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佐藤志樹氏【3万6000円台固めの動き、強気相場は続く?】(1) <相場観特集>


―米株高と円安で追い風強力、トレンド転換の可能性は―

 5日の東京株式市場は日経平均株価が続伸、3万6000円台を固める動きをみせている。外国為替市場でのドル高・円安を追い風に、依然として強さを際立たせる米国株市場の後を追うように強調展開が続いている。果たしてこの上昇トレンドは今後も継続するのか、それともトレンド転換の可能性はあるのか。先読みに定評のある市場関係者2人にここからの相場展望と物色の方向性などについて意見を聞いた。

●「強調展開で3万7000円台半ば目指す」

佐藤志樹氏(東洋証券 ストラテジスト)

 週明けの東京株式市場は日経平均が上値指向の強さをみせているが、今のところ調整局面への移行を示唆する材料は見当たらず、当面は上昇トレンドが続くのではないかと思われる。もちろん短期的な過熱感は拭えないことで、一本調子で水準を切り上げることは考えにくく、向こう1ヵ月でみた日経平均のレンジは上値が3万7000円台半ばとみている。一方、今後何かしらのネガティブ材料が出た場合、ボラティリティが高まっているだけにその反動から深押しも考えられる。そうしたケースでも日経平均はマド開け急伸前の1月10日の水準である3万4500円近辺が下値限界ラインとみている。

 日本時間の朝方取引開始の時間帯にパウエルFRB議長が米テレビ番組にビデオ出演したが、そこでは3月の利下げの可能性は高くないとしたほか、年3回の利下げの可能性に言及した。ただし、これは前回のFOMCで大方織り込まれた内容で、日米の株式市場にネガティブな影響を与えることはなさそうだ。日本株は海外投資家の買いが続いており、一方で年初から利益確定に動いていた個人投資家も足もとの日経平均の強さを受けて、再び買い参戦してくる可能性がある。新NISA導入に伴う買い需要も中期的に全体相場に浮揚力を与えることになるだろう。

 米国ではトランプ前大統領が11月の大統領選で復活を果たすという見方が広がり警戒されているが、仮に実現しても日米株式市場への大きなデメリットは生じないと考えている。脱炭素に否定的な姿勢がクローズアップされているが、現在は電力不足の問題が取り沙汰されるなか、再生可能エネルギーを含めクリーンエネそのものを否定する流れとはならない。株式市場においても物色の流れが大きく変わるようなことはなさそうだ。

 ここからの物色対象としては、半導体関連は引き続き注目で、東京エレクトロン <8035> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]のほか、ソシオネクスト <6526> [東証P]やKOKUSAI ELECTRIC <6525> [東証P]なども併せてマークしたい。また、 消費関連では大手百貨店株のほか、エービーシー・マート <2670> [東証P]、パルグループホールディングス <2726> [東証P]などに着目。更に海外で戦える消費関連株として日清食品ホールディングス <2897> [東証P]、アシックス <7936> [東証P]なども投資妙味がありそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(さとう・しき)
明治大学商学部卒。2013年東洋証券に入社。同年より、9年間個人投資家を中心とした資産アドバイザーを経験し、2022年4月より現職に。

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