貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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1605 INPEX

東証P
1,940.0円
前日比
+7.0
+0.36%
PTS
1,945円
19:50 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.1 0.54 4.43 16.03
時価総額 24,427億円
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和島英樹のマーケット・フォーキャスト【新春スペシャル】 <新春特別企画>


「バリューとグロースの循環相場、順調なら3万7500円想定」

●米経済ソフトランディングと日本のデフレ脱却がメーンシナリオ

 1月の東京株式市場は、月初は調整入りする可能性もあるが、基本は堅調な展開が想定される。日経平均株価の予想レンジは3万3000円~3万4500円。

 11月のPCE(個人消費支出)物価指数の伸び率鈍化などで米国では早期利下げの観測が高まり、これが株価の下支え要因となっている。一方、米国株式市場は短期的にはやや過熱感が兆している。また、年初は12月決算を通過した海外投資家が運用をスタートするが、近年は利益確定売りから入る投資家もみられる。ただ、米国の金利ピークアウト感や経済のソフトランディング期待があり、基調全体の強さは維持されるだろう。

 1月の注目スケジュールは、4日に米国ISM製造業景況指数、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨、5日に米国雇用統計、米国ISM非製造業景況指数、11日に米国消費者物価指数(CPI)、17日に米国小売売上高、23日に日銀金融政策決定会合の結果発表、25日にECB(欧州中央銀行)理事会・政策金利、31日にFOMC・政策金利発表などが予定されている。米国の経済指標の結果により利下げの時期などを探る展開が予想される。

 2024年1年間の株式市場見通しは、米国経済のソフトランディング(軟直陸)と日本経済のデフレ脱却がメーンシナリオ。

 デフレからの脱却が順調なら、24年末の日経平均株価はいわゆるアベノミクス相場でのPBRのピーク1.5倍を当てはめて3万8800円まで上昇の可能性がある。

 23年は物価が上昇し、賃金も上がる好循環の入り口に立った。コロナ禍からの経済の正常化もあり、人手不足感が高まっている。24年も賃上げ基調は継続する公算が大きい。企業の値上げも通りやすくなっており、採算は改善傾向にある。

 東京証券取引所によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に対する是正要請の流れは24年も継続する。低PBRの是正はROE(株主資本利益率)の向上と同義であり、自社株買いや増配、政策投資(株式持ち合い)の見直しに踏み切る企業が増加することが想定される。デフレ脱却で企業が現金をため込む必要もない。大手調査機関によると、24年末にも日本企業のROEは10%が視野に入るという。欧米並みに2ケタのROEが見えれば、外国人投資家の買いが本格化する可能性がある。

 リスクは、外部環境では米国大統領選の結果、国内では増税機運の高まりとなる。特に国内で消費税増税やキャピタルゲイン課税強化などのムードが出ると、せっかくの好循環に水を差しかねない点は警戒要因だ。米国でトランプ氏が大統領に返り咲くなら不透明要因が増えそうだ。

●物色はPBR1倍割れ是正、次世代EUVを軸に展開へ

 24年は辰年。東証再開以来、辰年の年間騰落は4勝2敗。6回の平均上昇率は28%で、十二支中でトップのパフォーマンスとなっている。1988年がバブル相場の真っただ中で日経平均株価は年間で約40%の上昇となった一方、2000年はITバブルの崩壊で同27%の下落となるなど、変動率が大きいことも特徴だ。

 物色はバリューとグロースの循環相場を想定する。バリューでは日本を代表する企業でありながらPBRが1倍を割れている銘柄群が対象となる。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]をはじめとするメガバンクは、低PBRかつ配当利回りも高水準。デフレ脱却での企業の資金需要の高まりも追い風になる。

 また、日本製鉄 <5401> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、INPEX <1605> [東証P]、オリックス <8591> [東証P]、MS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> [東証P]などもPBRが低く、利回りも比較的高い。

 グロースでは、引き続き半導体関連が軸となりそうだ。生成AIの普及などにより、大量の情報を高速に処理する必要性が高まっている。特に「次世代EUV」がテーマになると予想する。半導体の微細化にはEUV(極端紫外線)露光装置が不可欠だが、従来の方式では線幅3ナノメートル(ナノは10億分の1)が限界とされる。2ナノに一段微細化を進めるにはレンズの明るさを示す開口数(NA)を引き上げる必要がある。現行世代のNAは0.33だが、次世代はより明るいレンズで露光する必要があり0.55と高い。このため、次世代の露光技術は「High-NA」と呼ばれる。

 このHigh-NA対応の検査装置を23年11月に発表したのがレーザーテック <6920> [東証P]だ。対応検査装置の登場により、EUV露光装置を唯一製造するオランダのASMLホールディング<ASML>の次世代2ナノ露光装置の量産化にメドがつく可能性が高い。25年にも市場に投入されるとみられる。2ナノでは不可欠となるペリクル(保護膜)で世界シェア首位の三井化学 <4183> [東証P]、ウエハ洗浄に使われる超純水関連の野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証P]、栗田工業 <6370> [東証P]、オルガノ <6368> [東証P]、ジャパンマテリアル <6055> [東証P]などが関連銘柄となる。ウエハの表面を平らにするCMP(化学的機械研磨)に強いフジミインコーポレーテッド <5384> [東証P]、微細化によるショート(短絡)を防ぐ部材を手掛けるトリケミカル研究所 <4369> [東証P]なども有望といえる。

2023年12月27日 記

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