では、プライムウェーハの製造販売とシリコン部材の製造販売で占める。2023年12月期末時点のプライムウェーハの月産能力は、5インチが5万枚、6インチが20万枚、8インチが13万枚となっている。プライムウェーハの顧客は主に中国半導体メーカーで、売上の7割強はアナログ半導体やパワー半導体向けで占められる。中国における8インチウェーハの市場シェアは5%程度と同社では推計し、今後生産能力の増強でシェアを拡大する計画である。また、シリコン部材は中国国外へ販売している。最終顧客は半導体製造装置及び半導体メーカーとなるが、直接の販売先は消耗部材の加工業者となり、グループのDG Technologies向けにも出荷されている。
(3) 半導体関連装置・部材等事業
半導体関連装置・部材等事業には、同社で仕入販売する半導体関連装置や半導体材料・パーツのほか、子会社のユニオンエレクトロニクスソリューション、DG Technologiesの売上が含まれる。半導体製造装置については、主に日本の装置メーカー等から仕入れて(中古品含む)、世界中の半導体メーカーに販売している。
また、ユニオンエレクトロニクスソリューションは半導体商社で、(株)日立パワーデバイスの超音波検査装置のほか、ルネサスエレクトロニクス<6723>のMCUなどを主に取り扱っている。2020年に上海事務所を開設し、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した2023年に入って営業活動を本格的に開始している。DG Technologiesはドライエッチング装置向け消耗部材の製造販売を行っている。製造拠点は神栖工場(茨城県)に加えて、2021年5月に栗原工場(宮城県)を開設して一部工程の生産を開始し、2022年6月には一貫生産が可能な新工場が竣工した。
4. その他
その他の売上として、2013年より開始したソーラー事業における売電収入(発電能力は約1.59MW)のほか、半導体ウェーハ製造工程における技術コンサルティングサービスなどを同社で行っているが、全体の業績に与える影響は軽微となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HH》
提供:フィスコ