Jトラスト Research Memo(10):2024年12月期は同額配当を維持。自己株式99.9%を消却、取得も計画
■株主還元策
Jトラスト<8508>では、株主への適正な利益還元及び安定的な配当の維持を配当政策の基本としている。2021年12月期は、各段階利益が黒字転換したことを受け、1株当たり期末配当1.0円の復配を実現した。2022年12月期は営業利益の黒字が継続したことから、成長フェーズへの転換を確信して1株当たり期末配当10.0円と大幅増配を行った。さらに2023年12月期は、株主還元の充実を図るため配当性向を上げ、年間配当14.0円(中間1.0円、期末13.0円)とした。2024年12月期においては減益予想であるものの、年間配当は前期と同額の期末配当14.0円を予定している。
また、同社株の長期保有を目的に株主優待制度を復活し、2023年3月末と2023年9月末を基準に、100株以上保有の株主を対象に実施した。2024年12月期についても6月末を基準に、100株以上保有の株主を対象に「DSクリニック」の施術優待券(3万円相当)を贈呈するほか、新たに500株以上保有の株主を対象に東京宝塚劇場貸切公演の観劇チケットを抽選で贈呈するなど、株主優待制度の充実を計画している。
加えて、持続的な業績拡大への道筋がついたこともあり、株主へのさらなる利益還元と、資本効率向上による適切な株主価値実現を目的として、自己株式の取得及び消却を発表した。取得については、2024年3月27日~2024年11月30日を取得期間として4,000千株、2,000百万円を上限に取得する。消却については、自己株式の99.9%にあたる9,380千株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合6.81%)の普通株式を2024年2月29日に消却した。
新3ヶ年計画に基づき業績の改善・拡大を目指すとともに株主還元の充実にも注力するなど、株主重視の経営姿勢は評価できる。同社は2022年4月の東証再編においてスタンダード市場を選択した。ただ、Group Lease PCLらとの裁判に勝訴したことで同社に対するレピュテーションリスクが解消されており、成長戦略の着実な実行により計画どおりに業績が飛躍的に改善すれば、プライム市場への昇格も視野に入ると弊社では期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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提供:フィスコ