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注目の半導体、鉄則は「勝ち馬に順張り」~24年の日本株戦略
~株探プレミアム・リポート~
今中能夫・楽天証券経済研究所チーフアナリストに聞く【第1回】
引き続き「生成AIブーム」で好調
―― 2023年は半導体関連銘柄の上昇が見立ちました。24年もこの勢いは続くのでしょうか。
今中能夫さん(以下、今中): 23年に半導体関連銘柄の株価を牽引した原動力は、いうまでもなく生成AI(人工知能)の普及があります。
ご存じのように、生成AIは22年に米国のオープンAIが「チャットGPT」を公開して以降、世界的に普及、これに刺激を受けチャットGPT以外のサービスも続々と投入されました。急速に広がるサービスでは、膨大なデータ処理を担う半導体が必要なことから、今後の需要増を期待した買いが世界の主要半導体関連銘柄に入りました。
24年もこの流れは続き、生成AIをはじめとするAI全般が主力のテーマとなって、半導体株への注目が高まる環境が続くと見ています。
注目銘柄としては、アメ株では、半導体デバイス大手のエヌビディア<NVDA>、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ<AMAT>、ASMLホールディング<ASML>が挙がります。
日本株では、やはり半導体製造装置で、国際競争力が高いレーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>、ディスコ<6146>、アドバンテスト<6857>などが期待できると考えています。
半導体市況、底打ちの背景は在庫調整終了と強いGPU需要
―― 半導体セクターの業況は、どのような状況にあるのでしょうか。
今中: GPUなど半導体デバイス市場の状況について、SIA(米国半導体工業会)が公表する世界半導体出荷金額の3カ月移動平均を見ると、22年5月にピークを打ち下降局面に入って以降、23年2月に大底を打ち、現在は回復軌道をたどっています。
また、世界の半導体の製造動向を掴む上で注目される台湾TSMC(台湾積体電路製造)の月次売上高を見ても、今年3月に大底を付け、その後は急速に回復しています。
企業業績を見ても、AMDやTSMCそして製造装置各社も、おおむね今年4~6月期に大底を付ける形で回復基調にあります。
■TSMCの月次売上高(12年1月~)
この背景には、22年に悪化していた在庫の積み上がりが緩和され、特に、大手企業のパソコンやサーバー向けのCPU(中央演算処理装置)の在庫調整のめどがつき始めたことがあります。
これと同時に、昨年秋から火が付いた生成AIブームでGPUの強い需要が生まれてきた。この2つのエンジンにより、半導体デバイス市況の回復と再成長への動きが出ているわけです。
これらの活況は来年も継続し、半導体製造装置の分野にも広がっていくと考えています。
技術革新が新たなビジネスチャンスを生む
―― 半導体製造装置関連では、足元では特に、製造過程における検査装置を開発するレーザーテックの株価が上場来高値を更新する勢いです。
今中: レーザーテックを筆頭に半導体製造装置の分野で注目したいのは、半導体が技術革新していくにつれ、その製造過程において特定の工程が新たに加わり、その工程の重要度が増していくことでビジネスチャンスが次々と広がっていくという点です。
レーザーテックに関しては、半導体の微細化が進んだことが、好調を後押ししています。かつて、半導体チップの回路線幅が10ナノメートル程度であった頃にはさほど注目はされていませんでした。
しかし、近年、1ケタ台のタイプが登場したことにより、微細化に対応した検査の重要度が増してきた。この流れで、最先端のEUV(極端紫外線)露光装置用フォトマスク欠陥検査装置の分野でシェアを独占する同社が俄然、注目を集めることとなったわけです。
同社のように、新たな重要分野で高い技術を持つニッチトップ企業は、そう頻繁に出てくるものではありません。それだけに、この好調は来年も続くと考えており、利益確定で株価が多少調整する場面があったとしても、むしろ押し目買いのチャンスだと見ています。
■レーザーテックの月足チャート(15年1月~)
「増産」「微細化」が人気を後押し
―― レーザーテック以外にも、半導体製造装置関連では好調企業がいくつか登場するのでしょうか。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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今中能夫・楽天証券経済研究所チーフアナリストに聞く【第1回】
登場する銘柄
足元の日本株相場は、急激な円高進行で株価が乱高下しているが、秋から上昇基調にあるレーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>などを筆頭に、一部の半導体関連株は底堅い動きを見せている。
米国の主要な半導体関連30銘柄で構成される「SOX(フィラデルフィア半導体株指数)」も勢いづいており、12月に入ってから10%を超えて上昇、過去最高値を更新する(15日終値時点)。
今年(23年)には、日米ともに半導体関連株が大いに沸く「半導体祭り」の様相が見られた中で、来年も再び盛り上がりを見せるのか。
日米の半導体関連銘柄の動向に詳しい楽天証券経済研究所の今中能夫さんに聞いた。
(聞き手は真弓重孝/株探編集部、福島由恵/ライター)
米国の主要な半導体関連30銘柄で構成される「SOX(フィラデルフィア半導体株指数)」も勢いづいており、12月に入ってから10%を超えて上昇、過去最高値を更新する(15日終値時点)。
今年(23年)には、日米ともに半導体関連株が大いに沸く「半導体祭り」の様相が見られた中で、来年も再び盛り上がりを見せるのか。
日米の半導体関連銘柄の動向に詳しい楽天証券経済研究所の今中能夫さんに聞いた。
(聞き手は真弓重孝/株探編集部、福島由恵/ライター)
引き続き「生成AIブーム」で好調
―― 2023年は半導体関連銘柄の上昇が見立ちました。24年もこの勢いは続くのでしょうか。
今中能夫さん(以下、今中): 23年に半導体関連銘柄の株価を牽引した原動力は、いうまでもなく生成AI(人工知能)の普及があります。
ご存じのように、生成AIは22年に米国のオープンAIが「チャットGPT」を公開して以降、世界的に普及、これに刺激を受けチャットGPT以外のサービスも続々と投入されました。急速に広がるサービスでは、膨大なデータ処理を担う半導体が必要なことから、今後の需要増を期待した買いが世界の主要半導体関連銘柄に入りました。
24年もこの流れは続き、生成AIをはじめとするAI全般が主力のテーマとなって、半導体株への注目が高まる環境が続くと見ています。
注目銘柄としては、アメ株では、半導体デバイス大手のエヌビディア<NVDA>、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ<AMAT>、ASMLホールディング<ASML>が挙がります。
日本株では、やはり半導体製造装置で、国際競争力が高いレーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>、ディスコ<6146>、アドバンテスト<6857>などが期待できると考えています。
半導体市況、底打ちの背景は在庫調整終了と強いGPU需要
―― 半導体セクターの業況は、どのような状況にあるのでしょうか。
今中: GPUなど半導体デバイス市場の状況について、SIA(米国半導体工業会)が公表する世界半導体出荷金額の3カ月移動平均を見ると、22年5月にピークを打ち下降局面に入って以降、23年2月に大底を打ち、現在は回復軌道をたどっています。
また、世界の半導体の製造動向を掴む上で注目される台湾TSMC(台湾積体電路製造)の月次売上高を見ても、今年3月に大底を付け、その後は急速に回復しています。
企業業績を見ても、AMDやTSMCそして製造装置各社も、おおむね今年4~6月期に大底を付ける形で回復基調にあります。
■TSMCの月次売上高(12年1月~)
この背景には、22年に悪化していた在庫の積み上がりが緩和され、特に、大手企業のパソコンやサーバー向けのCPU(中央演算処理装置)の在庫調整のめどがつき始めたことがあります。
これと同時に、昨年秋から火が付いた生成AIブームでGPUの強い需要が生まれてきた。この2つのエンジンにより、半導体デバイス市況の回復と再成長への動きが出ているわけです。
これらの活況は来年も継続し、半導体製造装置の分野にも広がっていくと考えています。
技術革新が新たなビジネスチャンスを生む
―― 半導体製造装置関連では、足元では特に、製造過程における検査装置を開発するレーザーテックの株価が上場来高値を更新する勢いです。
今中: レーザーテックを筆頭に半導体製造装置の分野で注目したいのは、半導体が技術革新していくにつれ、その製造過程において特定の工程が新たに加わり、その工程の重要度が増していくことでビジネスチャンスが次々と広がっていくという点です。
レーザーテックに関しては、半導体の微細化が進んだことが、好調を後押ししています。かつて、半導体チップの回路線幅が10ナノメートル程度であった頃にはさほど注目はされていませんでした。
しかし、近年、1ケタ台のタイプが登場したことにより、微細化に対応した検査の重要度が増してきた。この流れで、最先端のEUV(極端紫外線)露光装置用フォトマスク欠陥検査装置の分野でシェアを独占する同社が俄然、注目を集めることとなったわけです。
同社のように、新たな重要分野で高い技術を持つニッチトップ企業は、そう頻繁に出てくるものではありません。それだけに、この好調は来年も続くと考えており、利益確定で株価が多少調整する場面があったとしても、むしろ押し目買いのチャンスだと見ています。
■レーザーテックの月足チャート(15年1月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
「増産」「微細化」が人気を後押し
―― レーザーテック以外にも、半導体製造装置関連では好調企業がいくつか登場するのでしょうか。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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