明日の株式相場に向けて=中小型材料株の狂い咲きなるか
週明け18日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比211円安の3万2758円と反落。朝方は売り圧力が思いのほか強く、下げ幅は400円を超える場面があった。ただ、売り一巡後は買い戻され、後場はジリジリと下げ幅を縮小する展開となった。
前週末の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数が併走する形でいずれも7連騰、ダウは史上最高値圏をまい進中だ。もっとも、来年の利下げ期待を過度に織り込み過ぎているきらいもあり、案の定この日はNY連銀のウィリアムズ総裁やアトランタ連銀のボスティック総裁による早期利下げ観測に対する牽制発言が相次ぎ、全体相場の上値を重くした。NYダウは11月中旬以降上げ足に勢いがついたが、日足陽線の多さが際立っており、上げ幅は小刻みでも非常に強い上昇トレンドを形成していることが分かる。VIX指数は前週ザラ場に11ポイント台まで低下、恐怖の欠片も見当たらない強気相場といって過言ではないが、好事魔多しという格言もあり楽観に傾き過ぎるのも良くない。
東京市場は前週の初めに483円高と大幅高を演じたのを含め5営業日のうち4営業が高く、週間ベースで660円強の上昇を示した。したがって、今週は調整モードに入って不思議はないのだが、週前半に日銀金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見というビッグイベントを控えており、良くも悪くもここが一つの分岐点となる。
あす判明する決定会合の結果は現状維持(金融政策の据え置き)が濃厚とみられる。一部でいきなりのマイナス金利解除の可能性を指摘する声もあるが、植田日銀総裁のキャラクターを考えると、サプライズ解除の選択肢は限りなく低い。ただ、謎解き風に解釈すれば、植田日銀総裁の「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」という発言は、今回マイナス金利解除を匂わせ、来年1月の会合で実行に移すという計画を遠回しに表現しているようにもみえる。ではその線が濃くなった場合、東京市場はどう反応するのか。
ひとつのヒントはきょうのメガバンクをはじめとする銀行株の動きだ。もし、あすの決定会合でマイナス金利解除の可能性ありとみるのであれば、きょうは買いが優勢となるのが自然の流れ。ところがそうはならず、全般ポジション調整の売りがかさんだところをみると、可能性なしと踏んでいる向きが多いことになる。しかし、仮に来年1月解除の可能性が高いのなら、やはり銀行株は買いでいいはずである。ここで1カ月解除が後ずれしたからといって、それ自体に大きな意味はない。とすれば、何を嫌気して銀行株に資金が向かわないのかだが、その答えはマイナス金利「解除後」にある。マイナス金利政策というシールを剥がしても、その下にはゼロ金利というワードが出てくる。このゼロ金利もしくはそれに近い状態が長く続くのではないかという見方が強まっている。米長期金利だけではなく世界的に金利低下基調にあるなか、日銀が焦って段階的に利上げを行う蓋然性には乏しい。これは銀行株にとってはガッカリだが、株式市場全般で言えばポジティブ材料となり得る。米国株市場が仮に上昇一服となっても、今度は出遅れていた東京市場にキャッチアップする順番が回ってくるケースも考えられる。
全体指数は軟調でも材料株物色の動きは引き続き活発だ。当欄で前週取り上げたヤマックス<5285>は上げ足を一気に強めたが、前週16日土曜日の株探トップ特集「年末材料株スペシャル6銘柄」でも紹介されている。このほか、同特集で挙げられたAI inside<4488>やグローバルダイニング<7625>が強い動きで目を引く。また、ヤマックスが年初来高値を大幅更新したとなると、それと連動する形でヤマウホールディングス<5284>も同様の動きが期待される。きょうは新高値まであと3円届かず押し戻されたが、今後クリアする公算大で実質青空圏に突入しそうだ。また、脱炭素・クリーンエネルギーのテーマでは継続マークしてきた原発関連の日本ギア工業<6356>が25日移動平均線を足場に再び買いのタイミングにあるほか、水素関連では山王<3441>が底値圏から立ち上がってきた。
あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見にマーケットの耳目が集まる。また、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にエスネットワークス<5867>が新規上場する。海外では豪中銀理事会の議事要旨(12月開催分)の開示、11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値、ハンガリー中銀の政策金利発表のほか、11月の米住宅着工・許可件数などに市場の関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前週末の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数が併走する形でいずれも7連騰、ダウは史上最高値圏をまい進中だ。もっとも、来年の利下げ期待を過度に織り込み過ぎているきらいもあり、案の定この日はNY連銀のウィリアムズ総裁やアトランタ連銀のボスティック総裁による早期利下げ観測に対する牽制発言が相次ぎ、全体相場の上値を重くした。NYダウは11月中旬以降上げ足に勢いがついたが、日足陽線の多さが際立っており、上げ幅は小刻みでも非常に強い上昇トレンドを形成していることが分かる。VIX指数は前週ザラ場に11ポイント台まで低下、恐怖の欠片も見当たらない強気相場といって過言ではないが、好事魔多しという格言もあり楽観に傾き過ぎるのも良くない。
東京市場は前週の初めに483円高と大幅高を演じたのを含め5営業日のうち4営業が高く、週間ベースで660円強の上昇を示した。したがって、今週は調整モードに入って不思議はないのだが、週前半に日銀金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見というビッグイベントを控えており、良くも悪くもここが一つの分岐点となる。
あす判明する決定会合の結果は現状維持(金融政策の据え置き)が濃厚とみられる。一部でいきなりのマイナス金利解除の可能性を指摘する声もあるが、植田日銀総裁のキャラクターを考えると、サプライズ解除の選択肢は限りなく低い。ただ、謎解き風に解釈すれば、植田日銀総裁の「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」という発言は、今回マイナス金利解除を匂わせ、来年1月の会合で実行に移すという計画を遠回しに表現しているようにもみえる。ではその線が濃くなった場合、東京市場はどう反応するのか。
ひとつのヒントはきょうのメガバンクをはじめとする銀行株の動きだ。もし、あすの決定会合でマイナス金利解除の可能性ありとみるのであれば、きょうは買いが優勢となるのが自然の流れ。ところがそうはならず、全般ポジション調整の売りがかさんだところをみると、可能性なしと踏んでいる向きが多いことになる。しかし、仮に来年1月解除の可能性が高いのなら、やはり銀行株は買いでいいはずである。ここで1カ月解除が後ずれしたからといって、それ自体に大きな意味はない。とすれば、何を嫌気して銀行株に資金が向かわないのかだが、その答えはマイナス金利「解除後」にある。マイナス金利政策というシールを剥がしても、その下にはゼロ金利というワードが出てくる。このゼロ金利もしくはそれに近い状態が長く続くのではないかという見方が強まっている。米長期金利だけではなく世界的に金利低下基調にあるなか、日銀が焦って段階的に利上げを行う蓋然性には乏しい。これは銀行株にとってはガッカリだが、株式市場全般で言えばポジティブ材料となり得る。米国株市場が仮に上昇一服となっても、今度は出遅れていた東京市場にキャッチアップする順番が回ってくるケースも考えられる。
全体指数は軟調でも材料株物色の動きは引き続き活発だ。当欄で前週取り上げたヤマックス<5285>は上げ足を一気に強めたが、前週16日土曜日の株探トップ特集「年末材料株スペシャル6銘柄」でも紹介されている。このほか、同特集で挙げられたAI inside<4488>やグローバルダイニング<7625>が強い動きで目を引く。また、ヤマックスが年初来高値を大幅更新したとなると、それと連動する形でヤマウホールディングス<5284>も同様の動きが期待される。きょうは新高値まであと3円届かず押し戻されたが、今後クリアする公算大で実質青空圏に突入しそうだ。また、脱炭素・クリーンエネルギーのテーマでは継続マークしてきた原発関連の日本ギア工業<6356>が25日移動平均線を足場に再び買いのタイミングにあるほか、水素関連では山王<3441>が底値圏から立ち上がってきた。
あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見にマーケットの耳目が集まる。また、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にエスネットワークス<5867>が新規上場する。海外では豪中銀理事会の議事要旨(12月開催分)の開示、11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値、ハンガリー中銀の政策金利発表のほか、11月の米住宅着工・許可件数などに市場の関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS