貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8801 三井不動産

東証P
1,260.0円
前日比
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PTS
1,269.9円
22:51 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.9 1.11 2.38 11.14
時価総額 35,428億円
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回復から再成長フェーズへ前進、「駐車場関連」輝き放つ好業績株選抜 <株探トップ特集>


―人流活発化や経済正常化により駐車需要が増加、稼働率改善が業績に好影響―

 コロナ禍を経て 駐車場ビジネスが再び活況となっている。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが今年5月に5類に移行して以来、人の動きが活発化し、コロナ禍では行けなかった商業地や観光地への移動も増えてきたため、駐車場需要が増加している。また、リモートワークやオンライン会議で駐車場の利用も減少傾向にあったが、経済活動の活性化で直接会う機会が増え、営業車の駐車も増えている。今後駐車場ビジネスは回復フェーズから、再び成長フェーズへと向かいそうだ。

●パーク24の23年10月期営業利益は過去最高更新

 駐車場ビジネスの回復は、関連企業の業績からも見てとれる。時間貸し駐車場最大手のパーク24 <4666> [東証P]が12月14日に発表した23年10月期連結決算で営業利益は319億8600万円(前の期比54.7%増)と大幅増益となり、過去最高益を更新した。

 国内の駐車場事業では、タイムズパーキングの運営件数は1万7639件(前の期比1.4%増)、運営台数は57万6262台(同4.4%増)と前年に比べて増加。新規開発も974件と21年10月期の443件、22年10月期の558件から増加し規模拡大基調に回帰した。同社では24年10月期は新規開発1500件とサービス規模拡大の加速を計画しており、運営件数を1万8200件に拡大させる見通しだ。

●需給ギャップで駐車場の拡大余地は十分

 駐車場ビジネスが復調にあるのには、コロナ禍明けに伴う人流の活発化に加えて、いくつかの要因がある。

 第1に、もともと供給が需要に追い付いていない市場特性が挙げられる。警察庁交通局が22年に実施した調査では、東京都特別区における瞬間路上駐車台数は4万6642台(前年比1.6%増)で、長期的にみると違法駐車は減少傾向にあるものの、依然として高い水準にある。パーク24の資料でも、日本の大都市圏では駐車場の供給は需要の3分の1程度と需給に大きなギャップがあるとされ、駐車場は不足している。

 第2に、土地所有者が建築コストの増加により投資額が大きくなる収益マンションなどから、比較的低コストで始められる駐車場経営にシフトしていることが挙げられる。仮に1棟の収益マンションを建築しようとすると数億円から数十億円規模の投資が必要となり、大きなリスクを負うことになるが、駐車場は運営方針にもよるものの、100万円前後から数百万円規模の投資で始めることができる。金利上昇に伴うリスクもあり、土地所有者が駐車場を選択するケースは着実に増えている。こうした要因もあり、コロナ禍で苦戦した駐車場ビジネスの環境は好転している。

●駐車場を運営する企業に注目

 駐車場ビジネスには駐車場の管理・運営を行う企業のほか、管理システムや付帯設備を手掛ける企業などがあり、関連銘柄の裾野は意外に広い。そのなかでも管理・運営を手掛ける企業は、全国に1000社以上あるといわれており、パーク24を筆頭に三井不動産 <8801> [東証P]傘下の三井不動産リアルティ(三井のリパーク)、東京建物 <8804> [東証P]傘下の日本パーキング(NPC24H)などが上位を占めている。駐車場運営会社は稼働率の改善が業績に結び付きやすいだけに、前述のパーク24以外の企業にも注目したい。

 日本駐車場開発 <2353> [東証P]の駐車場事業は、駐車場のサブリースや駐車場の運営受託、更に近年では月極駐車場検索ポータル「日本駐車場検索」の運営などを行っている。24年7月期第1四半期時点の国内駐車場の運営件数は1351件(前期末比15件増)と順調に増加。また、月極駐車場検索サイトの問い合わせも増加しており、両事業が駐車場事業を牽引している。

 アズーム <3496> [東証G]は、駐車場サブリースや月極駐車場検索ポータルサイトの運営などを展開している。23年9月期決算では、期末の駐車場サブリースの受託台数が2万2782台(前年同期比24.3%増)と順調に拡大し、平均稼働率も91.6%と高水準で推移した。同事業を牽引役に連結営業利益は12億8200万円(前の期比46.0%増)と大幅増益となったが、24年9月期も同18億円(前期比40.4%増)と大幅増益で連続最高益更新を見込む。

 パラカ <4809> [東証P]は、賃借または自社保有の駐車場による時間貸し駐車場の運営・管理が主な事業。23年9月期末時点で賃借・保有あわせて駐車場2285件3万5088車室を運営しており、件数、運営車室数ともに過去最高を更新。稼働率の改善や値上げ効果もあり、単独営業利益は29億3400万円(前の期比30.2%増)と大幅に伸長。24年9月期は同31億2000万円(前期比6.3%増)を見込む。

 東建物は、子会社の日本パーキングが「NPC24H」ブランドで駐車場事業を展開しており、23年12月期第3四半期時点で1919拠点、8万2287車室を運営している。拠点数は前期末に比べて0.7%減となったものの、車室数は同2.8%増となっており、車室数の増加や稼働の回復により、同事業の収益は順調に拡大している。

 このほか、「D-パーキング」ブランドでコインパーキングを展開する大和ハウス工業 <1925> [東証P]、「ザ・パーク」ブランドでコインパーキングを展開する第一興商 <7458> [東証P]などにも要注目だ。

●駐車場周辺ビジネスにも注目

 駐車場開発が増えることで、周辺機器やシステムを手掛ける企業へも好影響を与えそうだ。

 コインパーキングの駐車券発券機から精算機、フラップ板など駐車場に関連するさまざまな機器を手掛けるアマノ <6436> [東証P]では、24年3月期第2四半期累計決算でパーキングシステムの連結売上高が351億600万円(前年同期比21.9%増)となり、管理会社向け案件の受注が回復基調にあるという。

 また、駐車設備の設計施工や「パークネット」ブランドのコインパーキングを展開する新明和工業 <7224> [東証P]では、24年3月期第2四半期累計決算でパーキングシステムの連結売上高は184億2300万円と前年同期並みだったが、受注高は236億1400万円(前年同期比14.5%増)となっており、なかでも機械式駐車設備の受注が増加しているという。

 このほかにも、自走式立体駐車場大手で商業施設や病院、企業、アミューズメント施設などへの導入実績を多く有する綿半ホールディングス <3199> [東証P]、駐車場満空把握AI画像解析ソリューション「デジパーク」をハウステンボス(長崎県佐世保市)などに提供するニューラルグループ <4056> [東証G]、子会社が二段式・多段式機械式駐車装置の立体駐車場の設置から保守・点検まで手掛けるニッパツ <5991> [東証P]、駐車場管理システムやパークロックシステムなどを手掛ける日本信号 <6741> [東証P]、土地の所有者などに対し時間貸し駐車場「パークイット!」を提案するイチネンホールディングス <9619> [東証P]などにも注目したい。

 駐車場ビジネスは、国内だけでなく、海外展開も注目されている。自動車保有台数が増加し続けるアジアや中東などでは駐車場の供給数は慢性的に不足している状態にあり、M&Aなどにより海外展開を進めるケースも増えている。ビジネスチャンスはまだ大きそうだ。

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