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【特集】北浜流一郎が斬る!辰年「有望株!」 <新春お年玉企画>

株式アドバイザー 北浜流一郎

「“5+one”の支援材料を追い風に史上最高値を更新へ」

●勝負賭けたい24年前半、後半には波乱も

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

 さて、2024年の相場はどうなるのか。予想の手掛かりとなるのは、昨年の株価支援材料の賞味期限がいつになるか、である。では、昨年はどんな材料が株価を押し上げたのか。幾度も紹介したので記憶している方もおられるだろうが、改めて挙げると次の7大材料があった。

 (1)増収増益予想の企業が多い
 (2)年明けから新NISA(少額投資非課税制)が始まる
 (3)日銀が大規模金融緩和を続けている
 (4)東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍以下の企業に対して資本効率の改善を求めている
 (5)年末に向けて投資信託の設定が相次ぐ
 (6)米国でインフレ懸念が後退、金融政策が利下げ方向にある
 (7)10月第4週以降、外国人投資家の日本株買い越し(現物)が続いている

 これらのうち、すでに賞味期限が来ている項目がある。(5)がそうであり、(7)も大分あやしくなっている。外国人投資家は11月第4週以降、3週連続で売り越し、その後は2週連続で買い越しとはっきりしない。

 となると、7大材料のうち5つの賞味期限がまだ来ていないわけであり、これらが24年もパワーを保ち続け、少なくとも年の前半は株価の押し上げ要因になると見てよい。

 しかも、実はもう一つ大きな株価支援材料がある。ついその存在を忘れてしまうのだが、事業法人の買い継続。これになる。

 その中身は企業の自社買いであり、足もとまで12週連続で買い越し続けているのだから、買ったり売ったりを繰り返す外国人投資家たちより頼りになるのが実は事業法人なのだ。24年もこの流れが逆流することは考えられない。上場企業は株主還元策の1つとして自社株買いに非常に前向きになっているからだ。

 以上から、24年は「5+one」の株価支援材料があることになり、大いに期待が持てる。その結果、早ければ年前半までに日経平均株価は史上最高値3万8915円への回帰と突破が期待される。

 これが私の基本シナリオになるが、夏場までに史上最高値のクリアが実現しなければ夏の酷暑に叩きつぶされる恐れがあるため、年後半にずれ込むことになるだろう。

 それに夏が終わると、米国市場が大統領選挙で波乱に陥る恐れがある。トランプ前大統領が再出馬する可能性が高く、東京市場も波乱に巻き込まれる可能性があるため、株式投資は前半で頑張っておきたい。

●半導体関連の上昇の行方は? 注視したい円高の影響

 では、市場の中身はどうなるか。まず考えたいのは、23年の牽引役となった 半導体関連株が引き続き上昇基調を保てるかになる。

 カギを握るのは、半導体受託生産で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>、画像処理半導体(GPU)の開発で先行し人気絶好調のエヌビディア<NVDA>だ。両社の株価の値動きを見ると、浮上開始は22年11月頃から。エヌビディアはそれよりも半月ほど早かったが、基本的にはほぼ同時期と見なせるので、両社は1年と1~2カ月ほど上昇したことになる。

 通常、市場の主体となるテーマ株が底値から浮上に転じた場合、上昇が1年で終わってしまうことは滅多になく、2~3年は続く。この観点から半導体関連株の上昇は少なくともあと1年は継続してもおかしくなく、国内の半導体、特に先端半導体関連株の上昇も続くことだろう。

 ただ、24年はドル円相場が円高に振れる可能性が高く、この点を考慮することも必要になる。円高は自動車株を直撃するため、トヨタ自動車 <7203> [東証P]をはじめ、自動車関連銘柄であるブリヂストン <5108> [東証P]のような好業績銘柄でも上昇力が鈍ってしまう恐れがあり、懸念材料になる。

 一方、消費関連株の多くが23年は活況とほど遠い動きになってしまったが、円高メリットに加え、春闘での5%前後の賃上げはほぼ確定的と見てよいことから、関連株の支援材料になるだろう。

 以上を前提に、有望銘柄をセレクトしたところ、以下のようになった。

◆北浜氏のお薦め「2024年ポートフォリオ10銘柄」

○住友林業 <1911> [東証P]
米国が利下げ方向にあることから、一時失速していた同国の住宅建設が盛り返しつつある。同社は国内だけでなく、米国でも木造住宅建設で高いブランド力を持っているため、収益増に大きく寄与すると見てよい。

○広済堂ホールディングス <7868> [東証P]
元気な高齢者が多いとはいえ、高齢化が進むことで亡くなる人も増加する。同社は東京都内において6カ所で火葬場・斎場を運営している。今後数年にわたって事業は好調が続く可能性が高く、株も期待が持てる。

○ダイハツディーゼル <6023> [東証S]
ダイハツの検査不正はショッキングだった。全工場の操業停止は通常は有り得ないこと。トヨタの傘下になければ倒産してもおかしくない。ダイハツの子会社である同社も苦境に陥っているものの、バックにトヨタがいる以上、経営破綻は考えられず、長期視点での投資対象として候補に挙がる。

○Recovery International <9214> [東証G]
訪問看護サービスに特化した事業を展開する。上場は22年2月とまだ若い会社だ。訪問看護はわが家でも依頼したが、非常に助かった。今後この会社への依頼も増えると思えることから、株価が底値圏にあるいまは要マークだ。

○GENDA <9166> [東証G]
エンタメ業界で積極的にM&Aを実施することで成長してきた企業だ。いまもなお積極経営を続けていて、レモネード、ポップコーンの販売会社まで買収している。もちろん、エンタメ事業のさらなる発展のためであり、今後の成長が楽しみだ。

○セック <3741> [東証P]
宇宙活動や自動走行分野で稼働可能なロボットのソフト開発に強い。宇宙事業は遠い未来のことのようで現実感が薄く感じられるかもしれないが、世界各国は宇宙の占有を目指してすでに鎬を削っている。同社の活躍余地は大きく、株価は高値圏ながらここはあえて注目しておきたい。

○リオン <6823> [東証P]
幸い、私はいまのところ聴覚に問題はないが、今後問題が生じた場合、この会社の補聴器を利用することになるだろう。補聴器首位であり、高齢化が進むことで同社の補聴器のお世話になる人は増えていくと見るのが自然。株価はさらなる高値が見込める。

○ジェイテックコーポレーション <3446> [東証P]
23年は半導体関連のすべてが上がったわけではなく、Jテック・Cは忘れられた格好となった。しかし、同社は次世代研磨装置の製造に強く、すでに試作機の受注実績がある。24年はそれに気づく投資家も増えるとみてよく、安値圏の現在水準は魅力的だ。

○ブロードメディア <4347> [東証S]
映像、文字などの配信技術に定評がある会社。映像は作れても、それをスムーズに配信できるかとなると別問題だ。同社はBS放送のほか、通信制高校の授業配信サービスを手掛けており、利用校、生徒ともに増加中。株価は底値から浮上開始が見込める。

○キヤノンマーケティングジャパン <8060> [東証P]
社名で明らかなようにキヤノン <7751> [東証P]の関連企業だ。プリンター、カメラの販売に加え、データセンター運営やITサービスにも展開。収益は好調であり、株価は明らかに高値圏ながら続伸する確率は高いと判断する。

2023年12月29日 記

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