タナベ Research Memo(4):2024年3月期第2四半期累計業績は、過去最高売上高を更新
■業績動向
1. 2024年3月期第2四半期累計の業績概要
タナベコンサルティンググループ<9644>の2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比11.4%増の6,000百万円、営業利益で同3.0%減の583百万円、経常利益で同3.5%減の585百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同9.5%減の349百万円と増収減益となった。売上高はグループ会社も含めてすべての経営コンサルティング領域が伸長し、過去最高を更新した。利益面では増収効果により売上総利益が同11.6%増となったものの、今後の成長に向けた人材採用並びに早期育成に向けた教育研修を強化したことなどにより、人的資本投資が同13.8%増、対売上比率で1.0ポイント上昇したこと、また競争力強化のためのデジタル・DX投資やブランディング・マーケティング投資があわせて61百万円増加したことなどで減益となった。売上高は順調に拡大していることから、実態としては通期計画の達成に向けて順調に進捗しているものと考えられる。なお、新たに連結対象に加わったカーツメディアワークスも業績に寄与している。
会社計画比では、各経営コンサルティング領域での旺盛なコンサルティングニーズをグループ連携も強化しながら取り込むことができたことにより、売上高は6.3%上回った。一方、コンサルタントなどを前倒しで採用したほか、デジタル、ブランディングなどへの投資を先行的に実施したことなどにより、営業利益は計画を4.4%下回った。第2四半期末の連結従業員数は前年同期末比73名増の592名となり、計画比では12名上回った。
同社がKPIとしているチームコンサルティング件数、社数及び売上高はいずれも前年同期を上回り、過去最高を更新した。件数で前年同期比3.1%増の1,257件、期中平均社数で同1.3%増の921社となり、売上高は同9.2%増の4,420百万円となった。既存顧客へのクロスセル・アップセルが進んだほか、新規顧客も大企業が増加傾向となっていることで、1案件当たり平均売上単価は同5.9%上昇の352万円、1社当たり平均売上単価は同7.8%上昇の480万円といずれも上昇傾向が続いており、同社の事業戦略が順調に進んでいるものと評価される。さらには、基本6ヶ月以上の長期契約サービスで構成され、安定的な成長基盤となるベース売上高についても同18.7%増の3,936百万円と過去最高を更新しており、長期契約案件が大きく伸長したことも2024年3月期第2四半期累計の特徴である。
事業会社の収益状況についても、タナベコンサルティングだけでなく、M&Aでグループ化した4社いずれも増収となっており、グループ間連携によるシナジーが高まっているものと考えられる。利益面でも、非支配株主に帰属する四半期純利益が前年同期の26百万円から55百万円に拡大していることから、4社合計で増益になったと見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SI》
提供:フィスコ