ナガイレーベ Research Memo(1):2024年8月期第1四半期は前年同期比4.3%の営業増益
■要約
1. 2024年8月期第1四半期(実績)
ナガイレーベン<7447>は、医療白衣のコア市場※において国内シェア60%超のトップメーカーであり、高い利益率と堅固な財務内容を誇っている。2024年8月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比3.2%増の3,048百万円、営業利益が同4.3%増の657百万円、経常利益が同4.3%増の676百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同4.2%増の464百万円となった。売上高は、営業努力と値上げ効果などから、周辺市場を中心に各商品とも順調に増加した。売上総利益率は、為替レートがやや円高となったこと、2023年2月からの価格改定効果が浸透しつつあることなどから44.0%となり、前年同期の42.8%から1.2ポイント改善した。販管費は、前年同期比7.7%増と予算内に収まったことから、営業利益は前年同期比4.3%増となった。第1四半期の予想は発表されていないが、ほぼ計画に沿った結果であり事業環境は好転しつつあるようだ。
※国内市場のうち同社のシェアが比較的高い市場のこと。ヘルスケアウェア、ドクターウェア、ユーティリティウェア・他、感染対策商品が該当する。
2. 2024年8月期(予想)
2024年8月期の連結業績は、売上高が前期比3.6%増の17,800百万円、営業利益が同0.2%増の4,615百万円、経常利益が前期と横ばいの4,673百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.2%増の3,231百万円と予想されており、期初予想と変わっていない。売上高は順調な伸びを予想しているが、為替(前期比で円安)の影響や加工賃の上昇などが続く可能性があり、原価率がアップすると見ている。一方で、生産の効率化などさらなる収益性の改善を進め、製品価格の改定も行っていることから、営業利益は前期比でほぼ横ばいを見込んでいる。しかしながら現状では、為替は想定よりも円高になっていること、価格改定のさらなる浸透も期待できること、来年度からの診療・介護報酬の改定(上昇)の影響やハイエンド品での新製品投入効果が期待できることなどから、事業環境は当初の前提よりは改善しつつあると言える。そのため現在の状況が続くのであれば、通期業績が上方修正される可能性はあると弊社では見ている。
3. 中期経営計画
同社は、2023年8月期の実績を踏まえ、それまでの計画をロールオーバーした中期経営計画を発表しているが、現時点でこの計画に変更はない。数値目標としては、2026年8月期に売上高189億円、営業利益55億円を掲げている。足元では為替が円安に振れており同社業績に対しては逆風だが、価格改定を進めていること、高付加価値・高価格商品の投入を積極的に進めていることなどから、これらの目標が達成される可能性は有り得るだろう。一方で、株主還元の姿勢は変わらず、2023年8月期は年間60.0円の配当を実施し、2024年8月期も年間60.0円(連結配当性向59.3%)の配当を予定している。自己株式の取得にも前向きで、資本効率の向上と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行することを目的として、2022年8月期に612,700株(1,231百万円)の自己株式取得を行った。さらに2023年6月30日から2023年12月11日までの間に上限500千株(上限1,000百万円)の自己株式取得を行うことを発表したが、既に第1四半期(2023年11月)末までに、423,600株(928百万円)を取得済みだ。強固な財務体質に加え、このような積極的な株主還元の姿勢は評価に値すると言える。
■Key Points
・2024年8月期第1四半期の営業利益は前年同期比4.3%の営業増益で、ほぼ計画線
・2024年8月期の営業利益は横ばい予想だが、上方修正の余地は残る
・中期経営計画では2026年8月期に営業利益55億円を目指す。株主還元にも積極的
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
《HH》
提供:フィスコ