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【特集】絶好調の上方修正株に照準、先高期待の「最高益バリュー」6銘柄リスト <株探トップ特集>

24年3月期第3四半期の決算発表シーズンでは、中間期に続いて上方修正銘柄が続出した。今回は業績と配当予想を増額修正した企業群から、指標面で割安感が強い銘柄にスポットを当てた。

―上方修正で水準訂正余地膨らむ、最高益・積極還元・割安の3拍子揃った銘柄に注目―

 日経平均株価が史上最高値に急接近している。先週末16日の日経平均株価は一時前日比707円高の3万8865円まで上昇し、1989年12月につけた終値ベースの最高値3万8915円にあと50円に迫る場面があった。週明け19日は米国株市場の下落を受けて、前営業日比16円安の3万8470円と3日ぶりに反落したものの、下値は限定的で押し目買い需要の強さがうかがえる。

 日経平均株価は昨年末から5000円幅の急騰劇を演じているが、その原動力となっているのが好調な企業業績だ。24年3月期第3四半期の決算発表では上期までの好業績や株主還元の拡充が続くかに注目が集まったが、脱コロナに伴う需要回復や値上げの浸透、円安効果を追い風に利益を伸ばす企業が多く、業績見通しとともに配当予想を引き上げるものが相次いだ。今回は決算通過で好業績銘柄を見直す動きが出てくるなか、直近で通期業績と配当予想の上方修正に踏み切った企業のうち、株価指標面で割安感が強く、一段の上値が期待できる銘柄を探った。

●上期に続いて上方修正相次ぐ

 1月1日から2月15日までに24年3月期通期の業績予想を修正した企業を集計したところ、経常利益(米国会計基準と国際会計基準は税引き前利益)予想を引き上げた企業は421社に上った。好調な業績が持続したことに加え、先行き不安から保守的な業績予想が多かったこともあり、本決算を前に上方修正する企業が続いた。およそ5社に1社が上方修正した形で、上期決算発表シーズンに続いて高水準となった。上方修正企業の4割以上は配当も増額しており、株主還元を強化する動きも活発だ。

 業種別に見ると、堅調な米国景気や円安が好業績を後押しする機械、自動車などの輸出関連のほか、コロナ禍で抑えられていた経済活動の正常化で回復が顕著な鉄道会社、値上げ効果で収益性が向上している製造業などに上方修正するものが目立つ。一方、中国経済の減速が響く電子部品などは苦戦を強いられており、15日までに221社が24年3月期の経常利益予想を引き下げた。

 ここでは上方修正企業のうち、利益が過去最高水準にあり、かつ株主還元に意欲的で割安感のある中小型株に照準を合わせた。以下では、(1)直近で24年3月期の経常利益と配当予想を上方修正、(2)今期の経常利益が過去最高を更新する見通し、(3)予想PER(株価収益率)またはPBR(株価純資産倍率)の水準が市場平均を下回る、といった条件を満たす6銘柄を紹介していく。

●ミズノは収益力向上で27年ぶり高値圏まい進

 ミズノ <8022> [東証P]は幅広い競技のスポーツ用品を取り扱う老舗メーカー。足もとでは注力分野のフットボール(サッカー)やバレーボールなどのインドアシューズといった付加価値の高い競技スポーツ品の販売がグローバルで拡大しており、収益力を高めている。23年4-12月期は野球などのスポーツの国際大会も追い風となり、経常利益150億4500万円(前年同期比42.2%増)と同一期間の過去最高益を記録。あわせて、通期の利益見通しを上方修正するとともに、配当予想を従来の年70円から120円へ大幅に引き上げた。株価は14日に約27年9ヵ月ぶりの高値をつけたが、予想PER10倍台、PBR1倍割れと割安感が強く見直し余地は大きい。

●ハピネットは大幅増額の配当にも妙味

 玩具中間流通業界の最大手であるハピネット <7552> [東証P]は、トレーディングカードなどの市場拡大を追い風に業績を大きく伸ばしている。4-12月期はコンビニ向けキャラクターくじやポケモンカードゲームなどの需要が引き続き好調に推移したほか、インバウンド需要の取り込みもあってカプセル玩具の売り上げも伸長し、2ケタ増収増益を達成した。これを反映する形で、通期の経常利益予想を86億円(従来計画は62億円)に上方修正し、配当も年125円と従来の50円から2.5倍に大幅増額した。期末配当だけで100円となり、今からでも3%を超える高配当が狙える銘柄としても要注目だ。

●タイガポリは超割安の高配当株として注目

 タイガースポリマー <4231> [東証S]は自動車用の吸気系部品や樹脂成形品を主力とし、ホンダ <7267> [東証P]向けが売上高全体の約4割を占める。半導体不足の解消に伴う自動車生産の回復を追い風に、米州での販売が好調に推移するなか、通期の経常利益見通しを41億円(前期比2.2倍)に上方修正し、従来の7期ぶり最高益予想を一段と引き上げた。材料費や労務費、物流費などが想定を下回ることも反映した格好だ。あわせて年間配当を増額する方針も示し、株価は約33年半ぶりの高値圏に急浮上している。一方、PBRは0.5倍近辺と解散価値の半分に過ぎず、予想PERも7倍台、配当利回り4%超と依然として水準訂正余地が際立つ。

●NCDはITと駐輪場システムの両輪で高成長

 NCD <4783> [東証S]は独立系のシステムインテグレーターでシステムの構築から保守・運用までワンストップで提供する一方、国内トップクラスの導入実績を誇る駐輪場管理システムをもう一つの柱に据える。24年3月期は上方修正を経て、経常利益21億円(前期比73.2%増)と過去最高益の更新を見込む。IT関連事業で保険会社向けシステム開発案件を中心に業務領域が拡大しているほか、駐輪場の利用増加や料金改定の進捗によってパーキングシステム事業も好調だ。また、今期から配当性向30%以上を目安とする方針に変更し、配当を年50円(前期は20円)に引き上げるなど、株主還元の切り口でも魅力が高い。

●フィードワンは大幅上方修正で超割安圏に

 大手配合飼料メーカーのフィード・ワン <2060> [東証P]は第3四半期決算の発表前に、通期の経常利益が75億円(前期比4.4倍)になりそうだと発表。従来予想の35億円から大幅上方修正し、3期ぶりに過去最高益を更新する見通しを示した。畜産飼料の販売数量が増加基調にあるほか、水産飼料で上期に実施した価格改定の浸透が寄与する。また、豚肉と鶏卵を主力とする食品事業が販売条件の見直しや下期の相場下落によって収益が大幅に改善することも織り込んだ。配当を増額修正したことも評価され、株価は昨年来高値圏に浮上したが、予想PER8倍前後、PBR0.8倍近辺と割安感は強く一段高が期待できそうだ。

●テクノ菱和は活発な設備需要捉え5期ぶり最高益奪回へ

 空調設備工事を手掛けるテクノ菱和 <1965> [東証S]は、半導体製造や新薬開発といった最先端の生産設備に対応したクリーンルームを強みとし、幅広い産業分野のニーズを取り込んでいる。足もとでは主力の産業設備工事を中心に手持ち工事が順調に進んでおり、第3四半期決算の開示にあわせて、通期の経常利益が5期ぶりの過去最高益となる58億5000万円(従来予想は41億5000万円)に拡大する見通しとなったと発表。年間配当も従来計画の40円から48円に増額修正した。PBR1倍割れが続くなか、1月までに10億円規模の自社株買いも実施しており、資本コストや株価を意識した姿勢も注目ポイントだ。

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