インテリックス Research Memo(10):「エコキューブ」の普及拡大により、中長期的な成長を目指す
■インテリックス<8940>の今後の見通し
3. リノベーションマンション市場の中長期見通し
2023年の首都圏におけるマンションの市場動向について見ると、中古マンションの成約件数は前期比1.6%増の35,987件と2年ぶりに増加に転じた一方で、新築マンションの供給戸数は同5.3%減の28,000件と2期連続で減少したもようだ。建築コスト上昇による販売価格の上昇傾向が続いており、東京以外の3県で供給戸数が減少した。これで2016年以降、8期連続で新築を中古マンションが上回ることになる。2024年の新築マンション供給戸数については、3.1万戸と増加に転じる見通しだが、中古マンションの成約件数を上回ることはなく、首都圏マンション需要の過半は中古マンションで占めることになりそうだ。
中長期的に見ても中古マンション市場はストックの積み上がりにより安定した市場が形成され、リノベーションマンションについては着実な成長が見込まれる。国土交通省の調べによれば、全国のマンションストックは2021年時点で685.9万戸、このうちリノベーションが必要とされる築30年以上の物件は249.1万戸と全体の約36%を占めるが、20年後の2041年には約2.4倍の588.4万戸に拡大すると予想されているためだ。2022年にマンション建替円滑化法が改正され、1棟建て替えに必要となる要件が緩和※されたことで、老朽化マンションの1棟建替えが従来よりも増加する可能性はあるが、中古マンション市場は今後も戸別でリノベーションを行い、販売する形態が主流であり続けると弊社では見ている。
※従来は建替え要件として、所有者全員の5分の4以上の賛成が必要だったが、改正法では所在不明者を除く4分の3以上の賛成で可能となった。
政府方針としても脱炭素社会の実現を掲げるなかで、既存住宅の省エネ化促進に向けた施策(住宅ローン減税や補助金等)を今後も継続していく可能性は高い。省エネリノベーションマンションの普及拡大を業界に先駆けて取り組み、内装工事でも豊富な実績を持つ同社にとって今後数年間は、「エコキューブ」を戦略商品として飛躍的な成長を遂げる好機になると弊社では見ており、「FLIE」事業による新規サービスの育成も含めて今後の展開が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SI》
提供:フィスコ