Iスペース Research Memo(3):2023年9月期は広告費用の増加や「ママスタ」の広告単価下落で増収減益に
■業績動向
1. 2023年9月期の業績概要
インタースペース<2122>の2023年9月期の連結業績は売上高で前期比2.3%増の7,284百万円、営業利益で同25.8%減の791百万円、経常利益で同29.7%減の908百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.0%増の585百万円となった。2023年8月に修正発表した会社計画に対してはいずれも上回ったが、営業利益、経常利益に関しては3期ぶりの減益に転じるなど厳しい結果となった。売上高はストアフロントアフィリエイトや比較・検討型メディアの成長により増収を確保したものの、収益源である「ママスタ」の広告単価が2023年3月以降、広告プラットフォーマーの表示規制により大きく下落し、メディア事業の事業利益が同34.0%減と大きく落ち込んだことで減益となった。
販売ミックスの悪化により、売上総利益率は81.5%と前期比2.0ポイント低下し、売上総利益は同0.1%減となった。また、販管費は人件費を中心に固定費を前期並みの水準に抑えたものの、売上に連動する広告費が260百万円、決済手数料が57百万円それぞれ増加し減益となった。期末の連結従業数は前期末比6名増の413名と4期ぶりに増加した。国内のインターネット広告事業については生産性向上に取り組み、同12名減の230名と減少傾向が続いたが、成長事業と位置付けている海外インターネット広告事業で同14名増の81名、メディア事業で同4名増の70名と体制を強化した。
営業外収支が前期比で108百万円減少したが、主には投資事業組合運用損益の減少(98百万円減)と為替差益の減少(33百万円減)によるものである。持分法による投資利益は前期の64百万円から90百万円に拡大した。ベトナムの関連会社は金融業界向け広告規制の影響で減収となったものの、人員規模を縮小するなど、費用削減を迅速に進めた効果で利益ベースでは増益となったようだ。また、親会社に帰属する当期純利益については、前期に計上した減損損失※が大幅に減少したことで増益を確保した。
※2022年9月期は、主にユナイトプロジェクトに係る固定資産に関して減損損失を計上した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SI》
提供:フィスコ